1949年6月22日生まれ、アメリカ合衆国のニュージャージー州出身。イェール大学演劇大学院に学び、舞台俳優としてキャリアをスタートさせる。ロバート・デ・ニーロと共演した『ディア・ハンター』(78年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。『クレイマー、クレイマーで』(79年)アカデミー助演女優賞を、『ソフィーの選択』(82年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でも主演女優賞を受賞しており、これまでアカデミー賞に21回ノミネートされ、3度の受賞がある。主な出演作は『恋におちて』(84年)、『マイ・ルーム』(97年)、『めぐりあう時間たち』(02年)、『プラダを着た悪魔』(06年)、『マンマ・ミーア!』(08年)、『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(16年)など。
ピューリッツァー賞とトニー賞を受賞し、現代アメリカ演劇の金字塔とも言われる舞台劇「August:Asage County」を映画化した『8月の家族たち』は、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツが初共演を果たし、ユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュリエット・ルイス、アビゲイル・ブレスリンら演技派スターらが脇を固め、さらにはジョージ・クルーニーがプロデューサーをつとめた豪華な作品だ。
父親が失踪したという報せを受け実家へ戻ってきた3姉妹と、率直で毒舌で気の強い母親が繰り広げるドラマに驚き、笑い、感動する2時間の物語だ。合わせ鏡のような母子を演じたストリープとロバーツが激突し、乱闘を繰り広げ、きれい事では済まない家族の姿が映し出されていく。
本作で強烈な個性を放つ母親を演じたストリープに、作品の魅力を語ってもらった。
ストリープ:ある動揺すべき出来事が起こり、家族が集まるという物語。「家族の再会」はよくあることだけれど、かつて抱いていた恨みやつまらないたわごとがよみがえってくるんです。私が演じるヴァイオレットは、“家族”という機能をもはや果たしていない家族の女家長です。彼女は人生に失望していて、周囲に八つ当たりをするような女性です。彼女は自分の過去や、癌、そして最悪な自分自身──つまり薬を服用しても部屋から一歩も外に出ることができないような自分自身──に苦しめられているんです。 彼女はなかなか面倒な人間で、かつ毅然とした人なんです。
ストリープ:ええ。7、8年前にニューヨークで見ました。上演時間は長いのですが、見終わって、「えっ、もう3時間半経ったの!?」と感じたのを覚えています。まるで大草原を竜巻が通過したみたいに。ほとばしるような言葉、感情、争い、恨み、狂気にあふれていて、とてもおもしろかった。いろんなものがぎゅっとたくさんつまった作品でした。
ストリープ:トレイシーにとってはプレッシャーだったと思うわ。彼はこの戯曲でピュリッツァー賞を受賞したのに、その作品をばらばらにして、もう一度最初から組み立て直すことになったんですから。最愛のものを葬らなくてはいけない、映画を作るというのはそういうことなのね。
でも全体として、彼自身が言いたかったことのエッセンスは脚本に残っていると、私は感じました。
ストリープ:撮影中はまとめて「ジュールズ」と呼んでいました。ジュリア・ロバーツの演じた長女・バーバラは、(私の演じた)ヴァイオレットのお気に入りです。それを他の2人もわかっている。 ヴァイオレットは、多くの間違った考えを持つ両親と同じように、1人の子どもにだけ希望を託し、有望だと思い、1番手塩にかけるんです。バーバラのキャラクターと、彼女の聡明さ、失望したときの感覚は母親にそっくりだと考えざるをえません。そしてそれこそヴァイオレットを恐れさせるものなのです。ジュリアにとってもバーバラになりきるのは辛かったはず。なぜなら、現実のジュリアはとても温かくて愛嬌のある女性なのに、きっと(観客は)ジュリア自身と役を結びつけて見てしまうでしょうし。バーバラが人生においてすべてのドアが閉まっていると知ってがっかりするところを演じるのは辛かったと思うわ。
ジュリアン・ニコルソンとは初めて共演したけれど、彼女はものすごいパワーを持つ女性ね。そしてジュリエット・ルイスにはみんな呆気にとられたわ。初めての本読みのときに、みんな笑いすぎて泣いていましたね。彼女の作り上げた役柄は変人なの。この母親と、彼女が人生で選んだひどい男と共に歩んできた心の傷はとても深いんです。
ストリープ:みんな、自分の家族にある種の安堵を感じると思う。家族っていつもあんなに悪いものじゃないわ! もちろん時々は良くないこともあるけれど、「幸せな家庭はみんな同じ、不幸な家族はみんなそれぞれ別の形で不幸」とトルストイも言ってたわ。この映画はそう解釈できるわね。
私たちは、休日のディナーを一緒に過ごしたり、家族が強制的に集まらないといけないような行事のときは一緒に過ごしたりするけれど、家族全員がそれぞれ違う感情を持っています。私たちはみんなある時点までは家で育ちます。でも、誰しもが家庭という育った場所を離れることに向き合うときが来るんです。そして、家と結びつきを残したままにする人もいれば、そうでない人もいます。
ストリープ:観客のみなさんには、幸せを感じ取ってほしいですね。そして、映画のなかで登場人物たちが経験してきた物事を、観客も経験している最中だと思ってもらえたら嬉しいですね。
NEWS
PICKUP
MOVIE
PRESENT
-
【吉田大八監督登壇】『敵』Q&A付き試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2024.12.30 -
安田淳一監督のサイン入りチェキを1名様にプレゼント!/『侍タイムスリッパー』
応募締め切り: 2025.01.10