1987年6月21日 福岡県生まれ。彼女が歌った「The Rose」のデモCDが、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと、2006年に公開された映画『ゲド戦記』の監督、宮崎吾朗氏の耳に届く事となり、同作の挿入歌「テルーの唄」でメジャーデビュー。ヒロイン、テルー役で、声優としても参加している。その後も数々のシングル、アルバムをリリース。多くの映画やドラマ、CMなどで曲が使用されている。
今年33歳、ちょっとずつユーミンさんの曲を歌える年になってきたかな
映画『犬神家の一族』や『セーラー服と機関銃』をはじめ、1970年代から80年代にかけて一世を風靡(ふうび)した伝説的プロデューサー・角川春樹。御年78歳の彼が、前作から約10年ぶり、8本目の監督作にして、生涯最後の映画監督作だと語る『みをつくし料理帖』を完成させた。
原作は、作家・高田郁(※)による累計発行部数400万部突破のベストセラー時代小説シリーズ。本作主人公の女料理人・澪を演じるのは注目の若手女優の松本穂香。澪の幼なじみで、吉原で頂点を極めるあさひ太夫を演じるのは、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で注目を集めた女優の奈緒。不変の友情を育む姿が感動を呼ぶ。主題歌「散りてなお」を歌うのは、数々の映画、ドラマ、CMなどに曲が起用されている歌手の手嶌葵。今回は、角川監督、そして作詞・作曲を担当した松任谷由実らのラブコールによって、本作に参加することになった手嶌に話を聞いた。
手嶌:(NHKで放映された)ドラマ版も見させていただいたので、話の筋はなんとなく分かっていたんですが、でも俳優さんも違うし、演出方法も違いますし、それで個性って出てくるんだなと思いましたね。あとは食べ物がすごくおいしそうだった(笑)。女の子が主人公だったので、気持ちとしてもすごく入りやすかったですし、全体的にとても優しい映画だなと思いながら見ていました。
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手嶌:映画で歌を歌わせていただくことは本当に、私にとってうれしいこと。なおかつ角川さんの最後の作品になるとお聞きしたんで、背筋がピンとなる感じがしました。しかも角川監督というだけでも緊張してしまうのに、松任谷由実さんが作詞作曲、松任谷正隆さんが編曲ということで。すごい方々がそろっているなと思いましたが、きっとすてきな映画になるはずなので、映画に寄り添えるように頑張りたいと思いました。
手嶌:角川監督とお会いした時はとても優しく褒めてくださいました。皆さんからは怖い人だよと聞いていたので、優しい方でよかったと思いました(笑)。
手嶌:ありがたいですね。本当に恐縮しっぱなしで(笑)。うれしい言葉をいっぱいかけてくださったので、これを励みにきちっと歌っていかないといけないなと思いました。
手嶌:ユーミンさんが歌ってくださっているデモテープをもらった時に美しい曲だなと思って。その時はまだ歌詞がなかったので、どんな歌詞になるんだろうと楽しみに待っていたら、本当に美しい歌詞が届いたので。これが映画で流れたらすてきだろうなと思っていたんですが、試写を見たときに想像通りすてきな曲だなと思いました。実際に映画を見て、映画を見てくださっている方にちょっとでも寄り添えたかなと思いました。
手嶌:わたしは今年33歳なんですが、ちょっとずつユーミンさんの曲を歌える年になってきたかなと思っていたので、素敵に歌える歌詞が来るといいなと願っていたら、本当にピッタリの歌詞が来て。本当にいろんな情景が浮かび上がるような美しい歌詞だなと思って。古典的な言葉使いだからこそ、言葉の美しさが際立っていて。映画で描かれている女の子の友情だったり、故郷への愛みたいなものが想像しやすいものとなったんじゃないかなと思いました。
手嶌:やはりオリジナルの曲の時とは、心持ちはちょっと違うかもしれないですね。映像があって、効果音があって、曲があって、歌があるからこそ映画が成り立つと思うので。自然と皆さんに観ていただけるように、ちょっと気持ち寄り添うような歌い方をしたいなと思いながら。なるべくグイグイっと出ないように。寄り添うような感じで歌っています。
(映画主題歌は)幅広い方にわたしの曲を聴いてもらうチャンスでもある
手嶌:『汚れた英雄』は見たことがありました。テーマ曲などの音楽も印象的でしたし。ただ、若い時に見た映画だったので、当時は角川さんの映画だと思っていなくて。後からそういえば見ていたなと思い出して、失礼をしてしまったなと思うのですが(笑)。でもずっと監督や製作を続けられてきて。名作をたくさん作られている方なので、意図せずに見ていたり、知っているというような人もいらっしゃるかもしれません。だからわたしのファンの方だけではなく、幅広い方にわたしの曲を聴いてもらうチャンスでもあるので。そういうところはありがたいなと思っています。
手嶌:お二人のお話を聞いていて、きっとお互いに長年、信頼し合って仕事を続けてきたんだろうなと思いました。この人に任せれば大丈夫、この人にお願いすればいい作品になる、という安心感と言いますか……。それで必ずヒットさせているというのが、本当にすごいなと思います。
手嶌:ユーミンさんの曲を最初に聴いたのは『魔女の宅急便』でした。ずっと、今でも大好きで。キキちゃんを見ながら、お掃除をしたり、パズルを楽しんだり、わたしの生活の中にジブリの作品がずっと入っているので。ずっと耳になじんでいたというか、ずっとわたしの生活の中にいてくださっている存在だと思いながら育ってきたので。そういう方に曲を作っていただけるというのは、すごく年月を感じますし、そんなことをしていただけるチャンスが、自分に来ているというのは、本当にありがたいなと思っています。
手嶌:(恐縮した様子で)本当にうまくいっていますようにと。今はただただそう祈るばかりです(笑)。
(text:壬生智裕)
※高田郁の「高」は旧字となります。
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