1975年1月28日生まれ、千葉県出身。数々の賞を受賞し、5年連続受賞により声優アワードでは殿堂入りを果たす人気声優。『進撃の巨人』のリヴァイ・アッカーマン役をはじめ、『夏目友人帳』シリーズの夏目貴志役、『物語』シリーズの阿良々木暦役、『黒子のバスケ』の赤司征十郎役、『機動戦士ガンダム00』のティエリア・アーデ役など、多数の人気作品で主要キャラクターを担当する。また、ミニアルバム「ハレロク」はオリコンで男性声優ソロアルバムでは初のトップ3入りを果たし、歌手としても活躍している。
一世を風靡したTVアニメシリーズ『おそ松さん』が完全新作劇場版『えいがのおそ松さん』となって帰ってきた!
2015年にTVアニメシリーズが放送開始され、瞬く間に大ヒットした『おそ松さん』。赤塚不二夫による昭和の名作ギャグ漫画『おそ松くん』を原作に、大人になった松野家の6つ子を描いたギャグアニメだ。2016年には、流行語大賞にノミネートされるなど、アニメファンだけでなく多くの人が魅了された。
そんな現場を経験してきた松野家の三男・チョロ松役を演じた実力派声優の神谷浩史が作品への思いと共に、制作秘話も話してくれた。
神谷:全然思っていませんでしたね。やってることはすごく面白くてギャグ作品は大好きなんですが、ギャグ作品でここまでいろんな人に知ってもらえるものになるという事はとても稀有なことでもあると感じていますし、ヒットして、本当に良かったです。
神谷:赤塚不二夫先生が偉大だということですよね、それに尽きます。マスターピースですから。記号化されていると言ってもいいぐらい多くの人が知ってる“おそ松くん”というキャラクターを使わせてもらった、そのアドバンテージだけで、もうデカいです。そんな多くの人が知ってる“おそ松くん”を現代に蘇らせて、なおかつ6人で1人分のキャラしかないということが面白いものだったのに、あえて6人それぞれに個性を持たせて、物語を作っていったのが画期的だったと思います。
神谷:それは僕にもわからないです。僕自身はギャグ作品が大好きで、初めて買ったDVDは『すごいよ‼マサルさん』(『セクシーコマンドー外伝すごいよ‼マサルさん』)でしたし(笑)。ギャグ作品は高画質で何回も見るものって思われてないのかもしれません。
神谷:それはやっぱりテレビシリーズ第1期のDVD第1巻が売れた瞬間ですね。怒られることはあっても褒められたことなんて1回もない作品だったんですよ(笑)。毎週毎週アフレコ現場にスタッフがやってきては、すみませんでしたって何かしら謝るっていうことがありました。DVD発売にあたって追加の収録作業をしなきゃいけなくなって、さらに差し替えるために、なぜかその場で歌を覚えて歌わされたり(笑)。そんな日々だったのに、DVD第1巻は「そんなに⁉」って驚くくらい売れたんですよね。通常とはケタ違いなぐらいに。ネットでも、今の言葉で言えば“バズる”状態になりましたから。
神谷:よくある話ですが、『おそ松さん』は定番な展開をやってきていないので逆に新鮮でした。ただ、話の入り口は定番だけれども、そこはおそ松さんだから、ハチャメチャでとんでもない展開になります(笑)。
神谷:高校生のとき、大人になったら何がしたいかなんてまったく何も考えてませんでした。勉強が好きではなかったので、大学に行きたいとは思ってなかったです。声優になれてなかったらと思うと怖い気もしますが、声優の仕事の大変さというのもありますからね(笑)。
神谷:特にギャグ作品では与えられたキャラクターやシチュエーションが面白ければ面白いほど、与えられた以上にもっと面白くしなきゃっていう妙な使命感が発生するんです。その使命感が強い人たちが集まっているという印象ですね。みんな当たり前のことはやらずに、常に楽しんでいて常に試されている感じがします。
神谷:うーん、そうだなぁ……6つ子が素っ裸になって下着が空に舞っているシーンがあるんですが、脚本にセリフは書かれてなかったんですよ。ここで何を言ったら面白いかなぁと考えて、これかな?っていうのを出してみると、みんながなるほどと納得してくれたことがありました。瞬間でわかるというか、瞬間的に決まっていって、目指すものの方向に向かっていく。そういうときのみんなの嗅覚ってすごいと思います。
神谷:たまに思いますけど(笑)、実際現場に行くとそんなことないんですよね。『おそ松さん』ではオレすごい喋らされてるなって思うことがあるけど、中村くん(カラ松役の中村悠一)が血管切れそうなテンションでセリフを言っているのを見ると、ごめんごめん、オレだけが大変じゃなかったって思いますよ(笑)。
(text:入江奈々/photo:祭貴義道)
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