1984年生まれ、埼玉県出身。03年にドラマ『ビギナー』で主演デビュー。書評やエッセイなど執筆業でも評価を得ている。主な出演作ドラマは『めだか』(04年)、『いま、会いにゆきます』(05年)、『斉藤さん』(08年)、『梅ちゃん先生』(12年)、『トットてれび』(16年)。映画は『サイドカーに犬』(07年)、『落語娘』(08年)、『天国からのエール』(11年)、『わが母の記』(12年)、『後妻業の女』(16年)など。
沖縄県本部町にある音楽スタジオ「あじさい音楽村」。すべてが無料のこのスタジオは、実在の人物である仲宗根陽(なかそね・ひかる)さんが若者の夢を後押しするために、私財をなげうって創設したものだ。家族と共に小さな弁当屋を営む仲宗根さん。10月1日より公開となる『天国からのエール』は、そんな仲宗根さんと若者たちの交流を描いた感動作だ。
誰よりも熱い心をもちながらも病に倒れてしまう主人公を演じたのは阿部寛。その妻をミムラが演じている。ムビコレではこの2人を直撃、映画の見どころなどを語ってもらった。
阿部:ご家族などに仲宗根さんのエピソードを聞くと、2時間の映像に収めることは本当に難しかった。いろいろ逸話のある方だから。「もっと!」という欲が出てしまって。彼の力強さを台本のなかでどう表現すればいいかというのが勝負でした。
ミムラ:確かに仲宗根さんはあまりにもエピソードが多い方で、普通の人が5年に1回やるようなことを、1週間に1回やっているような方。2時間では収まりきらないですよね(笑)。そういう人の奥さんだったら、同じ様なエネルギーを持っていないといけないのではないかと思い、対等な関係を目指しながら演じていました。
阿部:身近にいるのは俳優仲間で、彼らはみんなプロとして生きていますが、何か困ったことがあれば支えたいと思っています。だから、自分の経験してきたことをおせっかいで話したりすることもあるんですけど(笑)。
ミムラ:そのお話、楽しいですよ(笑)。
阿部:それを受信するかどうかは相手次第ですが、彼らの光り輝くものをジャマしないようにしたいと思っています。
阿部:苦労せずにこの世界に入ったから、どう進んでいいか見えなくなった時期があったんです。しばらくしてから、自分には何も実力がないということに気づき七転八倒したことがあります。そんなときに老年のカメラマンさんなどが言ってくれた言葉が心に響いたりしましたね。「自分の身は自分で守らないといけないよ」と言われたことがあって、最初はよく分からなかったのですが、後で、自分の演じる役は監督や共演者が守ってくれるわけではなく自分自身で守っていかないといけないということに気づきました。それから徐々に仕事が楽しくなったりしましたね。大人のおせっかいな一言ってけっこう若者には役に立つもんですよ。
あとは、つかこうへい先生の舞台をやらせていただいたときですね。オーディションに行きたくない気持ちと飛び込みたい気持ちが拮抗していたのですが、演じてみたときに「いいね!」と言っていただいて。絶対、良くなかったと思うんですけど(笑)、「信じてくれる人がいるんだ」と思ったら心のなかのモヤモヤが消え、「このまま乗っかってみようかな」と。
ミムラ:私も苦労せずに役者を始めた部分があって(笑)。あのときの私は、自分がこの仕事に向いていないと思っていて中途半端でダメダメだったと思うんですけど、そんなときに、ある技術スタッフさんが「俺たちは現場の人間だから、悩んだり一生懸命やっているのを見てるから」って言ってくれたんです。今思うと「見守っているよ」という優しい言葉だったんですけど、そのときの私は怖い!って思ってしまって。「失敗したり見栄をはったりするのも見られてるの!?」って(笑)。でも、時間が経って、あるとき「あ!」と気付いたんです。時間が経ってから伝わることってあるんですよね。
阿部:中学のときは陸上の短距離でオリンピックに出たいと思っていました。でもその一方で、夢はつかめないだろうと思う気持ちもあった。今考えると、そんな風に思うことはなかったんじゃないかと思うんですけど(笑)。こういう仕事をしているからかもしれないけれど、今は、一歩一歩あきらめずに近づいていけば、夢は叶うんじゃないかって感じます。
ミムラ:若いときは、ばっちりピントのあった写真みたいに、ブレない人に憧れていました。でも大人になってみて、それはあまり居心地がよくないぞということが分かって(笑)。で、それからは「引きの写真」というか、大きくてザックリとモノを見られる人になりたいな、と。夢って変わりますよね。目標とする役者も変わってきますし。
阿部:俺は、一貫して目標にしている人がいて。大滝秀治さんなんですけど、本当に楽しそうに仕事をするんです。「なんて無邪気なんだろう、年をとったらこういう人になりたい」って思いました。楽しんで仕事をしていたいなって。これもひとつの夢ですね。
阿部:彼の生前のVTRに、若者たちがライブで歌っているところを見つめている姿があって、その眼差しが仁王のようでもあり菩薩のようにも見える、深い目をしているんです。あれが人を惹きつけるんだなって。役作りでも、あの眼差しを目指し、何度もVTRを見ていました。
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