2021年ヴェネチア国際映画祭にて、圧巻の審査員満場一致で最高賞である金獅子賞を受賞した『あのこと』が12月2日より全国順次公開される。そんな本作の予告編を紹介する。
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2021年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作、ついに日本公開へ
『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞R4冠に輝いたポン・ジュノ監督が、審査員長を務めた2021年ヴェネチア国際映画祭での最高賞受賞を皮切りに、世界の映画賞を席巻した本年度最大の話題となっている衝撃作『あのこと』。
舞台は1960年代、法律で中絶が禁止され、処罰されていたフランス。望まぬ妊娠をした大学生のアンヌが、自らが願う未来をつかむために、たった一人で戦う12週間が描かれる。
この作品の特別なところは、本作と対峙した観客が、「見た」ではなく「体験した」と、それもアンヌと身も心も一体化して、「恐怖と怒りと情熱」を体感したと語ること。全編アンヌの目線で描かれる本作は、見ている者の主観がバグるほどの没入感をもたらし、溺れるほどの臨場感であなたを襲う。
監督を務めるのは、本作をきっかけに世界中から注目を集める女性監督、オードレイ・ディヴァン。主演は子役時代に『ヴィオレッタ』で美しすぎる娘役を怪演し、本作でセザール賞を受賞したアナマリア・ヴァルトロメイ。原作はノーベル賞に最も近い作家とリスペクトされるアニー・エルノーが、自身の実話を基に書き上げた「事件」。
本作の予告編は、前途有望なアンヌの妊娠が発覚し、狼狽するシーンから始まる。「違法行為になる」と医者から突き放される様子や、「妊娠したら、大学を辞め働くしかない」「刑務所に入りたいの?」と話す友人の会話が、1960年代当時のアンヌを取り巻く社会を物語っている。
しかし、アンヌの選択は一つ。未来のために命がけであらゆる方法を模索しながら、迫りくるタイムリミットの中で焦燥し、どんどん孤立し追い詰められていく様が危機迫る。全編、彼女にぴったりと肉薄した映像からも、映画と観客の垣根がなくなるヒリヒリした臨場感と、尋常ならざる没入感で「体験型」と言われる所以が垣間見え、これまでにない映画体験を期待させる。
中絶が禁止されている中で発覚する、望まない妊娠。しかもそれが学生の身であったなら、間違いなくパニックになるだろう。アンヌの焦りや不安が自分ごとのように伝わってくる予告編だ。
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