『ホワイトリリー』飛鳥凛インタビュー

日活ロマンポルノ生誕45周年を記念して立ち上げられた「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の最後を飾る映画『ホワイトリリー』が公開を迎える。監督を務めたのは『リング』シリーズなど、数々のホラー映画を手掛けた中田秀夫、主演には特撮ドラマ『仮面ライダーW』で園咲若菜役を務めた飛鳥凛が挑む。

飛鳥は、著名な女性陶芸家の弟子として、愛とも依存とも判断がつかぬ複雑な感情で、尊敬する師匠に身も心もささげる女性を演じている。ロマンポルノらしい大胆な濡れ場やヌードを披露した飛鳥に、本作出演で得られた感情や、今後の女優人生などを聞いた。

飛鳥凛

飛鳥：すごくリアルな女性が描かれているという印象がありますね。今の恋愛ものって、濡れ場やベッドシーンを飛ばしているものも多く、どこか抜けた感じがあるのですが、ロマンポルノって恋愛ものとして見ると、女性の生々しさが描かれているなと思います。

飛鳥：オーディションを受けるとき、中田秀夫監督がメガホンをとられると聞いていたんです。もともと私は中田監督の大ファンだったので、もしかしたら監督作品で主演を務められるかもしれないという思いが強かったです。

飛鳥：そうですね。服を着るとか着ないというよりも、中田監督の作品に出られるかもという期待だけでしたね。ただ、映画は一生残るものなので、いざ出演が決まったときは、見た目からきれいに映らないといけないということは意識しました。

『ホワイトリリー』
(C) 2016 日活

──本作は、女性同士の愛情というか依存というか……そういった感情がぶつかり合う作品でしたが、演じてみていかがでしたか？

飛鳥：リハーサルの段階からかなり緊張していましたね。濡れ場を経験するのも初めてでしたし、どうしたらいいかわからなかったので、中田監督とはたくさん話をしました。それでもうまくいかなくて、リハーサルの時に悔し涙を流したこともありました。

飛鳥：お相手が大先輩の山口（香里）さんだったのですが、山口さんも脱いでいるし、私も脱いでいるし……女性同士ということで仲間意識を持てました。その意味ではすごく集中できる環境でした。

飛鳥凛

飛鳥：全体的にしっとりとした暗いシーンが多かったのですが、私はもともと暗い感じの心理戦が好きなのです。難しかったですが、中田監督がワンシーンワンシーン、丁寧に説明してくださったので、役柄に対しては疑問もなく臨めました。

飛鳥：『仮面ライダー〜』はキャラクターものとして明るくて大好きなのですが、私自身はもともとホラー映画が大好きなんです。今回はホラーではありませんが、あのしっとりとしたリアルさや、生々しい人間関係、ドロドロとした感じが好きなんです。

飛鳥：感情の起伏が激しいところは似ているかもしれません。ただあそこまで誰かに依存したことはないですね。

『ホワイトリリー』
(C) 2016 日活

──ロマンポルノといえば魅せる濡れ場も見どころの一つですが、意識したことはありますか？

飛鳥：身体作りは撮影に入る前にやっていたので、特に現場では意識したことはありませんでした。山口さんと2人で作り上げていった感じです。

飛鳥：最初に撮ったのが、幻想的な百合の世界でのラブシーンだったんです。先生とはるかの関係と、私と山口さんの関係がリンクして、絶対的な信頼感の中で撮影をしました。依存や慈しみなど色々な感情で、ワンシーン、ワンシーン気持ちを込めて臨みました。

『ホワイトリリー』
(C) 2016 日活

──出来上がった作品を見てどんな感情が沸いてきましたか？

飛鳥：自分のことだけれど、別の世界が映っているような感じでした。自分が一番好きな世界観で、しっかりとはるかに対して気持ちが寄り添うことができたなって。気持ち的にも吹っ切れたし、一歩踏み出す勇気、すがすがしい気持ちになれました。

飛鳥：この作品に関われたことによって、自分の殻を破れたのかなって思っています。撮り終わった後の達成感もありましたし、もっと前にいけるな、自分も変われるなって思ったんです。

飛鳥凛

──実際この作品に出演して変わったなと感じた部分は？

飛鳥：撮影後のお仕事でも、どこまでもいけるんじゃないかっていう気持ちになりました。どんな役が来ても、真摯に受け止めてお芝居ができるという自信がつきました。

飛鳥：家族は、私がこの仕事を始めるときから、私の考えや意見を尊重してくれているので今回も応援してくれました。女の子の友だちは「おめでとう！って（笑）。凛は身体がきれいだから、今のうちに残しておいてよかったね！」って言ってくれましたね。

飛鳥：男性ももちろんですが、女性に向けても、一歩を踏み出す勇気や、恋愛に前向きになれるような心に寄り添った作品になっています。

（text＆photo：磯部正和）