1975年8月12日生まれ。アメリカ・マサチューセッツ州出身。10代からテレビに出演し、『誘う女』(95年)で映画デビュー。2007年には兄ベン・アフレックの初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で主演を務めた。本作でアカデミー賞主演男優書を受賞。主な作品は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97年)、『オーシャンズ11』(01年)、『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07年)、『インターステラー』(14年)など。
ある事件をきっかけに故郷を離れた男が、兄の死をきっかけに故郷へと戻る。二度と戻ることはないと思っていたその町で、一体何があったのか? アカデミー賞主演男優賞、脚本賞を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、人生の絶望と再生を丹念に描き出した珠玉のドラマだ。
主演はケイシー・アフレック。ベン・アフレックの弟でもあり、演技派として高く評価されてきた彼に話しを聞いた。
アフレック:舞台となるのはマンチェスター・バイ・ザ・シーという町だ。僕が演じる登場人物リーの現在と過去が交差して物語が進んでいく。ミシェル・ウィリアムズ演じる女性が元妻だが、とても悲惨な事故により妻と別れて町を出ることになってしまう。その後、兄が亡くなり、ルーカス・ヘッジズ演じる甥のため町に戻る。でも本当は、リーはマンチェスター・バイ・ザ・シーに二度と戻りたくなかっんだ。多くの住民は、僕が悪い男で、事故を引き起こした張本人だと信じてるからだ。なかなか笑える映画だよ。
アフレック:僕にとってすばらしい経験だった。難しい場面や深刻な場面を撮影する日がとても多く、セットで繰り返し、撮影を行う日が延々と続いた。でもルーカス・ヘッジズたちと共演した場面の中には“とても面白い”と思ったものもあったよ。冗談っぽくないけど、僕が好きな種類の“笑い”で、大げさでバカげたことよりも面白く思えて、もっともらしく感じた。
──本作は、あなたのお兄さんの親友でもあるマット・デイモンがプロデュースした作品です。彼の構想をケネス・ロナーガン監督が受け継ぎ、作られたそうですが、監督の脚本はいかがでしたか? 元々、脚本家として高い評価を受けている方ですよね。
アフレック:マット以外にも構想に携わっていた人たちがいた。彼らがケネスに脚本を依頼したのは、賢明な手段だったと思う。結果として、ケネスは彼らの構想という種を元に、すばらしい物語を仕上げたんだ。
アフレック:監督は町に行ったことがないんだ。けれど、彼の脚本は地元で育った人が書いたものとしか思えないものだ。
いい耳を持っているだけではなく、彼は誰にでも通じる話し方が理解できるようだ。アクセントやスラング、口調など地域の特徴は身につけられる。だけど脚本で重要なのは物語の内容や登場人物を描写する方法で、とにかく彼の脚本は、魔法みたいだ。登場人物は皆、複雑で真に迫っていて、本物の人間のようだね。
アフレック:僕が演じた男は 事故後に警察と話し解放されるけど、責任を感じていたので納得できない。だけど警官に「今週末、多くの人が犯してしまう程度の間違いだ」「運が悪かっただけさ」と言われる。つまり悪意で起こした事故でなく、ただ少し不注意だったと言える。雑にカーブを曲がり黄信号で突き進んでも、人を殺すつもりはないってことなんだ。
アフレック:準備の方法はいろいろあり時には自分の弱点に重点的に取り組むこともある。例えば、もし僕がアマゾンで10年暮らした人物を演じるなら アマゾンへ行く。でも今回はわざわざ行かなくても町や言葉や人々の生活も分かっていた。すばらしい脚本が手元にあったので、物語や場面、登場人物に矛盾な点はなく、迷うこともなく、信頼して従うだけだった。だから僕がすべきことはセットに現れて正しい感情を表現するだけだった。例えば僕が兄の遺体と対面する場面では身元確認をしてからお別れしなくてはいけない。言うまでもないことだと思うけど、楽しい気分でセットに現れたりしない。本当にうろたえているよう演技するだけだったけど、ひとつのことだけに集中したから楽に感じた。ケネス(・ローガン監督)も共演者もすばらしかったので登場人物の感情を意識するだけでよかった。
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