1998年8月28日生まれ、埼玉県出身。子役として2005年から活動を開始し、2009年にNHK Eテレの料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』の主人公・柊まいんとして注目を集める。その後モデルとして、ローティーン向けファッション雑誌「ピチレモン」で活躍しながら、女優としても連続ドラマ『MARS〜ただ、君を愛してる〜』(16年)、映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17年)、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年)、映画『4月の君、スピカ。』(19年)、『映画 賭ケグルイ』(19年)など話題作への出演作が続く。
漫画アプリ「マンガボックス」で圧倒的なダウンロード数を記録したスプラッターラブコメディ「穴殺人」を実写映画化した『羊とオオカミの恋と殺人』。本作で、清楚な女子大生でありながらも、実は頸動脈をひと突きし、殺人行為を繰り返す女性・宮市莉央を演じているのが女優・福原遥だ。
福原と言えば、子役時代にNHKで放送されていた料理アニメ『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』の主人公・まいんちゃんとして活躍していたことで有名だが、近年ではさまざまな役柄を演じ、若手実力派女優としての評価も高い。そんな福原が「ずっとやりたかった」と目を輝かせて語ったエキセントリックな役柄について語った。
福原:そうなんです。お話をいただいたときは「ついに来たか!」という感じでした(笑)。でも、ただの殺人鬼の話ではなく恋のお話でもあるので、うまく世界観が表現できるかという不安はありました。宮市さんが、とても魅力的で可愛い女の子だったので、漫画と台本を繰り返し読んで、イメージを作っていきました。
福原:原作を読んで、世界観はなんとなくつかめたのかなと思ったのですが、やっぱり理解できない行動やセリフが多く、(福原と共にダブル主演を務めた)杉野(遥亮)さんと「どうしよう」と話していたんです。でも現場に入って、2人で向き合うと自然とすんなり違和感なく関係性を作っていくことができました。
福原:殺人のシーンは、クランクインする前からレッスンをしていました。ただ殺すのではなく“舞うように”と指導されていたので、華麗さは意識しました。宮市さんの魅力や美しさを前面に出せたらいいなという思いはありました。
福原:私もです。無意識に人の首筋を見て「あそこだな」って(笑)。
福原:子役事務所に入ったのもダンスがやりたかったからなので、遠い存在ではなかったのですが、やはり最初は難しかったです。殺人のシーンでは、人に乗っかるときに体重のかけ方に注意が必要だったので、まずは体の仕組みから勉強して、実際にお芝居をするときは、相手を信じるところから始めました。アクションも初めてだったのですが、やりたいと思っていたので、すごく楽しかったです。
福原:(杉野演じる)黒須くんのことを普通に好きになっていく大学生の気持ちは、しっかりと表現したいと思いました。特に、正反対と言ってもいい2人が恋に落ちたらどうなるんだろう……という部分では、純粋な気持ちを大切にしながら演じました。
福原:杉野さんとは以前にも共演(ドラマ『グッドモーニング・コール』/16年)があったので、安心感はありました。お芝居もすごくまっすぐで、作品に対する向き合い方も素晴らしく尊敬しています。それでいて天然で可愛らしいところもあるんです。
福原:衝撃的ですよね(笑)。黒須くんは、宮市さんに殺されてもいいやと思っているぐらい愛が深いのですが、私はそこまで好きだと思えるような人とまだ出会ったことがないので……。やっぱり私は安心できる人がいいですね(笑)。人はいろいろな面を持っていると思うし、そこを含めて人間性だと思うので、もし殺人鬼という一面を見てしまったら「もしかしたらほかにも怖いことが……」なんて考えてしまいそうです。でも、そういった理解しがたい一面があったとしても、それを乗り越えて分かり合えた時に本当の愛に気付けるのかもしれないですね。
福原:他人に理解されないような人物って、演じる人によって全然違う役になると思うんです。その意味で、福原遥にしかできない宮市さんというキャラクターを演じようと心掛けていました。黒須くんと宮市さんという2人だけの世界なのですが、気持ち的には普通の女の子の部分もあるので、そこは普遍的なものとしてしっかり共感してもらいたかった。すごくやりがいがある役だなと感じていました。
福原:嬉しいです。いろいろな役に挑戦させていただき、自分でも見たことがないような自分を発見できる場面もありました。一方で、自分の引き出しのなさを自覚して悔しいと思うこともたくさん経験しました。でもそう思えるからこそ「次はもっと頑張らなくては」と、よりお芝居に対して思いが強くなっていくんです。すごく勉強になっています。
福原:喜怒哀楽はしっかり出せるようになりたいなと思っています。泣きたいときは泣き、笑いたいときは笑うことを抑えずにいたいです。あとはいろいろな作品を見ることと、現場でも素敵な役者さんとの出会いが多いので、しっかり観察して吸収していきたいと思って作品に臨んでいます。
福原:皆さんとても素敵な方ばかりなのですが、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』でご一緒させていただいた菅田将暉さんからは、とても大きな刺激を受けました。
福原:お芝居の迫力もすごくて圧倒されたのですが、現場での佇まいやスタジオの空気の作り方など、すべてが見習うことばかりです。私もこんな人になりたいなと強く思った方でした。
福原:やはり自分で理解できないような役をやるのは楽しいので、あまり壁を作らず、色々な役に挑戦してきたいです。
(text:磯部正和/photo:小川拓洋)
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