1993年3月24日生まれ。東京都出身。2010年、ドラマ『素直になれなくて』でデビュー。2013年、スーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』で初主演を飾る。2016年には「Yohji Yamamoto HOMME2016-2017AW Paris Collection」にてパリ・コレクションデビュー。ドラマでは『ひよっこ』(17年)、『アンナチュラル』(18年)などに出演。映画の出演作には、『orange』(15年)、『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17年)、声優を務めた『トイ・ストーリー4』(19年)、『ぐらんぶる』(20年)、『弱虫ペダル』(20年)などがある。
人生をリスタートすることがあれば、やはり俳優をやりたいです
都会の生活に疲れ果てて田舎に戻った青年・光臣は、近所で農園を営むじいちゃんの養子・大和と出会う。初対面から馴れ馴れしい大和をうざいと思っていた光臣だが、家業を継ぐことを父親に拒否されたため、仕方なく農園を手伝うことに。落ち込む光臣を屈託ない笑顔で励ます心優しい大和。しだいに、光臣にとって大和は大切な存在になっていくが……。
『リスタートはただいまのあとで』は同名の原作漫画(ココミ著、プランタン出版刊)を原作とする純愛BL映画で、心に傷を抱えた青年たちが人生を再出発しようする姿を優しいまなざしで描いた心温まる作品だ。光臣役の古川雄輝を相手に、初めてBL作品に挑戦したという大和役の竜星涼に話を聞いた。
竜星:僕は意外と農業とは無縁ではないんですよ。僕は東京育ちですが、おばあちゃんとおじいちゃんの家は農家なので、たまに遊びにいったときにお手伝いをしたりしていたんです。そういう幼い頃の体験や農家の作業を見たり聞いたりしてきた記憶をこの作品の役に投影できたのではないかな、と思っています。また、撮影場所が長野県の千曲市と上田市だったのですが、そこのきれいな風景にも助けられました。
竜星:オファーをいただきました。僕は今まであまり大和のようなおっとりした役柄を演じてこなかったのですが、僕が過去に出演した作品や役柄から大和の明るさに通じるものを感じていただけたのかもしれません。自分としては、新しい挑戦をしたい気持ちもあり、同性愛をテーマにした作品にも出てみたいと思っていたところでした。そういう中で声をかけていただいたのですが、脚本がとても良かったんです。男の人が男の人を好きになって葛藤するという内容がメインではなく、人と人がお互いにないものを補い合い助け合いながら生きていく中で恋をするという部分が丁寧に描かれていたので、そこに新しい魅力を感じました。
竜星:そういうところが本作の魅力ですね。人を助けられるのはやっぱり近くにいる人ですし、人と人が惹かれ合うときに性別は関係ない、ということをこの作品は描いているので、見てくださる方々にも伝わるといいなと思います。
竜星:1番難しかったのは、大和は幼い頃に愛情を受けて育っていない人間なので、それをどのように表現するか、ということでした。ただ、そこが大和を演じるときに核になる部分なので、想像しながら役を作っていきました。あとは、光臣に対してどう影響を与えていくかを気にしながら演じていましたね。農作業に関しては、撮影前に農園に行って体験したりしながら準備していました。
竜星:はい、初めてです。古川さんはミステリアスでクールなイメージがあったのですが、実際にお会いして撮影を進めていくうちに少しお兄ちゃんのような存在に感じられました。古川さんと監督は毎晩のようにディスカッションしていて、僕はそれを見ていたり聞いたりしていたのですが、古川さんの作品にかける情熱なども勉強になりました。
竜星:僕と古川さんは性格的には真逆なんですよ。唯一、好きな女性像のタイプは一緒だったので、そういう話をしたりしました(笑)。
竜星:あまりなかったですね。逆に女優さんが相手のときの方が変に緊張しちゃうかもしれません。そこはやっぱり男同士なのでそれほど気を遣わないというか。あと、僕はされる側なので成り行きに身を任せるという気持ちが強かったですね。
竜星:ボーイズラブは、最近は日本でもすごく流行っていますよね。海外の作品にもたくさんありますし、作品の繊細さが魅力的なので僕もよく見ています。ただ、この作品に関しては、男同士の恋愛の葛藤というよりも、そこにいたる前の過程を丁寧に描いているので、いわゆるBLものとは少し違っていて、あくまでも人間ドラマとしての魅力が大きい作品だと思います。
竜星:それについて自問自答というか、すごく考えている時期があったんです。自分はこれから先も俳優として生きていくと自信を持って言えるのか、と。もし人生をリスタートすることがあれば、今ならやはり俳優をやりたいと言い切れます。今まではこの仕事が自分に合っているのか自信がなかったのですが、ようやく合っていると思えるようになったというか、この仕事の魅力を知ってしまったので。
竜星:最近ですね。コロナによる緊急事態宣言で家にいることが多くなり、自分と向き合う時間が増えたので。自分と仕事について考えている中で、ふと雑念がなくなって、本当に僕はこれを好きでやっていくんだ、という気持ちが強くなったんです。自分が演じた役を通じて多くの人に何かしらの影響を与えることができることに、これ以上ないやりがいを感じています。
(text:中山恵子/photo:小川拓洋)
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