1983年9月9日生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス市出身。祖父は『欲望という名の電車』などを手がけた名監督エリア・カザンで、祖母は劇作家、両親は脚本家。イェール大学に学び演劇の学士号を取得、ブロードウェイの舞台でも活躍。映画『恋するベーカリー』(09年)、『ハッピーサンキューモアプリーズ』(10年)などに出演。『ルビー・スパークス』(12年)では主演と脚本を兼務した。
パキスタン出身の男性と白人女性が、異文化の壁を乗り越えるまでをユーモラスに描いた感動作『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』。実話をもとにし、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた話題作だ。
アメリカではたった5スクリーンの上映からスタートしながらも、口コミで人気を呼び、2600スクリーンにまで拡大上映されることとなった本作。同郷の妻を持つようプレッシャーをかける両親と白人恋人の間で揺れる恋人──そんな彼の行動に傷つくヒロイン、エミリーを演じたのはゾーイ・カザン。歴史に残る名監督エリア・カザンを祖父に持つ彼女に、映画の見どころなどを語ってもらった。
カザン:脚本がすばらしくユニークだと思ったの。これは、私が成長するにつれて自分をわかってきたからなのか、映画業界が変化してきたからなのか知らないけれど、ここ数年の私は、脚本を見ても食指が動かないことが増えてきたの。でも今回は脚本も物語もよくて、すっかり虜になっちゃったわ。
ネット上で実際のクメイルとエミリーの動画を見てみたらますますピンと来たし、私はジャド・アパトー(『40歳の童貞男』監督で本作の製作総指揮)や(本作を手がけた)マイケル・ショウォルター監督の作品のファンでもあった。それで、この“嵐”に参加してみたくなったの。
実際に現場に行ってみたら、みんなのやる気や集中力がみなぎっていて、私もその周波数に合わせたいって気分になったわ。
カザン:会う前は、嫌われたどうしようかと思って緊張しちゃった。で、会ったみたら、私が持っているのと同じブラウスをエミリーが着ていたのよ! 先行きいいかもって思った。しかも会った瞬間に、ずっと前から知っていたような気分がしたの。実際、共通の友だちも何人かいたのよ。そのうち、私の彼氏も一緒に、みんなで食事に行ったりして、すんなりなじめたわ。
カザン:映画の中のクメイルは実際の彼から5歩遅れてるって感じかな。今のクメイルははるかにバランス感覚があるし、心穏やかに過ごしているから、ちょうどいいわ。だって本当に追い詰められたら、コメディにもドラマにもならないでしょ。
カザン:今の世の中にとって必要な映画なんじゃないかな。特に大統領のことを考えたりするとね。こうしてアメリカで善良な市民として、みんなと同じ悩みを抱えて生きているムスリムの家族がいる。その豊かさや人間性は、皆さんにも興味を持っていただけるはずよ。
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