1981年2月23日生まれ、カナダのバンクーバー出身。バンクーバーを拠点に映画監督・脚本家・俳優として活躍中。2015年に、写真家のエドワード・マイブリッジを題材とした『Eadweard』(日本未公開)で長編デビューを果たし各地の映画祭で高い評価を受ける。俳優としては、テレビシリーズ『スーパーナチュラル』(14年)、映画『ウォークラフト』(16年)、『デッドプール』(16年)などに出演。本作では、リアムのおじさん役も兼務。
『デッドプール』や『ウォークラフト』などに出演、俳優としても活躍するカイル・ライドアウトが脚本・監督を手がけた『リアム16歳、はじめての学校』が、4月27日より公開される。
学校には通わず、家で母による英才教育を受けて育った16歳のリアムが、義足の美少女に恋をし、初めての高校生活を体験することで今までの母子関係が変化していく様子をユーモラスに描いた作品だ。
カナダ、バンクーバーを拠点に活動するライドアウト監督が、映画のPRのために来日。自身も2人の娘さんを持つという彼に、映画について、子育てについて語ってもらった。
監督:割合は多くないのですが、賢すぎて普通の学校では満足できないような子どもたちがホームスクールで学ぶということはあります。僕自身は普通の公立学校の出身なので主人公とは違いますが、周囲にいる“ホームスクール体験者”の話では、その子に合った教育を与えることができるのが良いそうで、だから主人公のリアムもああいう風に天才的に勉強ができるようになったんだと思います。
監督:観客の期待を裏切るような親子関係を描きたかったんです。アメリカ映画などを見ると、「親がウザい」など子どもがネガティブな感情を持つ物語が多いのですが、本作では母親とリアムの関係は良好です。ただ、リアムがお母さんから学びたくないと思っているのが「親に対する反抗心」。それを親が教えようとしているのが面白いと思ったし、そういう普通ではない親子関係を描きたいと思いました。
監督:自信がある親なら良いと思いますが、僕自身もできないと思います(笑)。朝、子どもをなんとか学校に送り出しホッとして、「これであと6時間仕事ができる!」といつも思っているので、僕にはできませんね。
監督:北米では、夫婦で半々くらいにシェアする家庭が多いと思います。うちでは朝食は私が担当ですし、どちらかが晩ご飯を作ったら、もう1人が片付けをするというように分担しています。
監督:僕と母の関係はまったく違いますね。母がいきなりベッドに入ってきて助言をするようなことはありませんでしたし(笑)。ただ、ホームスクールで学んだ人たちは、母親とすごく関係が近いと感じます。俳優にもそういう人がいて、母親がマネージャーのようだったりするので、そういった関係を参考にしたりしました。
監督:僕もそう思います。そして、映画でクレアは、確実に一線を越えていると思います。子どもにFワード(性的な禁句など)を教えたりするのは、親子ではありえないことです。
監督:親としてはどんな時でも子どもを助けたくなってしまいますが、たまにはかすり傷くらいさせてみるのがいいんじゃないかと思います。クレアは過保護で、ヘリコプターペアレンツですよね。ヘリコプターペアレンツというのは、ヘリコプターが上空で旋回するように子どもを監視して、ケガ(失敗)しないように手助けする親のことですが、本当はもっと一歩引かなきゃいけませんよね。クレアのような育て方ではいけないと思うのです。
監督:妻は、子どもたちに最上の教育、体験を与えようとしています。その上で、子どもたちが自分自身で人生の選択をしたら応援したいと思っていて、僕も同じです。知り合いの俳優には、親から「俳優なんて不安定な仕事はやめなさい」と言われる人もいるそうですが、そういう親にはなりたくないと思っています。
クレアも「こんな仕事はダメ」と言ったりするので、理想的とは言えません。彼女はリアムのためではなく、自分のためにああいうことを言っているんだと思います。
監督:リアムはコミュニケーションがあまり上手くなくて、心の……というか、内面的なハンディキャップを抱えている少年です。それに対して肉体的なハンディキャップを抱えているのがアナスタシア。それを対比させたかったんです。
ハンディキャップを抱えているという意味では似たもの同士の2人ですが、アナスタシアは義足にひるむことなくいつでも堂々としていて自信がある。欠けた部分はあるけれど前向き、という設定にしました。
監督:一番伝えたかったのは、母親が子どもをコントロールしてはいけないということ。子どもを信用してほしいし、失敗するのも悪いことではない。失敗から何かを学び取るのは最上のレッスンです。そういったことを伝えたかった。それから、人生は楽しいということを伝えたかったんです。
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