1964年1月7日生まれ、アメリカのカリフォルニア州出身。フランシス・フォード・コッポラの甥で、ソフィア・コッポラは従姉妹。『初体験/リッジモント・ハイ』(82年)でデビュー。『バーディ』(85年)で注目を浴び、『ペギー・スーの結婚』(87年)、『月の輝く夜に』(88年)、『ワイルド・アット・ハート』(91年)などの話題作に出演。『リービング・ラスベガス』(96年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞。主な出演作は『ザ・ロック』(96年)、『フェイス/オフ』(98年)、『ナショナル・トレジャー』(05年)、『キック・アス』(10年)など。
ひょんなことから麻薬マフィアの莫大な隠し金の存在を知った2人の警官。欲に目がくらんだ彼らの強奪計画を追った『ダーティー・コップ』が、8月20日より公開される。監督は、ジャスティン・ビーバーの”Where Are U Now”で2015年MTV Musicアワードを受賞したベン&アレックスのブリュワー兄弟。ごく平凡な警官が狂気の縁へと突き進む様子をテンポ良く描き出す。
演じるのはベテランのニコラス・ケイジと、演技力に定評のあるイライジャ・ウッド。後輩警官に誘われるままに汚職に手を染めるも、次第に欲望の怪物と化していく中年男を鮮やかに演じるケイジに、本作について語ってもらった。
ケイジ:2人に初めて会ったのは、『ラスト・リベンジ』(ポール・シュレイダー監督)、『バッド・ルーテナント』(ヴェルナー・ヘルツォーク監督)など大御所との仕事が続いていた時期だったので、そろそろ若い駆け出しの監督と組んでみたいと思っていたところだったんだ。ビジョンを持った情熱的な若手監督なら私を違う風に料理してくれたり、再発見してくれたりするのではないかと期待したんだ。そもそもこの作品は脚本が良くできていて、キャラクター描写もしっかりしているし、台詞も良くて、光るものを感じたよ。だから読んですぐに出演したいと思ったんだ。そこでアレックスとベンとランチをして、実際に会ってみると映画のことをよくわかっているし、情熱的だったし、方向性がとても明確だったので感心したよ。
ケイジ:実は私もジェリーもラスベガス在住で、近所なんだ。ずっと前から食事をしたいと思っていたのだけど、それが何度かかなった。
その前にも会ったことがあって昔、ジェリーがサミー・デイヴィスJr.と一緒にラスベガスでショーをやっていたことがあって、親切にもチケットをくれたんだ。それを兄と見に行った。素晴らしいショーで、その後にジェリーが自分の泊まっているホテルへ呼んでくれた。会った時に僕は「あなたは僕のヒーローです。ヒーローと呼べるのはあなたとマーロン・ブランドくらいです」と言った。そう聞いたジェリーは、いかにもジェリーらしく少し間をおいて、「まあ、ブランドも悪くないけど」と返してきた(笑)。ジェリーはなんと日本の浴衣と靴下という出で立ちで、あの時の事は忘れられないよ。
その後に僕もラスベガスへ引っ越したのだけど、先ほど言ったみたいに数回食事を一緒にできた。そんないきさつもあって、今回の企画が舞い込んできた時に、「この役で出演してくださいませんか?」とジェリーに直接聞いてみたんだ。面と向かって聞くのは相手を追い込むことになりかねないので、めったにしないことなのだけど、どうしても彼と共演している所を映画という形で永遠にしたかった。ジェリーは快諾してくれて「ヤッター!」と思ったよ。映画ではいい芝居をしてくれているので、出演シーンがもう少しあればよかったのにと思う。
ジェリーはコメディだけでなくドラマでも素晴らしい腕を見せてくれる。スコセッシの『キング・オブ・コメディ』を見てもわかる。自分にとってはあこがれのヒーローだし、自分が俳優を目指したのもジェリーにあこがれてのことだったから共演は緊張したよ。でもまた共演してみたいと思う。
ケイジ:まず、台詞の覚え込みを2ヵ月前から始めることだね。台詞を身体に叩き込んでおけば、現場で余計なことを考えずに済むから。僕は台詞に縛り付けられるのはいやで、むしろ台詞に解放されたいと思ってる。台詞が体に入っていれば、必要あればアドリブしたり、脚本から逸れたりすることもできる。撮影中はシーン全体に意識を集中させなければならない。台詞のコトバに気を取られているようでは、そのコトバの根底にある思いや思考から意識が逸れてしまう。
ケイジ:現場では失礼のないように気を付けるようにしているけれど、どうしても気が散るものなんだ。だから「今は集中したい」という空気感を醸し出すことが大事。失礼な言い方をする必要はないけれど、伝えなきゃ分からない人もいるからね。僕はそこまで器用じゃないから、やたら明るく振舞って場を盛り上げ、すぐさま気持ちを切り替えて芝居に入るということができない。台詞の少ない日なら余裕はあるけれどね。
ケイジ:長年サポートしてくれて本当にありがとう。日本のみなさんが大好きだし、また日本に行きたいと思っているよ。日本は美しい国だと思うし、多くの名作を生み出している国だ。いつか日本で映画を撮りたいよ。
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