1995年2月10日生まれ、長崎県出身。2009年に女優デビュー。近年の主な映画出演作は『クリーピー 偽りの隣人』(16年)、『にがくてあまい』(16年)、『一週間フレンズ。』(17年)、『九月の恋と出会うまで』(19年)など。ドラマでも活躍し、最近はNHK大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』(20年、21年)、『着飾る恋には理由があって』(21年)などに出演。2022年は連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演。オフィシャルYouTubeチャンネル『川口春奈オフィシャル はーちゃんねる』も更新中。
人気コミックを、川口春奈と林遣都の共演で映画化した『にがくてあまい』。広告代理店でバリバリ働くキャリアウーマンのマキが、ある日、イケメンの渚に一目ぼれ。しかし、渚はゲイだった。しかも野菜嫌いのマキに対し、渚は菜食主義者で…。ひょんなことから一緒に住むことになったマキと渚がぶつかり合いながらも距離を縮めていく。
初共演となった川口と林にインタビュー。特別な関係を育んでいくマキと渚同様、ふたりからも気の置けない関係性が伝わってきた。
林:少女マンガって僕があまりやったことのない題材だったんです。それでまず興味を持ちました。でも原作を読んで驚きました。生活や恋愛模様がリアルでおもしろいなと思って入りました。
川口:今回、渚はゲイですけど、性別を超えて、恋愛でも家族でもない不思議な関係のふたりが、お互いを信頼していく。こういう形もいいなと思いました。それから家族にもいろんな形があって、人それぞれだと思うんですけど、そういう部分も描かれているので、いろんな人が見て、自分を投影したり、置き換えて考えてもらえる映画になっていると思いました。
川口:マキは、仕事はバリバリこなすけれど、私生活の性格は全く違う。そのギャップがおもしろいし、好感が持てたので、仕事をしているときはハキハキと頼られるような人なんだろうと意識して演じました。見栄を張ってウソをついちゃったりする部分は、私は自分の話を聞いてほしくて色々話してしまうタイプなので、マキとは違いますね。ウソも苦手ですし。ただ、自分を守るために見栄を張ってよく見せようとしちゃう人もいると思うし、すごく臆病になったりといった気持ちは分かるし、見た方にも、私も一緒だと思ってもらえれば嬉しいです。
林:チャンスだと思いましたし、楽しんで演じたいと思っていました。でも監督が想像していたよりも厳しい方で、楽しむという意識ではダメでした。イメージでやってほしくないと。実際に話を聞きに行こうということで、一緒に新宿2丁目に行ったり、時間をかけてゲイの方と交流を持つようにしました。最初に言われて印象に残っているのは、ゲイの人は立っているだけで、歩いてくるだけでゲイだとわかると言われたことです。そこを目指して作っていきました。吸収できるものはできるだけ吸収したかったので、いろいろお話しを聞きました。
川口:ゲイの方にもいろんなタイプがあると思うので、渚はそこまでゲイであることを全面に出している人ではないので逆に難しかったんじゃないかなと思いました。ただ真剣佑くんとのシーンは面白いなって思いましたね(笑)。私は一緒にいなかったので、出来上がった作品で初めて見たんですが、さすがだなって思いました。
林:ははは。そういう要素を分かりやすく出せるのが真剣佑さんとの場面だったので、カットされてもいいからと、思いっ切りやりました。
川口:実際にお会いしてみて、すごく男っぽい方なんだなと思いましたね。
林:本当にゲイなんじゃないかって思ってたんだよね。
川口:はい。どんな人なのかなって。話していくうちにいろいろと見えてきて、とっても好きになりました。私と真逆なので楽しいです。
林:僕も地方出身なので、春奈ちゃんが島出身だと聞いて親近感があって、絶対にいい子だろうな、気が合えばいいなと思ってたんですけど……。
川口:出身地だけでそうやってカテゴリーされたくないです。島出身だから、東京出身だからなんだっていう。それは差別ですよ。
林:はい……。反論されましたけど(苦笑)。お会いして一番いいなと思ったのが、春奈ちゃんは常に正直でウソのない感じがしたことです。分かりあったり仲がいいからこそ、いい空気が生まれる役柄だと思ったので、よかったですね。
林:野菜は好きですが、料理はほとんどしません。
川口:煮物を極めてます。かぼちゃが大好きで、そぼろが入っているのが特に好きなんですが、実家の味付けを教えてもらって一時期そればかり作って食べてた延長線上で、煮物をよくするようになりました。ジャンルだと和食が多いです。
川口:好きになりそうでも、絶対に叶わないならブレーキをかけますかね。傷つきたくないから。でもマキと渚みたいに、恋愛を超えた2人の関係性というのも見ててすごくステキだなと思ったので、恋仲にならなくても形はあるのかなと思います。
林:普通、かなわないってわかったら離れていくものだと思いますけど、マキと渚の関係は本当にステキだと思います。異性で深い悩みとかを打ち明けられるような相手って、僕にはいないので、いいなと思います。
──マキは渚に一目ぼれしますが、一目ぼれの恋はあり?
林:ありだと思います。
川口:実際に一目ぼれをしたことはないですけど、でもロマンチックでいいなとは思います。
川口:おいしいご飯がいっぱい出てくるので、きっとおいしいものが食べたくなります。私もなりました。あと、みんなそんなに順風満帆じゃないよ、みんな日々頑張って生きているんだよ、だから、また明日も頑張ろう。そう思える映画になっていると思うので、バリバリ働く女性の方はもちろんですが、男性や、いろんな世代の方に見てほしいと思います。
林:欠点もいっぱいあるけれど、でもありのままでいいと思っていたふたりが出会って、克服して前に進むために背中を押しあう。そんなステキな話だと思います。家族の存在の大きさにも気づかせてくれますし。見る前より、前向きにさせてくれる作品じゃないかな。
(photo&text:望月ふみ)
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