2001年俳優デビュー。『昼顔』、『シン・ウルトラマン』など数々のドラマや映画で主演を務め、現在配信中のNetflix『極悪女王』やTBS日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』など話題作に出演中。俳優業と並行して(俳優業では「斎」、制作では「齊」の字を使用)映像制作にも積極的に携わり、初⻑編監督作『blank13』で国内外の映画祭で8冠を獲得。劇場体験が難しい被災地や途上国の子供たちに映画を届ける移動映画館「cinéma bird」の主宰や全国のミニシアターを俳優主導で支援するプラットフォーム「Mini Theater Park」を立ち上げるなど、幅広く活動している。
向井理、斎藤工、金子ノブアキ、小出恵介──女子に大人気の4人が出演する『最上のプロポーズ』。初恋の失敗にとらわれる男、自らの一目惚れに戸惑う科学者、眠り続ける彼女を献身的に見つめる男、彼女の突然の心変わりに戸惑う男、4人のプロポーズのエピソードを描いたオムニバスラブストーリーだ。
映像作家としてカリスマ的人気を誇る青山真治が監督し、スマホ向け動画配信サービス「dビデオ powered by Bee TV」、携帯電話専用放送局「BeeTV」で配信されている。
斎藤が演じるのは、初恋の相手に再会しながらも、思春期特有の恥じらいによって彼女を傷つけてしまった過去に悩む男。傷つくのが怖くて前に進めない男の不器用さを見事に演じた斎藤に話を聞いた。
斎藤:青山監督がこういうテーマのものを撮られるというのが意外だなと思いました。4人のエピソードのオムニバスなので、誰かが出ずっぱりということはなくて、総力の一部になるという今回の経験は心地良かったですね。また他の出演者の名前を聞いて、この年代になるとそれぞれがいろいろな経験をしていると思うので、面白いなと思いました。
斎藤:向井くんと小出くんは合点がいったんですけど、自分自身については『逆転裁判』『愛と誠』(共に12年)などクセのある役が多かったので、正直、直球の役にビビりました。隠れる場所がないなと。
役者って、バイオレンスとかワイルドな衣装とか何かによりかかって役を作るところがあるんですが、今回はその部分が恋愛でしかない怖さがありました。キャラクターの生きる意味みたいなものが台本から読み取れなかったんです。どうすればいいんだろうと思いました(笑)。キャスティングしてくださったことを信じるしかないんですが、この道をこう登れば良いみたいなルートの提示がなかったんです。いかに普段、自分が役柄の特徴に寄りかかっているかと痛感しました。
斎藤:彼女に対して負い目があることで、十字架とまでいかなくとも、何かを背負って接するということは意識しました。彼女を傷つけた自分を隠すことで彼女との関係は成立していたんですが、それが最終的に後押しになってプロポーズする役ということで、彼女に負い目を感じるということが必要な役でした。よく言えば、優しい人。悪く言えば、勇気が足りない男性ですよね。
斎藤:文化的に日本人が花をデートのときに贈るみたいなことはあまりないと思うんですけど、日常的にサプライズを演出することは自分のテーマにしていて、そういうときに贈れるものだと思うんですね。花を、女性が喜ぶものというより“男性が贈るもの”にしたいですよね。柄にもなく花屋を見かけると「オッ!」と思ったりもします。枯れてしまうというのも良くて、処分する日が来ると分かった前提で刹那的なものであることも魅力の1つですね。
斎藤:どの話も、一歩踏み出せない男子が、プロポーズに踏み出すまでのプロセスを描いているので、男子の弱さというか、振られたくないという気持ちが描かれています。今は傷つくのが怖い時代だからこそ、それを回避しようとする動きがあると思うんです。そういう意味では2013年におけるプロポーズのリアリティは表現されていると思いますし、デジタルがこれだけ発達しても、プロポーズってむき出しの行為というか、芯はアナログなんですよね。それは物語のなかでも面と向かってプロポーズしていることで表現されています。
大事にしなきゃいけないイベントだなと再認識しましたし、(ハンフリー・ボガートが主演した)『カサブランカ』の名セリフ「君の瞳に乾杯」とクサくなく言える紳士な男性像に、男性が女性に奉仕することを学ばなきゃいけないと思いました。僕らに丁度よい葛藤をしながら印象的なプロポーズに至るということで、結婚を控えている方、憧れがある方、あの頃を思い出す方に、プロポーズの意味を再認識していただいて、それぞれの日常が華やかになる作品になっていると思います。
『最上のプロポーズ』は「dマーケット VIDEOストア」&「BeeTV」で配信中。
(アクセス方法)
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