『劇場版おいしい給食卒業』佐藤大志インタビュー

21世紀生まれの佐藤大志、80年代の給食アルミ食器にビックリ！「格好いい」

#おいしい給食 #ドラマ #佐藤大志 #劇場版おいしい給食卒業 2022.05.12

食べるシーン、慣れてきたけど恥ずかしい

『劇場版おいしい給食卒業』2022年5月13日より全国公開
(C)2022「おいしい給食」製作委員会

1980年代のある中学校を舞台に、給食マニアの教師と生徒が、どちらが給食を「おいしく食べるか」をめぐってバトルを繰り広げるコメディ『おいしい給食』の映画版第2弾『劇場版おいしい給食卒業』が完成した。ドラマのシーズン2で市原隼人が演じる数学教師・甘利田幸男は転勤先の黍名子中学校でも給食に情熱を注いでいたが、そこに前任校で最強のライバルだった神野ゴウが転校してくる。

シーズン1から続く甘利田とゴウの給食バトルは、教師と生徒という立場を超えて益々エスカレート。余裕たっぷりに甘利田を挑発するゴウを演じる佐藤大志が撮影について、俳優という仕事について語ってくれた。

・【動画】『劇場版おいしい給食卒業』佐藤大志インタビュー

・いつも謙虚な市原隼人、「現場に入ると憑依してしまい、なぜそうしたのか覚えてません」

──今は暗いニュースも多いですが、この作品は全て忘れて笑って楽しい時間を過ごさせてくれました。劇場版のお話が来た時、どう思われましたか？

佐藤：前回の映画が『劇場版おいしい給食 Final Battle』というタイトルで、もうこれで終わりなのかなと思っていたところにこのお話が来たので、最初はまず「びっくり」が来ましたけど、その後にだんだん喜びが増していきました。映画では前回の2年後という設定で、監督に衣装合わせのときに「繊細なゴウを見せて欲しい」と言われました。僕もそれを意識しながら頑張りました。

──監督からは具体的にどんなお話があったのでしょうか？

佐藤：監督からは「繊細なゴウ」とだけ言われて。シーズン1の時はたぶん、子どもらしくてかわいらしいだけのゴウだったと思うんですけど、2は少し大人っぽくなって、いろいろ気持ちが考えられるゴウなのかな、と思いました。

──確かにシーズン1では、甘利田先生とゴウは見た目にも大人と子どもという感じでしたが、今回はその差が縮まった面白さもありますね。一度演じた役を再び演じるという経験はいかがでしたか？

佐藤：現場に入ってから、だんだんゴウが戻ってきたというか。撮影前からいろいろ考えてはいたんですけど、現場に入ると、より戻る感覚、懐かしさもありました。

──市原さんとの共演はいかがでしたか？

佐藤：やっぱり熱さは変わってなかったです。僕は現実でも中三だったので、撮影の合間に高校の話だったり、中学校生活の話をしたりしていました。

──アドバイスも受けましたか？

佐藤：給食のおいしく見える食べ方、綺麗な食べ方を教えてもらいました。スプーンですくって持ち上げて、自分から行くんじゃなくて、スプーンの方を顔の方に近づける。こぼしそうになっても、頑張ってスプーンを持ってくる。それが汚く見えない綺麗な食べ方だと教えてもらったので、そこを気をつけました。

──確かにそういう風にしていましたね。本当においしそうでした。

佐藤：ありがとうございます。

──教室での給食シーンも多いです。前回はコロナ禍の前だったので、“給食はみんなで楽しく食べる”が基本で、その中でゴウは1人で味わって食べているのが不思議な光景でしたが、今やそれが常識になっています。今回の撮影もそんな状況がまだ続いてる中でした。

佐藤：はい。食べるシーンの時は、スタッフさんは感染者が出ないようにいろいろな対策をしてくれました。たとえば、画面に映らない人たちの給食にはカバーを被せるとか、スタッフさんがすごく気にかけてくれて、前回よりも緊張感がある現場でした。なので、僕たち生徒もみんな頑張ろうという気持ちがより強かったと思います。

──ゴウは特に食べるシーンが多いですが、食べるところを見られるのは、普段だと恥ずかしい感覚がありそうです。そういう恥ずかしさみたいなものはもう乗り越えていますか？

佐藤：シーズン1のときは結構恥ずかしかったです。今も……恥ずかしいといえば恥ずかしいんですけど、全然前よりは慣れてきたかな。

──ゴウの余裕たっぷりな表情が、いい意味でちょっと憎らしくもあって、すこくよかったです。

佐藤：ありがとうございます。1のときとは違う表情だったり、いろいろ考えながら演じました。

──撮影で印象に残っているシーンはありますか？

佐藤：給食のシーンで初めて屋外での撮影があったんですけど、それがすごい新鮮で楽しかったというか、印象に残ってます。『おいしい給食』の給食シーンで、学校の外に出たことがなかったので、しかも2人で、だったので。そこがすごく新鮮だったのかな。

──市原さんの演技は凄まじいエネルギーを感じますが、そのお芝居を受けていて、どんな感じでしょうか。

佐藤：やっぱり市原さんは表現力がすごくて、毎回段取りで形を決めてくんですけど、毎回予想外な動きをされるので、すごいな……と思いながら、近くで見てます。

──すごすぎて、リアクションに困っちゃうときはありませんか？

佐藤：ありますね。さすがに表現力がすごすぎるので、「どうしよう……」みたいな時も（笑）。そういう時は監督にアドバイスをもらったりして頑張りました。

市原隼人の作品愛が「やっぱりすごい」

──物語は1986年という設定です。撮影時の2021年に中学生だった佐藤さんにとっては驚くこともいろいろあったのではないでしょうか？

佐藤：一番びっくりしたのは、給食の食器が全部銀色だったことです。

──私は最近の学校事情に疎いのですが、今はどういう感じなんですか？

佐藤：今はガラスとか陶器とか、普通の家にあるような食器です。全部銀色って、ちょっと格好よかったです（笑）。

──逆にそうなんですね（笑）。

佐藤：はい、あっちの方がいいですね（笑）。

──給食のメニューも今とは違うんでしょうか。

佐藤：いや、全然というほどじゃないです。同じメニューもあります。

──設定が80年代ということで、ご家族や周りの大人の方々にお話を聞いたりしましたか？

佐藤：学校の話は特に聞いていないんですが、一つだけ母が言ってたのは、肩パッドの入った服が好きだったということ。それだけ聞きました。

──なるほど。確かに肩の張ったシルエットは80年代っぽいです。

佐藤：はい、母も「そういう感じ」と言ってましたよ（笑）。

──『おいしい給食』で、ここを見てほしいというのはどんな点でしょうか。

佐藤：学校の給食に危機が訪れて、ゴウはそれに対してどう行動するのかというところです。彼の繊細さが出ているところだと思うので、そこを見てほしいなと思います。

──ゴウも大人に近づいてきて、甘利田先生と共に戦うような展開もありますね。

佐藤：甘利田先生と一緒のシーンでは、市原さんは僕のことも考えてくださいました。毎回そのシーンに合ったアドバイスをくれたり、「ここはこういうシーンだから、こうだよね」と具体的に話し合ってくれました。

──市原さんは事務所先輩でもありますが、再会したのは『おいしい給食』の1回目が終わって以来でしたか？

佐藤：はい、久々にお会いした瞬間に「おお、大きくなったね！」と言われました（笑）。
甘利田先生……じゃなくて（笑）、市原さんは演技も作品に対しての思いもすごくて、表現力が素晴らしいと思います。繰り返しになりますが、何よりも本当に作品を愛してる。作品に対する愛がやっぱりすごい。

──つい甘利田先生と呼んでしまうくらいなんですね。

佐藤：はい。市原さんは衣装合わせや顔合わせの時もですが、撮影終了後に卒業式みたいなものがあって、その時にお話してくださる時にも感じます。

──佐藤さんも作品に取り組む意欲とか作品への愛情は持っていらっしゃると思います。

佐藤：はい。特に『おいしい給食』は2回目なので、1回目よりもやっぱり作品に対する思いは強かったです。今回は1度やったこのある役なので、やりやすかったというのもあります。深堀りするような感覚もあったし。
僕は元々学校でもあまり発言したりしなくて、表に出るのがそんな得意じゃなかったんです。なので、結構明るめのゴウくんとか正反対の役をやるのも恥ずかしかったんですけど、だんだん慣れてきました。『おいしい給食』では市原さんや綾部監督を間近で見てきて、作品に対する気持ちはより強まったと思います。

──お話聞いていると、ゴウくんとはかなり性格が違うようですね。

佐藤：ゴウくんは真逆過ぎて吹っ切れてできたっていうか、逆だからこそもう自分じゃない、みたいな。自分じゃないからできるという感覚でした。

──そこがやはり演技の楽しいところでしょうか。

佐藤：そうですね。普段とは違う自分になれるのは楽しいです。

──学校のお友だちがこの映画を見たら、びっくりされそうですね。

佐藤：僕、学校でも給食をめっちゃ大食いする方ではないので、前のシーズンや映画を見てくれた学校のみんなは、やっぱりそこに一番びっくりしてます。「あの大志が食べてる……」みたいに（笑）。

・撮り下ろし写真、その他画像はコチラ！

──回はタイトルに「卒業」とついて、佐藤さんも4月から高校生になりました。

佐藤：高校生になって、新しい友達もできるので、新しい友だちとも遊びつつ、お芝居のお仕事とかも並行して両立できたらいいなと思っています。

──成長するにつれて役の幅は広がっていくと思いますが、挑戦したいジャンルなどはありますか？

佐藤：今は何でもやってみたいっていう気持ちはありますけど、ドラマとかを見ていてやってみたいなって思ったのは、デスゲーム系のものの裏切り者とか。信じていたやつがいきなり裏切って悪者になるギャップが、ちょっと嫌ではあるんですけど、見ていてそこが面白いなと思ったので、やってみたいな。

──似合いそうです。