1993年11月22日生まれ、埼玉県出身。2013年より雑誌「MEN’s Non-No」の専属モデルとして活躍する一方、俳優として14年、フジテレビNEXT smartのオリジナルドラマ『FLASHBACK』で主演デビュー。他に『逃げるは恥だが役に立つ』(16年)、連続テレビ小説『わろてんか』(17-18年)などのドラマに出演。映画は『キセキ ーあの日のソビトー』(17年)、『劇場版コード・ブルー – ドクターヘリ緊急救命』(18年)、『スマホを落としただけなのに』(18年)に出演。今年は『チワワちゃん』『翔んで埼玉』『愛がなんだ』『さよならくちびる』『人間失格 太宰治と3人の女たち』に出演。本作で映画初主演をつとめる。
大倉さんには嫌われたくないって気持ちがまだあるんです。まだ、ちょっと…
恋愛の喜びと苦しみとみっともなさを繊細かつ大胆に描き、多くの女性の指示を得る水城せとな原作の「窮鼠はチーズの夢を見る」とその続編となる「俎上の鯉は二度跳ねる」。狂おしくて切ないこの物語を『ナラタージュ』など恋愛映画を得意とする行定勲監督が映画化した。主人公は受け身的な恋愛を繰り返し、今はかわいい妻のいるサラリーマンの大伴恭一。ある時、大学の後輩である今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会し、今ヶ瀬は昔からずっと好きだったと思いを告げる。戸惑う恭一だが、今ヶ瀬のペースに乗せられて関係を持つようになってしまう…。
人が良いが優柔不断な恭一を関ジャニ∞の大倉忠義が演じ、苦しいほどに恭一を慕う今ヶ瀬役を成田凌が扮している。ベッドシーンにもともに挑んだ大倉との共演や役作りについて成田に語ってもらった。
成田:最初は恭一役でオファーをいただいたんです。今ヶ瀬の役でもどちらにしろやりたかったですけど、恭一はかっこいい人にやってもらった方がいいと思いました。自分はどちらでもいいからやりたいと思いましたね。
成田:行定監督の作品の話をいただいてる時点でやらないという選択肢はないです。どういう役であっても関わりたいと思いました。(行定監督の作品は)湿度が高い苦しい作品で…やっぱり映画は苦しくないと。今回の脚本を読んですごくおもしろくて、今ヶ瀬という役を他の人にやられたら絶対に嫌だと思いました。
成田:苦しいことに戦いに行ってる。弱いはずなのに苦しみながら、好きな気持ちに抗えなくて。自ら苦しみに行ってる姿が魅力的だと思いました。
成田:いや、僕は苦しみたいとは思わない。でも、うらやましかったです。苦しむとわかっていても好きな人に好きと伝えること、その強さというか。
成田:読みました。綺麗だなと思いました。
成田:(映画化を見て)大丈夫でしたか?! 原作ファンの方の反応ってすごく気になります。僕も大倉さんも原作を読んで、ヤバい、どうしよう…ってなったんです。大丈夫か?!って。もちろん映画として素晴らしい作品だと思っていますが、原作ファンの人はどう思うだろうっていうのはすごく気になります。今ヶ瀬はただ立っているだけで成立するキャラクターというか。今ヶ瀬になるためには原作の力は必要でした。
成田:目が濡れていれば成立すると思ったので目が濡れていて欲しいなと思いながら演じていました。体も骨っぽいところもあるけど、丸いイメージでしなやかな感じになればいいな、と。
成田:どういうキャラクターだとか、そんなざっくりした話はしてないです。1つ1つを丁寧に撮っていきました。“目は濡れている”っていうのは共通の認識でした。やっぱり目は濡れているよねって。
成田:それは教えませんよ(笑)。
成田:あれは通常なら考えられないくらい座面が高い位置にある椅子で、あれ込みで今ヶ瀬というか、あの椅子に他の女の子が座ったら恭一はものすごく許せないでしょうね。今ヶ瀬がいなくても、あの椅子があることによって今ヶ瀬の存在を感じさせるほどのもの。今ヶ瀬はわかっていないけど、恭一にとってすごく大事なものだと思います。
成田:とてもやりやすかったです。大倉さんと2人でこの作品に入って行った、そんな感じです。空いた時間にわざわざ話し込んだりするわけじゃないけど、すごく自然体でいられました。他の人は考えられない。
成田:考える必要もない。恭一にとてもぴったりだと思います。
成田:濃密でなきゃダメですからね、やらないと成立しない。そこで2人の関係性が表現されているので。
成田:そうです、そうです。…(ベッドでの関係性が)入れ替わるじゃないですか、途中で。大事だなぁと思いました。クランクイン前に行定監督とこの話を男女でやったらめちゃくちゃ面白くないドラマだよねって話したんです。男と男だからドラマとして成立してる。男同士っていいなって思いました。ことが終わった後でも裸のまま朝ごはん作り出して、日常の会話して。現場にも大倉さんが服を脱ぎながら入って来て、撮影の合間も「服着るの、面倒だからもういいっすね」ってそのままでいて。すごく楽でした。
成田:女性とのベッドシーンはすごく気を遣いますね。今回はすごく楽でそれが画面にも出ていたと思います。自分でもびっくりしたんですが、撮影中にモニターチェックをたまたま見るとベッドシーンで、それがものすごくキレイで「あ、いい映画になる」ってその時に思いました。とても恥ずかしいんですけど、美しくて、これはいけると直感的に。なんて言っていいかわからないけど、僕と大倉さんのベッドシーンを見て「正しい」って思いました。すごく清い、と。この2人の間に割って入ってくる女性が2人出てきますけど、敵に見えてくるんですよね。入ってくるなって思えてしまって。…僕、やっぱり大倉さんには嫌われたくないって気持ちがまだあるんです。いまだに、まだ、ちょっと…。
成田:うん、ちょっと違うとおもいます。普通の共演者とは愛情の持っていき方が変わってくるからかなぁ。うん、違うと思うなぁ。…なかなか経験できない、いい役でした。
成田:映画のラストはカラッとしていて、だけど余韻が残るいいラストだったと思います。
成田:いや、まだ読んでないです。(番外編をパラパラと読んで)彼らは別れとよりを戻すのを繰り返していくんじゃないかと思います。同じようなことを何度も。そして、いつか、なんとなく終わっていくんじゃないかな。
成田:一緒にはいないでそれぞれでいると僕は思います。
(text:矢野絢子/photo:小川拓洋)
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