1959年2月22日生まれ。アメリカ・ワシントン州出身。大学卒業後、舞台を経てデヴィッド・リンチ監督『デューン/砂の惑星』の主演に抜擢されて映画主演デビュー。リンチ監督の『ブルーベルベット』(86年)、ジャック・ショルダー監督の『ヒドゥン』(87年)を経て、1990〜91年に社会現象にもなったTVシリーズ『ツイン・ピークス』に主演。TVでは『セックス・アンド・ザ・シティ』や『デスパレートな妻たち』に出演。映画はオリバー・ストーン監督の『ドアーズ』(91年)、ポール・バーホーヴェン監督の『ショーガール』(95年)、アカデミー賞長編アニメ賞受賞作『インサイド・ヘッド』(15年)ではヒロイン、ライリーのパパ役で声の出演。
美少女ローラ・パーマーの殺人事件の謎を追うサスペンス、謎に満ちた幻想的な展開が世界中を熱狂させた90年代伝説のドラマ『ツイン・ピークス』。奇才デヴィッド・リンチ監督が、最終話の25年後を描く全18話の新作『ツイン・ピークス』を完成させた。WOWOWプライムで7月22日からの放送スタート目前に、主役のFBI捜査官/デイル・クーパーを演じるカイル・マクラクランが来日した。
マクラクラン:いや、そういう話は全然なかったですね。ABCが打ち切りを決めた時点で終わりということになったと思います。当時はがっかりしました。ボブが乗り移ったクーパーを演じることに新しい可能性を感じていたし、とてもやりたかった。だから、僕自身は不本意な思いもありました。
マクラクラン:当時は思いませんでした。ただ25年後、つまり3年前ですが、多くの『ツイン・ピークス』ファンが僕やデヴィッド、マーク(・フロスト)にSNSを介して「25年後になりますよ」と知らせてきてくれたんです。つまり、新しく番組を作る必要があるんだ、と。そういうファンの声がクリエーターたちには助けになったんじゃないでしょうか。
マクラクラン:それは、驚きでした。各エピソード……というより時間と表現した方がいいな。本当に興味深く、見ているのが楽しい。今は視聴者として楽しんでいる感覚です。
マクラクラン:わかりません(笑)。脚本は全部読みましたが、それが全てではないかもしれない。というのは、デヴィッドが書き直したり、他のシーンを付け足しているようだし、編集もある。だから、今シーズンがどういう風に終わるかはわかりません。僕自身、現時点ではまだ8話までしか見ていないんです。
マクラクラン:頑張ります(笑)。まず、巨人と一緒に赤い部屋にいるデイル・クーパー。そしてボブに乗り移られ、25年間この世界で悪いことをやりたい放題のクーパー。そして僕はダギー・ジョーンズという人物も演じています。彼らの間で緊張感が高まり、どこかで何かが起きることになると思います。
マクラクラン:俳優としても、一視聴者としてもね(笑)。挑戦だったけど、喜びでもありました。普通なら演じる機会がないものですから。
──今回のシーズンは以前にも増して、ますます抽象的な描写が増えた印象です。撮影の際、そういうシーンについてデヴィッド・リンチやマーク・フロストは説明してくれるのか、それとも演じる側に委ねるのでしょうかか?
マクラクラン:僕から質問することもあります。でも、とにかく演じてみて、デヴィッドに任せます。彼の心の中に全てのストーリーがあるから。だから、僕自身は自分の役に集中して演じるという感じです。僕の演技を見て、必要だと思えばデヴィッドは説明もしてくれます。とはいえ、最小限のことしか説明したがらないし、それ以上は僕自身もプッシュしません。
マクラクラン:世界中いろいろな国で様々な人たちにインパクトを与えたと思います。アメリカでもそうでした。普通じゃないストーリー、思いもよらない行動をとるキャラクターたち、映像、説明のつかない奇妙な情景があったり。予測できない驚きの部分にみんなが反応した。音楽も特徴的で引き込まれるものでした。本当に全てにおいて新鮮で、とても新しかったんだと思うんです。以後、たくさんの番組が生まれました。真似しているわけではありませんが、情景やイメージなど、今までとは違って伝統的ではないものを作る。その流れを作ったのは『ツイン・ピークス』だと思います。
マクラクラン:確かに他の俳優と同じことはやっていないですね。普通じゃない役もたくさんオファーされるようになりましたが、そのおかげで僕のキャリアはより面白いものになったと思っています。
マクラクラン:とても興奮しました。まずストーリーが、前シーズンに寄りかかったものじゃなかったこと。戻ると言うより、先に進んで、新しい要素が含まれていたこと、クーパーのキャラクターを演じ分けるチャレンジがあることに興奮しました。
マクラクラン:デヴィッドと僕はロサンゼルスでご近所さんなんです(笑)。なので、普段よく会うし、そこで昔話をしたり、お互いの近況を話したりしています。映画やTV業界といった仕事以外の話も常にしていて、友情はずっと続いていました。同時にもちろん、彼とまた仕事をしたいという気持ちはずっとありました。彼みたいな人はいませんから。唯一無二です。彼しか作れない世界があって、そこで俳優として演じられるのはエキサインティングで、彼との仕事はやりがいがある。本当に彼との仕事は恋しかったです。
マクラクラン:レコーダーに話しかける時には何のイメージも抱いてませんでした。自分に話しかけている感じでした。記録というか日記みたいなもので。だから誰も思い描いてませんでした。クーパーがテープをどこかに郵送したりする場面もなかった……ですよね? ずいぶん昔のことで忘れてしまった(笑)。ダイアンがどんな人物か、今後のエピソードでその謎は解けると思います。
(text:冨永由紀/photo:中村好伸)
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