ムカつくけど、受け入れてしまう女の悲しい性!
20代の等身大の恋愛の危うさと歯がゆさを描いた映画『わたし達はおとな』を6月10日より公開。今最も注目を浴びている演出家・脚本家の加藤拓也による監督デビュー作となる。この度、本作品の予告映像が公開された。
・最大の山場、木竜麻生のワンカット長回しシーンの裏側/映画『鈴木家の嘘』メイキング映像
「私たちの生活を非日常で俯瞰して体験する、そんなことがテーマの映画です」と加藤監督が明かす本作品は、撮影時”覗いている感”に最もこだわる形で撮影された。
主人公の優実(木竜麻生)とその恋人の直哉(藤原季節)という2人の男女の日常を覗き見しているかのような圧倒的リアリティを追求し、緊張感と切迫感、狂おしいまでの人間らしさや感情のグラデーションが生々しく突き刺さる、これまでにない恋愛映画だ。
物語の主人公はデザイン学科に通う大学生の優実。ある日、演劇サークルに入っている知人から公演のチラシを作って欲しいと頼まれ、そのサークルの演出を手掛ける直哉と出会う。初めはサークル活動の関わりだけだったが、やがて直哉が優実の家へ頻繁に出入りするように。半同棲状態となり、言えないことがつもりつもったある日、バイトを終えて帰ってきた直哉に、優実は「怒らないで欲しい」と言いながら使用済みの妊娠検査薬を渡す。表面上の祝福をする直哉に対し、「話し合いたい……」と口にした優実。そしてここから、ふたりのクライマックスが始まっていく──。
今回公開された予告映像では、優実と直哉のある日の出来事を映した1シーン1カットが丸々使用されている。
2人で出かけていた先で、急な体調不良をおこした優実。先輩が手掛けた舞台を観ている最中というタイミングの体調不良に苛立っていた直哉は、自宅に戻っても、休む優実のことを考えずに一人で勝手に夕食を済ませてしまっていた。いつも直哉の帰り時間にあわせて夕食を作り、一緒に食事をとっていた優実にとっては納得がいかないものの、衝突を避けて口をつぐんでいたのだが……。
まさに彼らの生活を覗き見ているかのような生々しさを感じさせるシーンとなっており、2人の目線や仕草、会話の流れ、絶妙な息遣い、彼らの一挙手一投足に注目し、妙に目が離せなくなる不思議な感覚を味わわせてくれる。1シーン1カットを、包み隠さず全部丸ごと使用した斬新な予告映像が完成した。
一方で、あわせて公開されたポスタービジュアルでは、優実と直哉の2人が穏やかにじゃれ合う様子が切り取られており、予告映像に映し出される緊迫感とは裏腹に、幸せそうなふたりの雰囲気も感じさせる仕上がりに。
恋人との衝突、成りゆきのセックス、不確かな将来、思いがけない妊娠……。大学生の男女2人の心の機微をリアルに捉え、スクリーンを通して男女の生活を覗き見るような描き方で物語を牽引し、幸せだった過去と苦しい現在が対比されて紡がれる若者たちの姿は、独特の視点で新しい映画の可能性を見出したと断言できる。今最も注目を浴びている演出家・脚本家の加藤拓也、鮮烈の長編デビュー作に期待したい。
映画『わたし達はおとな』は、6月10日より公開。
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