1981年11月4日生まれ、奈良県出身。『萌の朱雀』(97年)で映画主演デビューし、第10回シンガポール国際映画祭にて最優秀女優賞を受賞。第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『殯の森』(07年)、『クライマーズ・ハイ』(08年)などに出演し、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作『そして父になる』(13年)で第37回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。テレビドラマ『Mother』(10年)、NHK連続テレビ小説『カーネーション』(11年)、『最高の離婚』(13年)などに出演。近年の出演映画は『影踏み』(19年)、『ヤクザと家族 The Family』(21年)、『明日の食卓』(21年)、『こちらあみ子』(22年)『ハケンアニメ!』(22年)、『サバカン SABAKAN』(22年)など。『ミニオンズフィーバー』(22年)では声の出演。主演作『茜色に焼かれる』(21年)で各映画賞の主演女優賞を多数受賞した。
世界中で愛されている「魔女の宅急便」が、ついに実写映画化された。角野栄子による原作も、1989年に宮崎駿監督が手がけたアニメーション映画も長く人々に親しまれており、それだけに実写化は賭けでもあったが、13歳の見習い魔女キキが挫折を乗り越えながら成長していく青春物語に小豆島の美しい自然やファンタスティックなセットが調和して、躍動感あふれる瑞々しい映画に仕上がっている。
キキを天真爛漫に演じているのは新星・小芝風花。映画初出演のヒロインを実力派俳優たちが温かい演技でサポートしているのもまた魅力だ。キキが修行に出た町で母親代わりとなって見守るグーチョキパン屋の女将・おソノ役を演じた尾野真千子に、撮影の様子や自身のキャリアなどについて話を聞いた。
尾野:「魔女の宅急便」は誰もが知っている作品で、楽しめそうだな、と思ったんですよね。この作品そのものもお芝居も楽しめそうなところが魅力でした。
尾野:特に何をどうしよう、というのはなかったです。(小芝風花さんが演じる)ひとり立ちしたい女の子であるキキがどんなふうに来るかで、おソノなりに私も対応を考えようと思っていました。
──おソノは、キキにまかせる部分はまかせて本当に困っているときには味方になる、という人で、本当に理想的な母親だなあ、と思いました。先ほど“キキが来たら対応を考える”とおっしゃいましたが、自然とそういう気持ちになれたのですか?
尾野:はい。今までの経験上、作りこんでよかったことってあまりないんです。今回の作品でも、例えば、お客さん役でパン屋に来てくれるエキストラの方もあまりそういう経験がない方たちでしたので、緊張しているようだったら何か面白いこと言ってみよう、とか、その場で考えることが多かったです。
尾野:特にないんですよ。全部そういうふうになっていくというか、違っていたら監督が指示をくれるので、とにかくやってみる。後々、できあがったものを見ていろいろ思うことはあります。すべて完璧にできた、ということはまずないですから。自分が見て思うことはたくさんあるけれど、作品を見てくれた人たちが「よかったね」とか言ってくれると「あれでよかったんだな」と思えるし、人の声を聞いて安心することは多いですね。
尾野:リサーチしなければいけない役はたくさんあって、例えば、手に職がある役や法律で定められたことをする役などですが、そうした役を演じる際に「勉強しなさい」と言われればします。あと、「原作を読んだほうがいいよ」と言われれば読みます。でも、「別にいいですよ」といわれたものは、なるべく読みたくない。なぜかというと、読んでしまうと、私のものではなくなるんですよね。せっかく実写化するのであれば、役が私のものにならないと面白くないし、できるだけヒントのようなものは入れないようにしたいですね。
尾野:原作は小さい頃に読んだことがあった気がする、という程度です。ジブリのアニメも以前に見たことはありますが、漠然としか知らないです。
──おソノさんは面倒見のよいパン屋の女将さんで、寡黙な旦那さんがいますよね。カカア天下のような感じで、あれはあれで素敵だなあ、と感じたのですが、尾野さんご自身はあのような夫婦像をどう思われますか? 理想ですか?
尾野:理想じゃないです(笑)。私は“三歩後ろを歩きたい派”です。あれも悪くないなとは思いますが。
尾野:いろいろかなあ。現場にもよりますし。あのお腹は作っているのですが、大変でした。実際の妊婦さんって、それ以上に大変なわけでしょ。撮影中はあのお腹のままでご飯食べたり、お手洗いに行ったりするのですが、作り物でもこんなに大変なんだなあ、と思ったので、私はまだいいかな(笑)。
尾野:聞かれたことには答えていましたね。この現場に入るモットーが“楽しく”だったので、小芝さんだけでなくみんなといつも笑いながら撮影していましたね。また、ロケ地の小豆島がすごく気持ちのいいところだったんです。海があって山があって。そのなかに作られたセットも、今作っただけなのに、ずっと歴史を積み重ねてきたパン屋のようでした。ストレスもまったくなくて、そこにいるだけでみんなと楽しくいられた気がしますね。
尾野:実感します。知名度というものも実感しますし、どこに行っても知ってくれている人が多くなって、それはプライベートでもそうですし、仕事に行ってもそうですし、初めて会った方でも「あの作品、見たよ」などと言ってくださるのを聞くと、私もそういうふうになれたんだな、という気がします。
尾野:いや、基本、なんでもやります。できないこともあるかもしれないですが、やってはいけないことはないですよね。だから、事務所の人はヒヤヒヤするかもしれませんが、なるべく自然体でいたいし、これからもそのなかで私は芝居を磨いていきたいと思うので、なるべくやりたいことは気にせずやります。
尾野:そんなこと言えた立場ではないですよ。ただ、私は、私がこのようにできたのは自分の力ではない、と思っています。自分は今までどおりで何も変わっていない、胸を張れるようなこともしていない。でも、いろいろな人の支えがあり、作品を見てくれる人がいたからこそ、私はここにいる。だから、周りを大切にすることかな。自分はどうしたって変われないですよね。周りを大切に思う気持ちを持ち続けていればいいことがあるんじゃないのかな、って思います。
尾野:ええ、そうですか!? それはメイクさんのおかげ(笑)。
尾野:いや、何もないですよ。私も一度は頑張ったことはあるし、きれいな服を着てみようとか、ふだんとは違うスタイルにしてみよう、とやってみたことはありましたが、結局、無理なんですよね(笑)。逆にストレスの塊になってきて。だから、常に無理をしない。やりたいこと、着たいもの、言いたいこと、を普通にする。人に見られるようになったからこうしよう、という気持ちはなくて、ある程度の基準を守っていれば、自分の素のままでいいんじゃないかな、と思います。
(text&photo=秋山恵子)
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