1974年9月10日生まれ、アメリカ、デラウェア州出身。『白い嵐』(96年)で期待の若手として注目を浴び、ホラー映画『ラストサマー』(97年)、『クルーエル・インテンションズ』(99年)でブレイク。アイドル的人気を博す。99年に女優リース・ウィザースプーンと結婚し2児を得るも07年に離婚。『クラッシュ』(04年)、『父親たちの星条旗』(06年)、『セットアップ』(11年)などに出演。
腕は一流、高級車リンカーンの後部座席がオフィスというちょいワル弁護士が主人公の法廷サスペンス『リンカーン弁護士』。マイクル・コナリーのベストセラー小説を映画化した本作で、物語の主軸を担う依頼人を演じているのがライアン・フィリップだ。
90年代にアイドル的人気を集めた彼も、今や37歳。アカデミー賞受賞作『クラッシュ』(05年)、クリント・イーストウッド監督作『父親たちの星条旗』(06年)などで確かな演技力を披露し、俳優としての地歩を固めてきた。
本作で殺人未遂容疑で訴えられた資産家の息子を演じたフィリップに話を聞いた。
フィリップ:まず、脚本を読んで魅了されました。僕が演じたルイスについては、ここではあまり話せないので詳しくは映画を見てのお楽しみにしてほしいんだけど、物語の鍵を握る人物だから、配役は慎重に行われました。監督や製作陣と役柄について話し合い、ぜひ挑戦したいと思いました。今までとは違うタイプの役だったので、特にそう思いましたね。
脚本は細部まで練られていて、刺激的で面白く深みもありました。最近のハリウッド映画は人間性を描くことから遠ざかる傾向にあるので、一層、この作品のドラマ性の高さに惹かれたんです。
フィリップ:僕が演じるルイスが脅迫、暴行、強姦、殺人未遂で起訴され、その裁判の行方が物語の鍵を握ります。ルイスは資産家の御曹司で、ビバリーヒルズに住み、母親の経営する不動産会社で仕事をしています。プレイボーイを絵に描いたような男で、派手な生活を送り高級車を乗り回し、やりたい放題。何をしても誰かが尻ぬぐいをしてくれるので、悪事がエスカレートしていってしまうんだ。かなり複雑なキャラクターで、お世辞にも善良な人間とは言いがたいし、心理戦にも長けている人物です。
フィリップ:僕はフィラデルフィア郊外の中の下の家庭で育ったから、大金持ちのルイスになりきるのを楽しみました。悪い男になりきるのも楽しいし、とても興味深い体験でした。また、(主人公のちょいワル弁護士を演じた)マシュー・マコノヒーとの相性も良くて、共演していて楽しかったですね。2人はお互いを出し抜こうと駆け引きを繰り広げる。でも、弁護士と依頼人が反目し合うなんて、ちょっとあり得ないような状況だよね。自分の弁護人の足を引っ張る依頼人なんて、普通なら考えられないから面白い。2人は法廷に並んで座っていながらお互いの世界に居る。表面上は勝訴という共通の目標に向かいながら、実際は反目している……奇妙な関係なんです。
フィリップ:法廷ものはテンポの良さが大切。その点、ブラッド(監督)なら若くてエネルギッシュだからピッタリですよね。僕と同世代で出身地も近いから親近感を覚えます。躍動感があって予測不能な展開の作品に仕上がったのは彼のおかげだと思います。
プロデューサーの2人、トム・ローゼンバーグ、ゲイリー・ルチェッシもとても素晴らしい人物です。トムは早い時期からこの作品の可能性を見抜いて大切に育ててきたので、本作は我が子みたいな存在なんじゃないかな。2人があらゆる側面に目配りしてくれたおかげで、安心して演技ができたと思います。
フィリップ:ルイスが、高層ビルの上層階に立派なオフィスを構える有能な弁護士ではなくミックを弁護士に選んだのは、それなりの理由があるんだろうけど、端から見ると奇妙に感じます。だってミックは富豪の息子が雇うタイプの弁護士ではないから。マシュー(・マコノヒー)は、ミックというキャラクターに深みを与えました。完全無欠ではなく一癖あるヒーローで、離婚歴があって酒を飲み、経済的問題を抱えている。実に興味深いキャラクターを、マシューは実にうまく演じていたと思います。
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