1977年10月19日生まれ、カナダ出身。アイヴァン・ライトマン監督を父に、女優のジュヌヴィエーヴ・ロベールを母に持ち、子どもの頃にロサンゼルスに移住。脚本家、CM監督を経て『サンキュー・スモーキング』(05年)で長編映画監督としてのデビュー、2作目の『JUNO/ジュノ』(07年)でアカデミー賞監督賞にノミネートされる。その他、『マイレージ、マイライフ』(09年)、『ヤング≒アダルト』(11年)、『とらわれて夏』(13年)、『タリーと私の秘密の時間』(18年)などを監督。
『タリーと私の秘密の時間』ジェイソン・ライトマン監督インタビュー
ワンオペ育児で疲労困憊ママに共感相次ぐ! 温かな眼差し貫く名匠に聞く
ワンオペ育児にママハラ、保活問題……。子育てをめぐる苦労は日本でも尽きないが、子育てに追われ疲れ切った主人公ママに大勢の女性たちが共感しきりのハートフル映画『タリーと私の秘密の時間』が、8月17日より公開される。
『JUNO/ジュノ』で妊娠してしまった女子高生の成長をユーモラスに綴り、『マイレージ、マイライフ』ではリストラ請負人の変化を温かな眼差しで描いたジェイソン・ライトマン監督が、シャーリーズ・セロンを主演に作り上げた本作は、3人の子を持つ疲れた母親が、風変わりなベビーシッターの助けを得て新たな人生を見いだしていく姿が感動を呼ぶ。ライトマン監督に見どころなどを聞いた。
監督:ディアブロ・コディが大晦日にメールをくれたんです。内容は「感想を下さい」とひと言だけで本作の脚本が添付されていました。気に入ったからシャーリーズ(・セロン)に転送したら、すぐに製作が決まったんです。
監督:彼女が描く女性像はとても複雑です。彼女たちは聡明で尊敬に値する人物だしユーモアもあるけれど、欠点も非常に多い。男性でも親近感を覚えるな。彼女は『JUNO/ジュノ』『ヤング≒アダルト』(共にライトマンの監督作)、そして本作で3つの違う世代の女性を描きました。1作目は10代の母親で、次は若い女性、今回は3児の母です。
監督:物語の主人公は3人の小さな子どもの母親で、彼女は疲れきっていて、夜間だけベビーシッターの助けを借りることにするんです。大人向けの『メリー・ポピンズ』ですね。そのシッターが、寝不足で倒れそうな母親を助けてくれるんです。乳飲み子のほかに、世話が必要な子が2人もいるのに! この作品は子育ての問題を扱っているだけじゃない。「若さ」との別れを描いているんです。
監督:僕自身も娘を持つ父親だから、娘の自我が目覚めた頃のことを思い出したりしました。子どもには親の幼少時代が鏡のように映し出されるから、自分の昔の姿も分かります。ディアブロの脚本は、主人公マーロと(ベビーシッターの)タリーの関係を非常に巧みに扱っています。マーロはタリーを通じて子どもたちを理解し、タリーを鏡として自分自身も見つめるんです。
監督:彼女は聡明な女性で、これまでのキャリアからも明らかなように、驚くほど才能のある俳優です。彼女との仕事は個人的にも楽しいし、お互いに信頼し合っています。シャーリーズの演技を見る時はショーを見ている観客の気分なんです。世界に先駆けて僕が鑑賞していて、撮影セットにいる時はモニター越しにリアルタイムで演技を見るのがまるで魔法のようです。
監督:マッケンジーを初めて見たのは『あなたとのキスまでの距離』という映画です。彼女はとても特徴的な顔だちでエネルギーに満ちています。目や指などの何気ない動きも素晴らしく、登場すると画面に電撃が走るんです。彼女とシャーリーズの共演は僕の思いつきだったけれど、予想通りの大成功でしたよ。
監督:彼は以前から僕が尊敬してやまない映画製作者です。俳優としても才能があるから、ずっと自分の作品に出てもらいたいと思っていました。今回ようやく監督としてカメラの後ろからマークの演技を見られたんです。彼は脚本も書けるからアドリブが得意だし、各シーンの意味を正確に理解してくれます。
監督:ロン・リヴィングストンはもっと評価されるべき俳優だと思います。驚くべき才能があり、彼がいるだけで画面にリアリティーが生まれるんです。頭の回転が速く、目ですべてを語ることができます。シャーリーズとロンはカリスマ的な演技力でリアルな夫婦を演じています。深い絆を感じさせる夫婦を演じるのは、恋人を演じるよりも難しい。出会って恋に落ちるだけなら簡単だけれど、3人の子どもがいる夫婦だと話は別です。長年連れ添う夫婦には独特の行動パターンが生まれる。ロンは、天才的な演技力で小さなしぐさを通じ夫婦の歴史を感じさせるんです。
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