不実な恋人と政治的信念の狭間で揺れる偉大なるマルクスの末娘、その激動の半生に心震える

#19世紀 #エリノア・マルクス #カール・マルクス #スザンナ・ニッキャレッリ #パトリック・ケネディ #フェミニズム #ミス・マルクス #ロモーラ・ガライ #女性活動家 #社会主義 2021.06.18

女性活動家・エリノア・マルクスがパンクロックと共に時代を駆け抜ける

19世紀を代表する哲学者、経済学者カール・マルクスの末娘を描く『ミス・マルクス』が、9月上旬より公開されることが決定し、このたび予告編が解禁された。

カール・マルクスの伝説的な3姉妹の末娘であり、女性や子どもたち、労働者の権利向上のため生涯を捧げ、43歳の若さでこの世を去った女性活動家エリノア・マルクス。本作は、彼女の知られざる激動の半生を初めて映画化した作品だ。

監督・脚本を手掛けたのは、前作『Nico, 1988』でヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞を受賞したイタリア出身のスザンナ・ニッキャレッリ監督。エリノアを演じるのはフランソワ・オゾン監督『エンジェル』の主演に抜擢されて以来、『つぐない』や『未来を花束にして』などの話題作に出演してきたロモーラ・ガライだ。共演に『戦火の馬』『クイーンズ・ギャンビット』のパトリック・ケネディを迎えている。

本作は2020年ヴェネツィア国際映画祭でワールド・プレミアを迎え、同映画祭コンペティション部門でFEDIC賞、ベストサウンドトラックSTARS賞の2冠に輝き、21年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞11部門ノミネート、3冠受賞を果たしている。

解禁された予告編は、革命家カール・マルクスの死から幕を開ける。最愛の父の死を悼みながらも、「自分の人生を生きたい」と宣言するエリノア（ロモーラ・ガライ）。時代を先駆けた女性活動家として活躍し、大衆を前に男女平等の実現、労働者の権利向上を力強く訴えかける。しかし、その素晴らしい業績の陰で、エドワード・エイヴリング（パトリック・ケネディ）への苦悩に満ちた愛と政治的信念の狭間でエリノアの心は引き裂かれていく。

アメリカのパンクロック・バンド、ダウンタウン・ボーイズによるカバー曲「インターナショナル」も登場し、激しく踊るエリノアの映像に「前へ進め」という力強いキャッチが添えられる。クラシック×パンクロックの音楽が紡ぎだす本作の魅力が垣間見える予告編となっている。

社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人であり、時代の先駆者でもあった女性エリノア・マルクス。彼女の短くも激動の半生を、心揺さぶるパンクロックの響きに乗せて現代に甦らせた本作に注目したい。