1989年10月4日、アメリカ・テキサス州オースティン生まれ。英国アカデミー賞にもノミネート経験を持つ女優・プロデューサー。『フィフティ・シェイズ』シリーズにアナスタシア・スティール役で主演。そのほかの出演に、デヴィッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』(10年)、スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』(15年)、ルカ・グァダニーノ監督『胸騒ぎのシチリア』(15年)、『サスペリア』(18年)、ドリュー・ゴダード監督『ホテル・エルロワイヤル』(18年・未)がある。最新作『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(19年)でシャイア・ラブーフやザック・ゴットセイゲンらと共演した。この作品は昨年のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で観客賞を受賞、米国内で2000万ドル以上の興行収入を記録し、限定的な規模で公開された作品としては年間でトップの成績をおさめた。
昨年のアカデミー賞で脚本賞を受賞、美しい映像と切ない恋物語で人々を魅了した『君の名前で僕を呼んで』から一転、ルカ・グァダニーノ監督が挑んだのは戦慄のホラー映画『サスペリア』だ。
「決して一人では見ないでください」の宣伝文句を覚えている方も多いだろうが、70年代に日本でもブームを巻き起こしたダリオ・アルジェント監督の傑作を、グァダニーノ監督が再構築した作品だ。
主演は、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』での官能的な演技も記憶に新しいダコタ・ジョンソン。舞踏団の闇に取り込まれていく女性を演じた彼女に話を聞いた。
ジョンソン:ダリオ・アルジェント監督はオリジナルの『サスペリア』を生み出した人だけれど、本作をオリジナルと比較することはできないわ。この映画のことを知ったのは、ルカ・グァダニーノ監督と一緒に『胸騒ぎのシチリア』を撮影していた時。『サスペリア』のリメイクの計画があるけど、また一緒に仕事をしないかと聞かれたの。そのときにはもう、私と監督は強い信頼関係を築いていたから、彼が監督するものならなんでもやろうと思ったの。その時にオリジナルの『サスペリア』を見たわ。稀に見る素晴らしい映画だった。ここ数年間の間に何度も見たけれど、今まで見たことが無いような映画だった。
そしてその数年後…おそらく『胸騒ぎのシチリア』の2年後くらいだったかしら……、リメイク版『サスペリア』の第一稿を読んだわ。それから、話し合いが始まったの。ティルダとルカは、もう20年も前からこの映画の構想があったのよ。そして、その企画に加わることができたことは、信じられないことだった。非常に光栄なことよ。
ジョンソン:本当に視覚のフルコースみたいな作品。なぜこの映画が何十年もの間、こんなにホラー映画というジャンルに影響を与えてきたかよく分かったわ。まったく古くなっていない。今でもうっとりするわ。
ジョンソン:彼のことは大好きよ。彼は私の家族同然。彼は本当に素晴らしい監督で、これから残りの人生、彼と映画を作り続けたいと思っているし、実際そうなると思っているわ。
本作の撮影の前には、かなり長い時間話し合いを重ねたわ。いろんな参考資料を行ったり来たりしていたの。
ジョンソン:愛情にあふれた現場だったわ。考えてみて、40人の女性キャストたちと閉鎖されたホテルで猟奇的な映画を撮影するなんて、ものすごいことよ! 実際、月経周期まで全員同じだったの。すべて魔法のようだけど、助け合い、愛情、心からの深いつながりがあった。そして、とても解放的だった。そこで撮影されたものを世界中に見てもらえることを誇りに思うわ。
ジョンソン:映画の中のダンス・シーンに関しては、マリ―・ヴィグマン、マーサ・グラハム、ピナ・バウシュらを研究したわ。『赤い靴』も見た。私たちみんな、あの映画からは大きな影響を受けたの。ルカから教わったことは、すべて学んで役に取り入れようとしたわ。それに、(舞踏団のカリスマ的存在を演じた)ティルダ(・スウィントン)からも色々教えてもらった。彼らを通して、世界がどんどん広がっていったの。
ジョンソン:撮影に入る6ヵ月前からトレーナーについてリハーサルを開始したの。他の映画の撮影でバンクーバーに滞在していた時だったから、そこでトレーニングを行った。それから、70年代の音楽を色々取り入れたりもした。色んなジャンルの音楽を試したわ。ニーナ・シモンから、ジェファーソン・エアプレインや、ヴァシュティ・バニヤンまで。無作為に選出された曲たちよ。彼女の魂から生まれる踊りが、あらゆるスタイルの混合になるように。
撮影に入る1ヵ月前には、もうダンス・リハーサルに入っていたわ。その振付家は、ダミアン・ジャレだった。彼は素晴らしい振付家だったわ。そして、映画に出演していた他のダンサーたちは本物のダンサーたちだったのだけど、女優さんたちでもあったの。彼らと一緒にトレーニングを行い、それから撮影が始まったの。
ジョンソン:(平和主義と無抵抗をかかげる)メノナイト派キリスト教徒の家庭で育ったスージーは、生まれながらにして、彼女の魂がその宗教やそこにいる人々、そして規律と合わないと感じていたの。スージーは世界中を探検したいし、社会やセックスについて視野を広げたいとも感じている。彼女自身が気づいているかはわからないけど、彼女には生まれながらたくましさが備わっている。彼女は知らない世界に放り出された子羊のように、すべてに驚きはするけれど、臆病者ではない。なぜならそれは、彼女の望んでいることだから。彼女はすべてを手に入れたいと思う。当時のベルリンでは、女性がそんな行動をすることは珍しく、攻撃的とも見なされる。彼女の無邪気さは危険をはらんでいるの。
ジョンソン:この映画は色んな受け取り方ができる映画だと思うし、観客がこの映画をどう受け止めるのか、私も知りたいわ。決して単純な映画ではないから。なので、私からは、その質問には答えられないわ。
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