第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリ&フランソワ・シャレ賞、第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー脚本賞、外国語映画賞などを受賞し、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞にノミネート、本年度米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストにも選出された『英雄の証明』が、4月1日より全国順次公開される。今回、本編映像が公開された。
・地獄から天国、そして地獄へ…ふとした噂がSNSで拡散、被害が家族にまで及ぶ現代の闇
SNSやメディアの影響力に着目…予測不可能なヒューマン・サスペンスが誕生
イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され服役している。そんな彼の婚約者が偶然にも17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所できる彼にとって、まさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感に苛まれたラヒムは落とし主に返すことを決意。そのささやかな善行は、メディアに報じられると大反響を呼び“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。ところが、SNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。周囲の狂騒に翻弄され、無垢な吃音症の幼い息子をも残酷に巻き込んだ大事件へと発展していく……。
ベルリン、カンヌ国際映画祭にて数々の賞に輝き、『別離』(12年)と『セールスマン』(17年)で米アカデミー賞外国語映画賞を2度も制した世界的な巨匠アスガー・ファルハディ。日常の中に生じた小さなひび割れのような出来事が、人生を根底から揺るがす事態に発展していく様を、サスペンスフルかつ情感豊かに描出する傑作を世に送り出し、世界中の観客たちを魅了してきた。
本作品では、人間の倫理観を問う普遍的なこのテーマを追求するにあたって、いまや絶大となったSNSやメディアの影響力に着目。主人公の振れ幅の大きな運命を通して、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望とエゴを現代的な切り口であぶり出す予測不可能なヒューマン・サスペンスが誕生した。
今回公開された本編映像は、ラヒムが休暇中に拾った金貨を返却したことで話題となり、「正直者の囚人」と讃えられ、借金返済に向けたチャリティ協会主催の支援会に出席するシーンだ。
ラヒムは息子と一緒に舞台に立つと、たくさんの寄付や、新しい職の支援があることを伝えられ、立派な盾を渡される。喜びを隠せないラヒムだったが、「私は金貨を売る誘惑に駆られました」と正直に告白。しかし売りに行った店で数々のハプニングがあり、「これは何かの啓示で、私の行いは誤りであり、金貨は返すべきなのだと」と、金貨を返すに至った思いを話すと、その行いに感銘を受けた支援者たちから「素晴らしい」との声と共に大きな拍手が。
ラヒムはたくさんの支援を受け無事に社会復帰できるのだろうか……物語の行く末は劇場で確かめよう。
『英雄の証明』は、4月1日より全国順次公開される。
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