1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年、Sexy Zoneのメンバーとしてデビュー。アイドルとして活躍する一方、『スクラップ・ティーチャー 教師再生』(08年)で連続ドラマに初出演。その後は『大切なことはすべて君が教えてくれた』『生まれる』(共に11年)、『ドロ刑―警視庁捜査三課―』(18年)、『未満警察 ミッドナイトランナー』(20年)、『彼女はキレイだった』(21年)などに出演。主な映画出演作は『劇場版 BAD BOYS J 最後に守るもの』(13年)、『銀の匙 Silver Spoon』(14年)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16年)、『心が叫びたがってるんだ』(17年)、『未成年だけどコドモじゃない』(17年)、『ニセコイ』(18年)など。
『桜のような僕の恋人』中島健人×松本穂香インタビュー
中島健人、マインドを完全にコントロールされるような感覚に……
すごくロマンチックで素敵な時間を過ごせた/中島
Netflixで配信が始まった映画『桜のような僕の恋人』。カメラマンを目指す晴人と新人美容師の美咲という、それぞれの夢に向かいながら愛を育む2人が主人公だ。順調に歩んでいた2人だが、ある日、美咲が難病に冒されていることが判明する——。
主演はトップアイドルとして大活躍中の中島健人。普段の華やかなイメージとは違う、素朴で生真面目な表情を見せる。過酷な運命に向き合うヒロインを演じるのは話題作への出演が続く松本穂香。
『白夜行』(10)や『神様のカルテ』(11)などできめ細かい演出に定評ある深川栄洋監督の下、桜の花のように儚く切ない恋の物語を演じた2人に話を聞いた。
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――今回が初共演のお2人ですが、お互いの印象について聞かせてください。以前、松本さんが主演されたドラマ『この世界の片隅に』(実写ドラマ版)のプロデューサーの方が、松本さんについて、「見ていて、どこに落ち着くか分からないようにハラハラするような感じがある」と話されたことがあるのですが。
中島:僕は全くその逆の印象でした。すごく癒やされるというか、澄んだ空気が穂香さんの回りには流れてるというか。もちろん、美咲さんを演じてる穂香さんを見て、常にドキドキはしてましたけど、実際の穂香さんはすごく柔和な空気を持っていて、話しているだけで心が洗われる感じでした。
松本:ありがとうございます。
――松本さんはいかがでしたか? 中島さんは今回、華やかなパブリックイメージを打ち消していますが、夢を追いかけていく姿についてはご本人とも重なるところがあるように感じましたが。
松本:そうですね、本当にいろんな面があって面白い方だなって思ってますし、やっぱり、その真っすぐさがすてきな方だな、と思います。芯に持ってるものがすごく熱いものなので、周りの人たちもいい方向に引っ張ってもらえて、影響されていってるのは見ていて感じますね。
――撮影現場で具体的にそれを感じた出来事はありますか?
松本:自然とみんな大好きになっていってるんだな、と感じるんですよね。性別とか関係なく、周りのおじさまたちも(笑)。
中島:周りのおじさまたち(笑)。
松本:かわいい感じとかも、無邪気なところなんかもたくさんあって。
中島:ありますよね(笑)。
松本:具体的なエピソードといえば、レディーファーストは当たり前なところでしょうか。「それはすごいよね」と言ったら、いつも、「えっ、何が? 当たり前でしょう?」というのが素敵だなと思います。
――今もまだコロナ禍は続いていますが、撮影中も大変だったのではと思います。そんな中でも、ちょっとほっとするエピソードとか、楽しかったことがあれば、お聞かせいただけますか。
中島:僕は、穂香さんが現場にお菓子を作ってきてくれたときが一番ほっとしましたね。桜のクッキーを作ってきてくれて。しかも、この映画のあるシーンと、ラストシーンを撮っているときだったんです。まさに、その象徴的なシーンにぴったりのクッキーを持ってきてくれたので、すごくロマンチックで素敵な時間を過ごせたと思いました。
――それを召し上がっていかがでしたか。
中島:最高でした(笑)。
――松本さんは、何か楽しかったエピソードはありますか。
松本:いっぱいありますけど……。江ノ島の海のシーンのときですね。夜のシーンだったので撮影までに時間があって、その合間で、2人でちょっとお散歩しながら、いろいろ話したり。
中島:そうだね。
――どんな話をされたんですか。
中島:今までの自分の人生でこういうことがあったよとか、とにかく素直に弱みを話したりもしました。あとは「こういう人がタイプ」とか、そんな話もした気がする。
松本:普通の話ですよね。
中島:うん。20代のみんながよくするような会話を、江ノ島で周りに人がいる中でしてました(笑)。
松本:そうそう。
中島:晴人と美咲もそうですし、僕と穂香さんにとっても作品を作る上ですごく大切な時間だったなって。今、穂香さんが言ってくれて思いました。
――深川監督とのお仕事について聞かせてください。どんな方ですか?
中島:僕にとってはちょっと魔術師みたいな感じのイメージというか。呪文を唱えるように演出をするので、本当に自分自身がマインドを完全にコントロールされるような感覚になる。でも、それって、役者として監督の世界で動く上では本当に大切なことだな、と思いました。特に、大きな声も出さないんですけど、監督の望むお芝居になるまで、ひたすら演出呪文を唱え続ける。僕は魔術師だなというふうにも思いましたね。
――呪文というと、どういう感じなんですか。
中島:結構独特な演出というか、例えば「自分の頭の中で、帆がゆっくり揺れるようなイメージをしてください」というのを何回も繰り返し言われるんです。そのうちに僕もそうなるんですよ(笑)。いわゆるマインドを、本当に深川ワールドに染めてくれるのはすごいことなんです。自分自身が結構堅いマインドの持ち主ではあるので。
――そうなんですか。
中島:そうなんですよ。それをほぐしてくれた監督なので、僕はものすごく感謝します。
――本当に、自分とは違う人物になれる感じでしょうか。
中島:そうです。自分は普段のイメージが強いから、「そのキャラが出ちゃうんじゃないか」と思われがちなんですけど、監督によって、完全に自然体の“自分”になれたというか。僕は本当に、監督に役者にしていただいたな、と思っています。
――確かに、今まで見たことのない姿を見せていただけたと思います。
中島:ありがとうございます。
――松本さんも、やはり呪文的な演出を受けたんでしょうか?
松本:そうですね、私も体験しました。本当に嘘がないというか、厳しいこともストレートに言ってくれますし、その分、やっぱり根っこにものすごい温かさを持った監督さんです。ちゃんと私たちのお芝居を見てくれていますし、監督の中にもプランというか、「このお芝居はこういうトーンだろう」というものは想像されてきていると思うんですけど、無理にそこに押し込めようとしない方です。例えばある場面で、私たちが演じる役はこう思っているから、と声の大きさを考えてセリフを言えば、「それは正解だ」というように、どこか信じて撮ってくれるような温かい監督さんだなと思います。すごく委(ゆだ)ねてくれるところもあります。思い返してみて、信頼してくださっていたんだろうな、と感じます。
僕の部屋はもっときれい(笑)/中島
――今回、それぞれが演じられた役で、ご自身の実際のキャラクターと重ね合わせて共感するところ、似てると感じたところはありますか。
中島:美咲さんから晴人にメールが来るシーンがあるんですけど、ものすごく喜んでるんですよ、晴人が。「あれはもう俺や」って感じの、普段の僕です(笑)。あれくらい喜びますね。嬉しいことがあったら、「シャーッ」って(笑)。本当に幸せのときは幸せって、ちゃんと思いたいタイプなんで。いつ、そうじゃなくなってしまうのか分からないから、やっぱり今をかみしめる生き方をしてます。晴人もそうなんじゃないかな、と思う。耳たぶを切られて、今をかみしめて告白して(笑)、これが最大のチャンスだと思って、というふうにポジティブなエネルギーが働いている。そこは結構僕は共感できる部分。ピンチをチャンスに変えちゃうタイプかもしれないです。
――確かにそうですね。松本さんはいかがですか。
松本:美咲は結構、喜怒哀楽、分かりやすいタイプだと思うんですけど、私は多分あそこまでは普段出してない……と思うんですけど、どうだろう? でも、好き嫌いは結構分かりやすく表に出てしまうタイプなので、恋してるところとか、美咲が電話しながら、“小さく手を振る仕草をして”みたいなところは「私、こんな顔してるんだな、いつも」と思いました。結構素に近い表情がこの映画は、今まで出たほかの映画よりいっぱい出ているのは、見ていて感じますね。
――逆に、ここは自分と違うなと思う部分はありましたか。
中島:そうだな、もっと部屋がきれいですね、僕(笑)。ああいう雑然と整理されてる感じではないです。整然と整理されてます。
実はあんまり似てはないかなとは思います、普段の自分とは。
――はじめのうち晴人は引っ込み思案のような感じもあって、そこは違うんじゃないかな、と勝手に想像していました。
中島:そうですね、タイプ的には違うと思います。
松本:私も、基本的には違うかな。どちらかというと晴人君要素のほうが自分には近いかな。あんなに人を「パーン」と殴ったりとか、勝ち気にいろいろ言ったりとかはしないです。思ったことはすぐ伝えたいタイプなんですけど、攻撃的ではないかな。でも、そこが素敵なんですけど、美咲は。
中島:確かに。
――映画の中で、晴人も美咲も相手に対して本当のことを言わない場面があります。晴人は最初、よく自分のことを知らない美咲に好印象を持ってもらいたくて、少し自分のことを盛って話してしまう。美咲は自分の病気のことがあって、晴人に本心ではないことを言う。作品を見れば、2人の行動には共感できますが、本当のことを言わないという選択について、いろいろな状況でご自身がそういう立場に置かれたとき、どうされると思います?
松本:美咲があの選択をしたのは、すごく強い人だなと思いますね。愛のある嘘というか、優しさなので。自分にもできるかといったら、もう少し自分中心の考えになっちゃいそうだな、と思います。まだ、誰かに対してそういう優しい愛のある嘘をついたことがないので。美咲は強い人だな、と思います。
中島:うん、確かにね。本当に難しいです。嘘も方便という言葉をあまり重点的にしたくはないんですけど、愛のある嘘は秩序を保つときもあるのかなって。
松本:確かに。
中島:そういうときもあるので、一概には言えないかな。自分がもしそういう立場になったときも、必ずしも正直になることだけが正義とは思ってないです。本音と嘘のバランスというのは、みんな誰もがうまく取り合いながら生きてるんじゃないかなと思うんです。
仕事に本格的に目覚めたのは『ひよっこ』の時/松本
――美咲と晴人が夢に向かっていく姿がキラキラしていて素敵でした。お2人がこのお仕事に対して本格的に目覚めたタイミングを教えていただけますか。
松本:私は、朝ドラの『ひよっこ』に出させてもらったときです。普段そんなにうれし泣きとかしたことがない自分でも、気付いたらそうなっているとか、そういう驚きがあったり。全然できなくて悔しい、と感じたのも『ひよっこ』でしたし、初めての経験がたくさんあった。自分の中で、こんなにまだ頑張れるんだ、自分はそういうところを持ってるんだ、という発見があったのは『ひよっこ』でした。
――新しい感情も見つかったという感じでしょうか。
松本:そうですね。怒ってても笑ってても、泣いてても……澄子という役でしたが、ずっと澄子でいられたので、それを自分の中で努力して作れたのは、大きな経験になりました。いろんな人にすごく愛してもらいましたし、嬉しかったです。
――中島さんはいかがですか。
中島:僕が自分の中の素直な感情に少し出会えたという瞬間は、24時間テレビの『石ノ森章太郎物語』をやらせていただいたときですかね。実際に石ノ森章太郎さんの地元に行ったり、お姉さんのお墓参りをしたりとか、役作りを構成していく上で背景をちゃんと知るという組み立て方が必要なんだと、自分の中で思えた瞬間でした。グループの活動もあって、本当にハードな中で撮ってたドラマなんですけど、自分の中に積み重なった疲れみたいなものがドラマ(撮影中)の間は取り除かれて。石ノ森さんが守ってくれたというか。僕は石ノ森さんという役に本当に感謝してます。(石ノ森さんの)昔の写真を見るとちょっと自分のおじいちゃんに似てるんで、おじいちゃんの顔を意識しながら演じたのをすごく覚えています。
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――桜が咲き始める春に配信が始まりましたが、何か思い出に残っている春の出来事はありますか。
中島:僕がジャニーズに入ったのも春です。部活が陸上部だったんですけど、陸上の大会とオーディションがかぶったんですよ。部長に、オーディションへ行くと言ったら、そいつ親友だったんですけど、「おまえ、そっち選ぶの?」って言われて。「いや、俺、こっちに進みたい」と答えたら、部長に「俺もいつか必ず行くから」って言われて。いや、どこに?と思って(笑)。どこにかな、と思ったんですけど、5年後くらいかな? 映画で喧嘩のシーンがあって、1人対100人みたいなむちゃな戦いのシーンだったんですけど。僕が100人の中に突っ込むシーンがあるんですけど、その100人の1人にその友だちがいたんですよ。
――すごい!
中島:そう。「ええーっ?!」みたいな。それが二度目の出会いでしたね。
――その二度目の出会いも春だったんですか?
中島:春。春なんですよ! 3月か4月で。「ええーっ?!」と思いながら「シミズ!」って。すごい懐かしいな。
松本:ないな(笑)、それを超えるような春の思い出。全然ない。普通にお花見したぐらい。
中島:お花見?
松本:お花見。高校生のときです。お花見をしました。好きな人ともありましたし、演劇部に入ってたので、部活仲間とも。
中島:いいな、そういうの。
――それは青春ですね。
松本:青春ですね。
中島:めちゃくちゃいいね、うらやましいわ。俺の青春、シミズ君で終わってるから(笑)。
(text:冨永由紀)
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