1930年5月31日生まれ、アメリカのカリフォルニア州出身。不遇の下積みを経て、『荒野の用心棒』(64年)、『ダーティハリー』(71年)などで俳優として活躍後、『恐怖のメロディ』(71年)で初監督に挑戦。『許されざる者』(92年)と『ミリオンダラー・ベイビー』(04年)でそれぞれ米アカデミー賞Ⓡ最優秀作品賞並びに最優秀監督賞を獲得。主な監督作は『ミスティック・リバー』(03年)、『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』(共に06年)、『ジャージー・ボーイズ』(14年)など。
『ミリオンダラー・ベイビー』『硫黄島からの手紙』『グラン・トリノ』……80代の今も、見る者の心を震わせる珠玉作を紡ぎ続ける名匠クリント・イーストウッド。その彼が、イラク戦争を主軸に、“伝説のスナイパー”と称えられた狙撃兵と家族との絆、葛藤を描いたのが『アメリカン・スナイパー』だ。
米軍史上最多の160人を射殺した兵士の実話をもとにした作品で、全米で昨年12月25日に封切られ、今年1月16日からは拡大公開され大ヒット。3億ドル(約360億円)を超える興行収入を記録し、人々を感動の渦に巻き込んだ。
これまで『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』の傑作戦争映画を生み出してきたイーストウッド監督に、作品に込めた思いを語ってもらった。
監督:私はこれまでにも戦争を扱った映画を作ったが、このストーリーは、クリスの戦場での功績と彼の人生の個人的な側面がどう交わるかを描いているので、とても面白いと思った。個人的な面を掘り下げることで彼がより興味深い人物になった。戦争がひとりの人物に与えるダメージが明らかになるが、家族全体に与えるプレッシャーも描かれている。戦場へ送り込まれるときに、どれだけの危険があるのかを思い出し、そして、彼らが払う犠牲を再認識することは大切だ。だからこそ私は、このストーリーを語ることがとくに意味深いものだと思ったんだよ。
監督:クリスは、弱者のために戦う意義を信じている、大柄で強い少年だった。それは狙撃手としての彼の役割にも通じるものだった。彼の役目は、地上の部隊のために目を光らせ、地上からは見えない敵から彼らを守ることだった。
彼は、信念と共に育ったんだ。彼は子どものころから、世の中には他者を守るために生まれてきた人々がいるという考え方を植えつけられ、自分もまさにそのひとりであると感じた。それが、家族を残していかねばならないというジレンマに苦しみながらも、彼が戦地へ戻り続けずにはいられなかった理由のひとつなんだよ。彼は、常に求められている以上の責任を果たそうとするタイプの人間だったんだ。
監督:彼らと過ごした時間は極めて重要だった。クリスの人となりを彼自身の家族から、よりはっきりと聞くことができたからだ。彼らは皆、すばらしい人々だったよ。彼らと会ったことで、(主演の)ブラッドリー(・クーパー)と私は、このすばらしい人物を失ったことへの悲しみと、この映画を作ることに関してさらに湧いてきた熱い思いが入り混じった気持ちになったものだ。
監督:撮影はモロッコで行ったんだ。モロッコの建築物はイラクにとてもよく似ているからね。ある様式を捉えるためのセットならどこにでも建てることができるが、町全体、都市全体の雰囲気を創り出すワイド・ショットだとセットでは再現が難しい。だから、モロッコはロケ地としてピッタリだった。
監督:体質的にある方向へ自然に向かない場合、それを達成するには休みなしで頑張らないといけない。ブラッドリーはそれを見事にやり遂げた。出番でないときに、彼がミルクセーキや栄養食などを手にしていないことはなかったんじゃないかな。撮影最終日には、『助かった、これでもう食べなくて済む』と言っていたよ(笑)。ブラッドリーの熱意とプロ意識は圧倒的だった。彼は全力でこの仕事に取り組み、この作品のあらゆる側面をどうすればベストの形に作り上げられるかについて、つねに考えていたよ。
監督:この映画は緊迫したアクション満載だ。けれど、ストーリーを展開させていくのは人間関係なんだ。クリスと戦友たちとの関係、そして特にクリスと(妻)タヤの関係はこの映画で一番重要だ。クリスがタヤに夢中なのは明らか。だが、彼女に対する気持ちと同じくらいの強さで、彼は祖国から要求されている任務の遂行を誓っていた。
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