ケイト・ブランシェットが惚れ込んだ哀愁とユーモアの絶妙なバランス
ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品に選出されたクリストス・ニク監督のデビュー作『林檎とポラロイド』が、3月11日より全国順次公開される。これに先駆けて本作の予告篇が公開された。
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公開された予告篇は、冒頭から「私は、映画界の新なる才能にふれ、喜びを感じました」というケイト・ブランシェットの賛辞ではじまる。舞台となるのは、記憶をなくす奇病が蔓延した世の中。記憶喪失という普通に考えれば大変な状況だが、この世界の患者や医者は飄々とそれに向き合う。
記憶をなくした主人公の男は、病院から薦められた「新しい自分」プログラムに参加する。「自転車に乗る」「ホラー映画を見る」「仮装パーティで友達を作る」など与えられたミッションを日々こなす主人公の姿は、いたって真剣なのにどこかおかしい。
やがて男が治療仲間と話すうち、親族の迎えがなく身寄りのないことや、ある忘れられない事実が浮き彫りになる。冒頭でブランシェットが「哀しみの核を持ち、同時に心をくすぐられる映画」と語った”哀しみの核”とは、一体何なのか。「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」というキャッチコピーに乗せた、主人公の心の内にある本当の思いをスクリーンで確かめて欲しい。
本作品の監督を務めるのは、リチャード・リンクレイターやヨルゴス・ランティモスの助監督を務めたクリストス・ニク。彼らの持ち味を独自に昇華させたデビュー作『林檎とポラロイド』は、ワールドプレミアとなった20年ヴェネチア国際映画祭で上映されるや、「見事なまでに胸を打つ」(ガーディアン紙)「魂のこもった今日性のある映画」(ヴァラエティ誌)と、その独創的で普遍的な物語に絶賛の嵐が巻き起こった。
さらにその評判を耳にしたブランシェットが、監督の才能に惚れ込み、映画完成後にもかかわらずエグゼクティブ・プロデューサーとして参加することを熱望し、新たにクレジットされた。ニク監督の次回作はブランシェットプロデュース、キャリー・マリガン主演で製作が決定している。
監督オリジナル脚本による本作品は、哀愁とユーモアが絶妙なバランスで調合され、近未来的な設定ながらも人肌のような温もりに満ちている。見る者は、主人公の寡黙で物憂げな表情、どこか滑稽で真面目なふるまいに笑い、そして明かされていく過去に胸を熱くするに違いない。
『林檎とポラロイド』は、3月11日より全国で順次公開される。
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