1996年生まれ、福岡県出身。2014年、「劇団EXILEオーディション」に合格。翌15年に「劇団EXILE」に正式加入し、同劇団の公演「Tomorrow Never Dies やってこない明日はない」(15年)で初舞台を踏む。映画『HiGH&LOW』シリーズ(15-17年)では、山王連合のテッツ役を演じ、スピンオフ映画『DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOW』(18年)では同役が主人公のひとりとなった。また16年には、映画『イタズラなKiss』で初主演を務め、以降、映画『恋と嘘』(17年)や、劇場版&ドラマ版『わたしに××しなさい!』(18年)などに出演。次々と話題作にメインキャストとして起用されている。来年1月には、劇団EXILE全メンバー出演舞台「勇者のために鐘は鳴る」が上演。キ」(2018年)など話題作の出演が続いている。7月からはレギュラー出演する連続ドラマ「べしゃり暮らし」(EX)の放送が控えている。
国内で初めて無麻酔採血に成功するなど、動物福祉に特化した動物園として世界から注目されている、福岡県大牟田市に実在する動物園を舞台にした人間ドラマ『いのちスケッチ』が2019年11月15日より公開される。
福岡県大牟田市の全面協力の下、撮影された今回の映画。今回は撮影の裏話や、撮影中に感じた大牟田市の魅力について主演の佐藤寛太と今注目の藤本泉の2人にお話を伺った。
佐藤:自分の生まれ育った街で、その土地の言葉で演技ができるという貴重な経験は嬉しかったですね。タイトルの「いのちスケッチ」とある通り、命の大切さだったり、人と人との命の向き合い方、いろんな視点で織りなす人情を感じさせる作品で主演ができたのは光栄でしたね。
藤本:私はもともと動物が大好きなので、獣医師という役をいただけて本当に嬉しかったです。
佐藤:藤本さんすごいんですよ。撮影後も動物園に行ってましたよね?
藤本:行きました! だって閉園時間後の動物園に行けることなんてなかなか出来ないことなので。
佐藤:それに動物園限定の缶バッジも9種類全部コンプリートしてましたもんね(笑)。
藤本:みんなで何回もチャレンジしたね。
藤本:出演者全員が仲良くなったんですよ。クランクアップのときなんてみんなでで抱き合いました(笑)。
佐藤:そう。2週間の撮影期間で急速に。さすがに、テレビでずっと見ていた武田鉄矢さんには緊張しましたけどね。 でも、武田さんってすごくおもしろい方なんですよ。あれはたぶん狙っているわけではなかったんですけど、お昼休みに(CM出演されている)カップ麺を食べていたことがあって……。「うわ! 本物だ!」って内心思っちゃって、あれで勝手に親近感がわきました。
藤本:そうだったね(笑)。
藤本:やっぱり動物にストレスを与えないように撮影をしないといけないので、そこはとっても気を使いました。動物は、テストだろうが段取りだろうが、いつも嘘がない子たちなので、いつも本気でやらないとというのは気をつけましたね。
佐藤:僕はエサやりくらいだったんですけど、無麻酔でライオンを採血するシーンとか、本当に「あ、できるんだ」って思いましたね。
藤本:飼育員さんたちの仕事を見学させていただいたときから、動物たちの小屋に機材を入れて撮影するというのはどんなに大変なことかと思いました。
佐藤:撮影の前に、僕らが飼育員さんの仕事に慣れる機会をいただけたんですけど、その時って僕らだけでなくて動物たちにも僕らに慣れてもらわなきゃいけなかったんですよ。
藤本:飼育員さんたちがフォローしてくださったおかげです。それには本当に助けられました。動物たちのことを心から愛していて、真摯に向き合っていて、すごいなと思いました。
佐藤:そもそも飼育員さんたちの仕事をこんなにまじまじと見ることってないですからね。亡くなった動物たちの骨が取ってあるのを見て、死にも真剣に向き合っているんだなと感じました。
藤本:たしかにお客さんが目にするのは健康的な動物の姿ですが、動物たちは檻の中で生まれてから死ぬまでの一生を、その場所で生きています。出産とか病気とか死とかすべてをここで過ごしているというのは考えさせられましたね。
佐藤:(大牟田市動物園の)飼育員さんたちは僕らと接しているときは普通に気さくな人ですし、動物園のお世話をしている方である一方で、自分たちの論文を書いたり、研究をされているようで、すごいプロフェッショナルだなと感じましたね。
藤本:少人数で切り盛りしているから常に駆け回っていましたよね……。
佐藤:本当に、住民の皆さんなしでは何もできなかっただろうなってくらい助けていただきましたね。地元に密着して映画を撮ることってもちろんあると思うんですけど、やっぱりどこまで地元の方にお願いしていいのか、地元の方々もどこまで自分たちが何かお手伝いしたらいいのか遠慮しちゃいがちだと思うんですね。でも、今回はがっちりスクラムを組んでいました。
藤本:本当に皆さん協力してくださって、応援していただきました。
佐藤:地元の方々が朝6時から嫌な顔一つせず、街の紹介などしながら運転してくれて、夜帰ってきたら宿泊場所に、おかあさんチームが作ってくれたカレーがあったりして。
藤本:今度これを作ってくるから食べてねって仰ったんですけど、その日撮影がなかったんですね。そうしたら、わざわざ支度場所まで届けてくださったり、佐賀県まで牡蠣を買いに行って振る舞ってくださったり、本当にありがたかったです。
佐藤:僕は間違いなく景色だと思うんですよ。炭鉱の町だから煙突があるんですけど、煙突って、日本全国どこでも見れるものじゃないよな〜って思いましたし、この街にしかない空気や風景を感じましたね。
藤本:炭鉱の町だから、少し暗い歴史の印象がついてしまっているって、地元の方がおっしゃったんです。でも、全然そんなことなくて、住んでいる方々と同じようにあったかくて優しい町なんですよ。だから、もっと明るい印象に塗り替えられたらいいなと思いました。
佐藤:やはり最初に大牟田市の人に届けたいという思いがあって、お披露目会をしたんです。本当に小さなお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんまで皆さんが見に来てくれたんですよ。なかなか幅広い年齢層の方が来る舞台挨拶って、今まで経験がなかったので、それを見て「こんなに楽しみにしてきてくれたんだな」って嬉しかったですね。
この映画が大牟田市をアピールする一つになればうれしいですよね。
佐藤:あえてテーマを決めてるわけじゃないと監督もおっしゃってたので、見た人それぞれが感じたままの感想を持ってくれたら嬉しいなと思います。
藤本:私が演じた石井彩はエリートで突っ走ってしまう役だったんですよね。でも、大牟田という町で亮太くんに出会って、ちゃんと向き合ってゆっくり生きていくこと、もっと広い目で見て心を開くことが大事だと気づきます。人と人が直接向き合うことや命を感じることの大切さを私も学びました。
佐藤:全編、大牟田で撮影した大牟田の良さが詰まった映画になっていると思います。そして、そこで育ったわけではないけれど「懐かしい」気持ちになれる映画だと思っています。僕自身、上京して感じるのは、地元に帰るたびに両親は年を取っていくし、兄弟は身長が伸びたり、声が変わったりしていくし、時間っていうのは皆に平等に流れているんだなということですね。この映画は、命を通して、そういうことに改めて「はっ」と気づかされるような映画になっています。だから、正解はなくとも誰もが気兼ねなく見られる映画だと思うので、ぜひいろんな年齢の方にも見てほしいですね。そして、いろんなことを思ってもらいたいです。
藤本:確かにどの風景も、大牟田出身ではなくても、誰でもどこか懐かしいと感じることができると思うので、この映画を見てほっとしてもらいたいですね。あとは、こんなに動物園に密着をして、裏側から撮影した映画ってとっても珍しいと思うんですね。そこも見どころです!
(text:於ありさ/photo:ナカムラヨシノーブ)
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