第77回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品として選出され、さらにケイト・ブランシェットが作品に惚れ込み完成後にもかかわらず、エグゼクティブ・プロデューサーに名乗りを上げたクリストス・ニク監督のデビュー作『林檎とポラロイド』が全国公開中だ。今回は、主⼈公の男が⾳に合わせた記憶検査をする本編シーンが解禁された。
・「この素晴らしい映画を届けたい」ケイト・ブランシェットが惚れ込んだ新しい才能!
記憶喪失の男が受ける記憶検査にフォーカス
「お名前は?」「覚えていません」。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。治療のための回復プログラム「新しい自分」に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る…。新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。「新しい日常」に慣れてきた頃、男は以前住んでいた番地をふと口にする…。新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく…、というストーリーが展開される。
解禁された動画は、映画の本編の序章、記憶喪失の男が初歩的な検査を受ける一場面。舞台は記憶喪失になる奇病が蔓延する世界。主人公もまた、突然の記憶喪失に陥ってしまったようだ。主人公の、澄んだ瞳が印象的な男は年齢や職業もわからない。彼の記憶はすっぽりと抜け落ちているようで、医者達も、この原因不明の出来事に手を焼いている…と思いきや、思いのほか患者も医者も淡々のこの状況を受け入れているらしい。
主人公の男は、入院した病院で検査を受ける。オープンリールデッキから流れてくる音について、その音楽に最も近いイラストを選ぶというもの。1問目「ジングルベル」の音が鳴り出して、男は手元のイラストから対象を探す。結婚式、バレリーナ、サックスを吹く男性などのイラストの中、一生懸命男が考え出した解答は「結婚式」のイラストだった。そして2問目もあえなく不正解。
登場人物3人は多くは喋らないものの、それぞれの表情が雄弁に、この状況について語る。この序章のあと、男は「新しい自分」というプログラムに参加するが、それも一筋縄ではいかない一風変わった課題が与えられてゆく。独特な世界観、さらにハードルの上がる課題が気になる内容だ。
『林檎とポラロイド』は全国公開中。
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