1979年4月21日生まれ、スコットランド出身。名門の英国王立スコットランド音楽院を卒業。『ダンシング・インサイド/明日を生きる』(05年)で映画初主演。『ナルニア物語/第1章:ライオンと魔女』(05年)のタムナスさん役でブレイク。その他、『ラストキング・オブ・スコットランド』(06年)、『つぐない』(07年)、『ウォンテッド』(08年)、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11年)、『X-MEN: フューチャー&パスト』(14年)、『X-MEN: アポカリプス』(16年)、『ッドプール2』(18年)などに出演。
『声をかくす人』ロバート・レッドフォード監督×ジェームズ・マカヴォイ×ロビン・ライト インタビュー
歴史に埋もれた事実を映画化した名匠と演技派俳優を直撃
アメリカで初めて死刑になった実在の女性の姿を描いた『声をかくす人』。『普通の人々』(80年)でアカデミー賞監督賞を受賞したほか、『リバー・ランズ・スルー・イット』(92年)などの珠玉作を監督した名匠ロバート・レッドフォードの最新作だ。
1865年に暗殺されたリンカーン大統領の犯人グループの1人として逮捕されたメアリー・サラット。物語は、無実を主張する彼女の弁護士をつとめることになった元北軍の英雄フレデリックの目を通して描かれていく。
リンカーンに対峙する立場だった南部出身のメアリー。それ故、北軍による裁判では有罪の色が濃かったが、フレデリックは彼女の無罪を確信するようになっていく。そんななか、彼女はある秘密を守るため、死をも覚悟するのだった……。
監督のレッドフォードとフレデリックを演じたジェームズ・マカヴォイ、そしてメアリーを演じたロビン・ライトに映画について語ってもらった。
レッドフォード:いつも興味を抱くのは、物語の下にどんな物語が隠れているかなんだ。物語のなかの物語……この作品にもそれがあった。この映画は、僕がこんな風に伝えたいと思ったやり方で語った物語なんだ。
それから、南北戦争終結後のエネルギーにも興味を引かれた。物事は不安定で平和も壊れやすい状況で、この時代は“不安”というエネルギーが満ちていたんだ。「(戦争に勝ち)万歳!」と浮かれ騒ぎ祝いの酒を酌み交わす人々にも根底には恐怖を抱いていた。「この平和は続くのか? それとも破綻してしまうのか?」ってね。
マカヴォイ:素晴らしかったよ。彼は本当にすごい。そしてとてもいい人なんだ。そして、彼は誰とでもうまくやれるんだ。この映画にとって大事なのは、集中し、シンプルで抑えた演技をすることだった。でも、そういう演技をするときは、まるで何もしていないかのようにも思えて、時々怖くなる。そこが難しかったね。
レッドフォード:メアリー・サラットは(南北戦争で負けた)南軍側の人間だった。だから、誰も彼女を弁護したくなかったんだ。しかし、元北軍の兵士だった男が彼女の弁護を強いられる。僕が興味を抱いたのは、“彼女を守らなければならなかった男”の物語なんだ。
マカヴォイ:まったく知らなかった。
ライト:私もよ。
ライト:正義の話だわ。でも、いくつかの段階があるの。フレデリックは、憲法の不当性を明らかにしようとする。人権擁護の立場から、こんな形で人を裁くべきではないと訴えるの。メアリーが有罪か無罪かは、ある時点でほとんど重要ではなくなる。みんなが隠している“真実のなかの真実”は何なのか、ということが重要なの。
マカヴォイ:それと同じくらい重要なのが、映画で描かれた物語が、今の社会でも大きな意味を持っているということなんだ。
レッドフォード:僕はアメリカの物語を語るのが好きなんだ。物語をきちんと伝えたいし、それが観客に対する責任だと思っている。それが、僕の人生の大きな部分を占めているんだ。何年にも渡って、製作費の高い映画も、低予算の映画も作ってきた。それを全部見回してみると、1番楽しめるのは低予算映画だったよ。
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