1988年10月24日生まれ。千葉県出身。映画『恋の渦』(13年)に出演し、奔放な役柄を好演。その他『春子超常現象研究所』(14年)、『リアル鬼ごっこ』(15年)、『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(16年)などに出演する一方で、Web小説や雑誌のコラムなど執筆活動も行っている。
元日本経済新聞の記者で、AV女優だった過去や夜のお姉さんとして生きた経験を綴った鈴木涼美の著書「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」を映画化した『身体を売ったらサヨウナラ』。
本作で主人公・鈴木リョウコを演じているのが、女優・柴田千紘だ。誰もが羨むような経歴を持ちながらも、昼と夜でまったく違う顔を見せた女性を演じ、劇中ではヌードを含む体当たりの演技を披露した柴田だが「ためらいはなかった」とあっけらかんと話す。そんな彼女の内面に迫る。
柴田:原作が面白かったということが一番ですが、単純に長編映画で主役をやらせていただくチャンスはなかなかないと思うので、よほどひどいものではなければ、なんでもやろうという気持ちが強かったです。
柴田:(原作者の)鈴木(涼美)さんの完全コピーだったら、私は貧乳で体型も違うので、厳しいんじゃないかなと思っていたのですが「別物なので」と聞いて、ぜひやりたいと思いました。裸に対する抵抗はありませんでした。
柴田:女脳の書き方だなと。すごく文章がスッと入ってきました。あとは、私自身、主人公に共感できる部分も多かったんです。
柴田:現状に対する漠然とした不満みたいな。私は物事に対して、あまり深く考えないというか、大げさに考えないんです。例えばすごく嫌なこと言われても、それほど気にならないんです。でも女優として、しっかり感情を貯めこんだり発散したりすることって重要だと思っているので、足りないなって……。そういう不満みたいなものが、原作の主人公と似ているのかなって感じました。
柴田:そうですね。自分の正直さにこだわる面倒くさい部分もあるのですが、基本的にはなんでも許せちゃうんです。嘘つかれたり裏切られたりしても、まあいいかって。
柴田:演技に関して言われたら気になりますが、例えば、私はアゴが曲がっているのですが「アゴ曲がり!」とか見た目の批判とかは、面白いなって思えますし、あまり気になりません。
柴田:そうなのか、それとも人に興味がないのか(笑)。あまり一般常識的な感覚で人を判断しないですね。
柴田:そうですね、シンパシーは感じます。私は人が悪いということを、そのまま悪いと思いたくないんです。ルールやマナーはありますが、なぜそういうルールになっているのかをしっかり考える方です。そこに明確な理由がないものには、無条件で従うのは嫌です。
柴田:ないですね。友だちでAVやっている子もいます。裸に関してもいろいろな感じ方があると思います。自分がアートだと思えばそれでいいし、エロを売りたいと思ったっていい。自分がやりたいことを気にせずやるタイプなので、いまは女優の仕事をしていますが、もし先にそちらに興味を持っていたら、やっていたかもしれません。基本的に誰が何をやっていても、その事柄だけで線を引きたり、否定したりはしないようにしています。
柴田:先日トークショーでも会いましたし、撮影前にもお話しさせていただきました。試写を見ていただいて、気に入ってくださっているようなので安心しました。
柴田:撮影が6日間ということかなりタイトで、なかなか大変でしたが、よく声を掛けていただき、それを励みにやっていました。
柴田:それは大丈夫だったのですが、ヌードの撮影のとき、現場に人がすごく多かったんですよ。「まあいいや」って割り切っていたのですが「こんなに人がいる必要あるのかな」って思いました(笑)。
柴田:昔から好きな女優さんだったので、母親役をやっていただきテンションが上がりました。(筒井が出演している)『淵に立つ』のときのお話しを聞いたのですが、あの映画で10キロ太られたんですよね。筒井さんは「痩せるのは簡単だけど、太るのは命が心配なの」って話されていて、命を削って女優をやっているんだなって感動しました。
柴田:急だったので、どうにもならない部分は諦めました。内田監督は「あまり気にしなくていい」とおっしゃっていたのですが、マネージャーさんからは「ちゃんと絞れ」って言われていたので、一応、むくみなどが出ないように撮影前からお酒はやめました。15日間ぐらい、お酒は飲まなかったです。そうするとすっきりするし、寝起きもいいんですよね。
柴田:基本的には毎日飲んでいたので、やめていた約15日間は、新世界のようでした(笑)。
柴田:原作の知名度もありますが、私のことをまったく知らない人にも見てもらえる機会があるので、この映画のヒットはもちろんですが、私自身も次につなげられたらいいなと思っています。
柴田:内田監督も海外で実績がありますし、私も洋画マニアで海外でもお芝居の仕事をしたいと思っています。この映画も海外の映画祭などに羽ばたいていって欲しいです。
(text&photo:磯部正和)
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