ウクライナ侵攻から1年、親ロシア勢力に殺害された監督が残した現地の“リアル”を伝える映像
#ウクライナ#ドキュメンタリー#マリウポリ 7日間の記録#マンタス・クヴェダラヴィチウス#ロシア#映画#マリウポリ
カンヌ映画祭で特別上映され、ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞
ロシア侵攻による戦禍の中で生きる人々の日常と、廃墟に流れていた時間をリアルに追体験させるドキュメンタリー映画『マリウポリ 7日間の記録』。本作より予告編を紹介する。
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2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻は全世界に衝撃を与えた。1991年のウクライナ独立、そして2013年から2014年のマイダン革命に端を発し、ウクライナの東部に位置するドンバス地方では、親ロシア分離派とウクライナ系住民との紛争が絶え間なく続き今日に至っている。
そのウクライナ東部ドンバス地方のマリウポリは、ロシア軍に侵攻、包囲され、砲撃によって街は廃墟と化した。眩しい日差しの下、人っ子一人見当たらない瓦礫の街の風景は、人類すべてが滅亡してしまったかのようだ。夕暮れ時、建物の割れた窓から見える地平線には炎と噴煙が立ち昇り、連射される曳光弾の光跡と共に雷鳴のような砲撃音が轟いている―。
リトアニア出身で、人類学者からドキュメンタリー監督に転身したマンタス・クヴェダラヴィチウス監督は、侵攻間もない3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している数10人の市民らと生活を共にしながら撮影を開始。だが、現地入りし、取材開始から数日後の3月30日、クヴェダラヴィチウス監督は同地の親ロシア分離派に拘束され、殺害された。
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助監督だった監督のフィアンセによって撮影済み素材は確保され、遺体とともに帰国。クヴェダラヴィチウス監督の遺志を継ぎ、製作チームが完成させた作品は、直ちに5月の第75回カンヌ国際映画祭で特別上映され、ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞。2022年末にはヨーロッパ映画賞・ドキュメンタリー賞を受賞した。
本作は、私情も感傷も交えず記録に徹し、戦禍の惨状で生きる人々の日常と、廃墟に流れていた時間をリアルに追体験させるドキュメンタリー。ここには激しい戦闘の様子や刺激的な映像は一切ない。ただ戦争という理不尽な悲劇に見舞われた人々の営みがありのままに映し出されているだけだ。ニュース報道からは伝わってこない、真のマリウポリの現状がこの作品に記録されている。
紹介する約100秒の予告映像の中では、砲撃音が響き続ける不穏な空の下、スープを作り、祈り、タバコをふかし、すべてを失い絶望しながらも身を寄せて生きる人々の営みがありのままに映し出されている。
『マリウポリ 7日間の記録』は4月15日より全国順次公開。
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