「死に方教えてやろうか」と教え子をどう喝した、史上最悪の「殺人教師」。だが裁判でその実態が明らかにされると、意外な事実が浮かび上がってくる……。そんな実在の事件のルポルタージュ作品を原作に、三池崇史監督、綾野剛主演で映画化した『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の公開が決定した。
・堂本剛、綾野剛のクランクアップに駆けつけ「時間潰すの大変だったけど…」照れ笑い “剛剛コンビ”のエピソードに胸キュン!
教師による生徒への壮絶ないじめ、だが教師は事実を否定……
20年前、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件。報道をきっかけに、担当教諭は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側を擁護する550人の大弁護団が結成され、民事裁判へと発展。しかし、法廷で教諭はその事実を完全否認する……。
これは実際に起きた事件である。
第6回新潮ドキュメント賞受賞、福田ますみのルポルタージュ「でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相」を映画化。
三池崇史監督は『悪の教典』(12年)『初恋』(20年)『怪物の木こり』(23年)など映画のみならず、2025年にはTVドラマ「新・暴れん坊将軍」でも監督をつとめるなど、精力的に活躍の場を広げ続ける。
フィルモグラフィのなかでも異色となる、人間の静かな恐ろしさを描いた本作について「余計な演出をできるだけ排除し、冷静に作り上げたつもりです。ですから、この恐怖は本物です」と自信をのぞかせた。
主人公の薮下誠一を演じるのは綾野剛。『ヤクザと家族 The Family』(21年)など国内外で高く評価される作品への出演が相次ぎ、24年にはNetflixシリーズ「地面師たち」で社会現象を巻き起こすなど常に先頭を走り続けている綾野。
『クローズZEROⅡ』(09年)以来実に16年ぶりとなる三池組での仕事を「エンタメとルポルタージュの共存、共演者と芝居の総当たり戦」と振り返る。
共演は『着信アリ』(04年)や、『喰女 クイメ』(14年)に続く三池作品出演となる柴咲コウ。そして『怪物の木こり』で主演を務めた亀梨和也と、いずれも三池と再タッグとなるふたりが本作でも刺激的な存在感を放っている。
さらに脇を固めるのは木村文乃、大倉孝二、迫田孝也、光石研、北村一輝、小林薫ら、現代日本映画界で欠かすことのできない実力派キャスト陣が、三池が語る「冷静な恐怖」を体現すべく「本気の演技合戦」を繰り広げる。物語より奇妙で恐ろしい事件の記録を基に、心臓を締め付けるような緊張感で満たされた時間を作りだした。
今回解禁された特報映像にもその緊張感が充ち満ちている。
小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)による児童・氷室拓翔(三浦綺羅)への執拗かつ凄惨ないじめ。拓翔の母、氷室律子(柴咲コウ)はいじめに気づくと、涙ながらに学校へ訴える。
一転、人が変わったように体罰の疑惑を否定する薮下。謝罪の場となった保護者懇談会での追求、さらにはこの事案を嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)から追われる日々。
過激な言葉で飾られた記事は、瞬く間に世の中を震撼させ、マスコミの標的となった薮下の日常が壊れていくさまが、心臓を締め付けるかのような不協和音とともに描かれていく。
あわせて公開されたティーザーも、綾野のなんともいえない表情が前面に出された、メッセージ性の強いものとなっている。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
以下、綾野、三池監督に加え、原作者の福田ますみ、企画・プロデュースの和佐野健一各氏からのコメント全文。
■綾野剛(薮下誠一役)
エンタメとルポルタージュの共存、共演者と芝居の総当たり戦。毎シーン呼吸を忘れるほどの魂の揺らぎ、各部署のとてつもない胆力。三池崇史監督の祈りを道標に、ただただ魅了された現場でした。ぜひ劇場で目撃していただけたら幸いです。
■三池崇史(監督)
この映画は、現実に起こった事件に基づいている。
さらに正確に言うと、ジャーナリスト・福田ますみ氏による渾身のルポルタージュ『でっちあげ』を核にして作り上げたエンターテインメント。「殺人教師」にでっちあげられた男の、怒りと恐怖、そして、哀しみに包まれた人生の記録です。余計な演出をできるだけ排除し、冷静に作り上げたつもりです。ですから、この恐怖は本物です。何よりも恐ろしいのは、人ごとではなく明日、あなたの身に起こるかもしれない人災であるということ。被害者にも、いや加害者にも、あなたはそのどちらにもなり得るのです。
■福田ますみ(原作)
「よくこんなリアリティゼロの下手な小説を書くな。いくら小説だからって、もう少し現実にありそうなストーリーを考えろよ。えっ、これほんとうにあったこと? マジか!」。ある読者が、拙著を読んで寄せた感想である。
そう、これは真実の物語だ。細部にまでこだわった迫力の映像が、学校現場で起きたありえない狂気を、そしてそこから増幅された社会の狂気をリアルに描いている。主人公が、たまりにたまった怒りを爆発させるシーン、綾野剛さんの鬼気迫る演技は鳥肌ものだ。観客にとっては、あっという間の129分だろう。
■和佐野健一(企画・プロデュース)
このルポルタージュに出会った瞬間、これは今すぐ映画にすべきだと確信しました。
誰かを糾弾するためでも、「真実とは何か?」という難解なテーマを投げかけるためでもありません。
三池監督、綾野さん、そして素晴らしい俳優陣の想いが、この作品をただひたすら純粋に、心の奥深くに突き刺さるエンターテインメントへと昇華させてくれました。
映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は2025年6月27日より全国公開。
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