1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。NHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」や『デスノート Light up the NEW world』(16)、『亜人』(17)ほかに出演し、『恋のしずく』(18)で映画初主演を飾る。また『KUBO クボ 二本の弦の秘密』(16)、『きみと、波にのれたら』(19)、『ソウルフル・ワールド』(20)では声優を務めるなど、映画やドラマ、舞台など多方面で活躍中。今年度は出演作『地獄の花園』が公開されたほか、ドラマやCMも放映。このほど、次期NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインの1人を演じることが決定した。
監督からの指示は「儚い感じとちょっと上から目線で余裕を出す感じ」
10代でイラストレーターとして商業デビューを果たした気鋭のクリエイターloundraw(ラウンドロー)。「君の膵臓をたべたい」「君は月夜に光り輝く」などの小説装画や、漫画、小説、アニメーションとその活動範囲は多岐にわたる。そんなloundrawの初監督映画作品が11月12日より公開となるアニメーション『サマーゴースト』だ。若くして亡くなった女性の幽霊と、3人の高校生のひと夏の出会いを描いた青春群像劇となっている。
都市伝説の“サマーゴースト”に会うため、ネットで知り合った友也、あおい、涼の3人は幽霊が出るという飛行場跡地に向かう。進路、いじめ、運命……それぞれに悩みを抱えた彼らが花火に火を灯すと、そこに若い女性の幽霊・絢音が姿を現す。
夏の間だけ現れるというサマーゴースト=佐藤絢音の声を担当したのは、女優として躍進目覚ましい川栄李奈。ディズニー/ピクサー映画の日本語版吹替を担当するなど、声優としても活躍中の彼女に、本作品を振り返ってもらった。
川栄:日々懸命に生きるとか、友だちと支えあう気持ちなど、日常の中にある大切さに気づかせもらえるような作品だと感じました。悩みを抱えていたり、自分の悩みが言えなかったりした方が見ると背中を押されるような、明日に繋がる気持ちにさせてくれるストーリーですよね。今の時代にぴったりで、自分も含めた10~20代の若い世代の心に刺さる作品だと思いました。
川栄:こうした声優のお仕事の時は毎回、周りにすごい声優さんばかりいらっしゃるのでとても緊張するのですが、不安はずっとありましたね。絢音は幽霊ではあるのですが、彼女なりの芯の強さがあって、そんな絢音に出会ったことでみんなが変わっていくという重要な役柄を演じさせていただきました。
川栄:今回、「どういう風に喋るんだろう?」と悩むセリフがすごくあって。でも監督がご自身でセリフを入れてくださった資料を事前にいただいていたので、“絢音のトーン”がすごく分かりやすくてありがたかったです。ほかにも監督が描かれた絢音のキービジュアルが可愛いくもあり美しくもあって、幽霊の寂しさみたいものも表現されていたので、予告編含めて読み取りやすかったですし、その表情も参考になりました。
川栄:本当に「凄い方だな」という印象ですね。監督の描かれるイラストはすごく繊細ですし、人物のキャラクターを作るのもすごくお上手なんですけれど、背景だったり情景もとても素敵なんです。初めてお会いした時は、作品に通じる監督のオーラというか、優しさや温かさを感じましたね。
川栄:絢音は元気がいいというよりも落ち着いたキャラクターなので、監督からはテンションや語尾をあまり上げないで欲しいと言われていました。余裕があるというか、年長者のような感じをもっと出して欲しいということでしたので、少しお姉さんぽい感じを意識したのですが、さらに幽霊の寂しさみたいのも混じえつつという指示も加わって……。とにかく語尾に注意しました。
川栄:絢音は「君はどうしたいの?」とか「何がしたいの?」とか、核心を突いた質問をします。見透かしたようなセリフが多くて、その上で関係性も影響するのでトーンを捉えるのに苦労しました。登場のシーンでは友也たち3人とはまだ仲良くなっていないので距離を感じさせるトーン、続く友也と2人でいるシーンではちょっとフレンドリーなトーンになったりとか。一番最後のシーンもまたちょっと違う空気感で挑んでほしいという風に監督がおっしゃっていて、なかなか難しくて。同一人物だけどちょっとした気持ちの変化で声もわずかに変わるというその微妙なニュアンスを出すのが大変でした。
川栄:あのシーンは、当初私が想像していたものよりもはるかに監督の要望が高かったんです。さらに儚い感じとちょっと上から目線で余裕を出す感じを混ぜてほしいという風に言われて(笑)。初登場のシーンだったので、何度も撮り直してもらいました。でもその後は順番通りに収録してくださったので、画を見て、他の方のセリフを聞きながらシーンを重ねていくうちに、自然と感情が入れたかなあと思います。
「元気な役柄が多かったので、今後はホラー作品に出演してみたい」
川栄:お芝居というところでは同じなんですけれども、キャラクターとして出来上がっているものに声を入れるのはだいぶ違うなあという印象ですね。そのキャラクターに合った声や動きもありますし。
川栄:ありがとうございます、訓練は何もしていないです(笑)。実は、アニメ自体もあまり頻繁に見る方ではなくて。なので声のお仕事をやらせて頂く時は、普通にお芝居をする時よりも滑舌とか声量に気をつけながら演じています。
川栄:もう家でひたすら台本を読みます。今回は監督から参考となるものを頂いていたので、繰り返し聞いて監督の声の出し方とか、テンションを真似るようにしました。
川栄:声優としてはキャラクターものとか、普段実写ではできないものを演じてみたいなと思います。あとはホラー映画がすごく好きなんですが、今まで元気な役柄が多かったのでホラー系はあまり参加したことがなくて。サスペンスが絡みつつのホラーとか出演したいです!
川栄:趣味としては特にないんですけれど、お風呂が好きです。台本読みなんかも全部お風呂で済ましちゃいたい人なので、結構長時間入ってます(笑)。
川栄:はい、セリフは割とすぐ覚えられますね。お風呂には2時間とか3時間くらい入っているんですが、もうそこで全部仕事を完結させるっていう……(笑)。そういう感じです。
(text:足立美由紀/photo:小川拓洋/スタイリング:岡野香里/ヘア&メイクアップ:KOBA(PUNCH))
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