あの母親は私かもしれない……誰にでも起こり得る壮絶ドラマ
第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』で作家デビューし、数々の受賞歴のある椰月美智子の同名小説を映画化した『明日の食卓』。子を持つ親なら誰もが直面する問題を、『菊とギロチン』『糸』などの社会派エンタテインメントの旗手である瀬々敬久が監督し、豪華女優陣を迎えた本作から予告映像が解禁された。
主演は『ジーン・ワルツ』以来10年ぶりの映画主演となる菅野美穂。フリーライターで2人の息子を育てる留美子役に挑み、やんちゃ盛りの息子たちを育てながら仕事復帰を目指す母親を、タフな存在感と未来への希望をうかがわせる朗らかさを滲ませながら熱演。また、シングルマザーで大阪に暮らす加奈役に高畑充希。若くして母になり、パートの仕事を掛け持ちする毎日ながら、一人息子の成長だけが生きがいの愛情深い母親をリアルに演じている。そして年下の夫と優等生の息子に囲まれ、一見なに不自由のない幸せを手に入れているように見えるあすみ役を、尾野真千子が丁寧に演じる。
誰にでも起こり得る母と子の壮絶なドラマ。実力派豪華女優陣が濃密に演じ、緊迫のクライマックスへと向かわせ、見る者に共感と問題意識を喚起しながらラストには希望の光を与えてくれる。
他人事ではない母親たちのリアリティが魂を揺さぶる!
「これはあなたにも起こり得る物語」というナレーションで始まる予告映像は3人の母親が登場する。43歳のフリーライター、石橋留美子(菅野美穂)、30歳のシングルマザーで息子を愛情深く育てる石橋加奈(高畑充希)、優しい夫と自慢の優等生の息子に囲まれ幸せそうに暮らす36歳の専業主婦の石橋あすみ(尾野真千子)。同じ「ユウ」という名前の10歳の息子を育てる母親たち三者三様の「石橋家」の平和な日常が描かれていく。
しかし、突如として「ある日、ひとりのユウ君が母親に殺された」という言葉と共に場面は転換し、子育てや家事に非協力的な夫をなじる留美子(菅野美穂)の姿や、加奈(高畑充希)に対し「僕のことはもう嫌いなんや!」と叫ぶ息子の勇の姿、そして「僕はいい子じゃない!お母さんもいいお母さんじゃない!」と狂気じみた表情で話す、あすみ(尾野真千子)の息子の優のカットなど、それぞれのリアルかつ魂を揺さぶられるシーンが映し出されていく。高まっていく緊張感の中、予告編の最後に「息子を殺したのは私ですか」という衝撃のナレーションが流れ、三つの石橋家がたどり着く運命は私たち見る者の運命そのものかもしれない、という強烈なメッセージが投げかけられる。
ワンオペ育児や困窮するシングルマザー、世の母親たちを取り巻く環境は過酷だが、それは決して母親だけの問題ではない。にもかかわらず、その多くを彼女たちが背負わざるを得ない現実がある。それぞれが子育てに奮闘しながらも、息子を心から愛する幸せな家庭を築いていたはずだったのに、どこで歯車が狂ってしまったのか……。女性が社会、育児、仕事の狭間で揺れ動く、決して他人事ではないリアリティあるサスペンスの行方を、ぜひ劇場で見守りたい。
『明日の食卓』は2021年5月28日より全国公開。
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