イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督作を参考にした鮮血の描写!
ブランドン・クローネンバーグ監督による近未来SFノワール『ポゼッサー』が、3月4日より全国順次公開される。これに先駆けて危険すぎる本予告編が公開された。
・刺殺シーンは刺す回数が重要…R18の容赦ない暴力描写で観客の度肝を抜く近未来SFノワール
鬼才デヴィッド・クローネンバーグの遺伝子を完璧に受け継いだ息子ブランドン・クローネンバーグ。『アンチヴァイラル』(12年)から8年ぶりに発表した長編第2作となる本作品では、他人の意識と肉体を乗っ取りミッションを遂行する暗殺者の女性と、乗っ取られた側の男の攻防を描く。
公開された本予告編では、「この映画の本質に気づかなかった人は幸福な人だ。」という不穏で挑発的なテロップに続き、「全世界が言葉を失った戦慄のSFノワール」と映し出されて幕を開ける。続けて、暗殺者のタシャがある黒人女性を乗っ取り男性を喉元をめった刺しにするという衝撃的なシーンの一部が映し出される。イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督の『オペラ座/血の喝采』(87年)の技術面を参考にしたという鮮血の描写は本編でたっぷりとお楽しみ頂きたい。
タシャには、幼い息子と別れたパートナーの男性がおり、暗殺者である自分の正体を2人に隠している。そんなタシャに、ジェニファー・ジェイソン・リー演じる上司ガーダーは、「次は大型契約よ」と告げる。次なる標的は巨大企業のCEOであり、その令嬢の婿コリン・テイトに入り込み、暗殺を行うという筋書きのようだ。
続くシーンでは、他人の潜在意識と肉体を“POSSESS/所有”する過程を可視化したスタイリッシュかつ刺激的な描写が挟み込まれる。その後、テイトに乗り移って暗殺を遂行しようとするタシャだったが、他人の脳から脱出するためには、その脳を破壊しなければならない。口の中に銃を突っ込み、引き金を引こうとするタシャだったが、どうしても撃つことができない。
テイトの脳から抜け出せなくなったタシャは、その異常事態に慄き「私に何をした、私じゃない」と呟く。同じ肉体の中で激しくぶつかり合うタシャとテイトの攻防が、眩い光の点滅、流動する人体の輪郭と、フィジカルな特殊効果により達成された独自の美しさによって描かれていく。
誰が真の“POSSESS/所有”なのか? 自分は自分の“POSSESS/所有”でいられるか? 最後に映る、まるで人間の抜け殻になったかのような、タシャのマスクを被った異様な姿も強烈なインパクトを残す。
『ポゼッサー』は作品の主題と描写が極めて刺激が強いため、18歳未満は閲覧禁止。またアメリカの評論家エリアス・サバダに「シェイクスピアも辿り着かなかった悲劇であり、ブランドン・クローネンバーグ監督は1段階ランクをあげた。彼の持つ闇は底無しだ」と言わしめた本作は我々のアイデンティティを揺さぶり、人間性の闇の底へ誘うかのような作品である。
『ポゼッサー』は3月4日より全国順次公開される。
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