『英国王のスピーチ』オスカー最多4部門受賞に見るアメリカ人のイギリス王室好き

『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したコリン・ファース
(C) 2010 See-Saw Films. All rights reserved.
『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したコリン・ファース
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『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したコリン・ファース
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アカデミー賞で技術賞を4つ獲得した『インセプション』
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『ソーシャル・ネットワーク』
主演女優賞を獲得した『ブラック・スワン』ナタリー・ポートマン
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Fワードを口にしてしまったメリッサ・レオ/『ザ・ファイター』より
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2月28日にロサンゼルスのコダックシアターで第83回アカデミー賞授賞式が行われ、12部門最多ノミネートだった『英国王のスピーチ』が作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞の4冠に輝き、最多4部門受賞作となった。

第68回ゴールデングローブ賞で『ソーシャル・ネットワーク』が最多4部門受賞

これに並んだのが『インセプション』で、撮影賞、録音賞、音響編集賞、視覚効果賞を受賞。映像が話題となった作品だけに、技術賞を押さえた感じの受賞結果に納得。

ゴールデングローブ賞では最多受賞となった『ソーシャル・ネットワーク』だが、アカデミー賞では脚色賞、編集賞、作曲賞の3部門受賞にとどまった。今、最もホットな企業の成り立ちを描いた話題作だけに意外な感じもするが、年齢層が高めと言われるアカデミー会員向きのテーマではなかったのかもしれない。また『英国王〜』に次ぐ10部門ノミネートの『トゥルー・グリット』は残念ながら無冠に終わった。

主演女優賞に輝いたのは『ブラック・スワン』で新境地を開拓したナタリー・ポートマン。オスカーを手に涙ぐみながら映画関係者や家族、友人への感謝を述べた姿はとても初々しく、まさに今年のハイライトシーン。デビュー作『レオン』のリュック・ベッソン監督への感謝を口にしていたのも印象的だった。彼女はこの受賞作でバレエ指導を担当したダンサーのミルピエと婚約中で、現在、彼の子どもを妊娠中。最高の幸せと栄誉をもたらした『ブラック・スワン』は、彼女にとって忘れられない作品となったはずだ。

2度目のノミネートで初受賞した『ザ・ファイター』のメリッサ・レオ(助演女優賞)の興奮ぶりも、ある種のハイライトシーン。プレゼンターのカーク・ダグラスに頬をつねってもらい、受賞が夢ではないことを確認したレオは、勢い余って、人前で使ってはいけない卑語“Fワード”を口にしてしまったのだ。その後、『ザ・ファイター』で共演したクリスチャン・ベイル(助演男優賞受賞)らがスピーチでそのことをからかっていたが、彼女の名は今後も「授賞式でFワードを口にした女優」として長く記憶される……かも。

『英国王〜』への高評価が印象的だった今回の受賞結果。『クィーン』が第79回アカデミー賞で主演女優賞を受賞したときにも感じたが、改めてアメリカ人の“イギリス王室好き”を印象づけた感がある。『英国王〜』はもちろん素晴らしい作品でコリン・ファースの主演男優賞は納得だが、作品・監督・脚本については疑問を感じた人も少なくないのでは。

また、今年の司会は32歳のジェームズ・フランコと28歳のアン・ハサウェイの史上最年少コンビがつとめた。ちなみに男女が組んで司会を務めるのは24年ぶりのこと。アン・ハサウェイが男装し、フランコも女装までして奮闘したものの、機知に富んだ瞬間が見あたらず面白味に欠け、アメリカでは酷評されているようだ。

受賞作も下馬評通りで躍動感が少なく、視聴率が前年比で9%下がってしまったのも仕方ないのかも……。受賞作品は以下の通り。

【作品賞】
『英国王のスピーチ』
 『ブラック・スワン』
 『ザ・ファイター』
 『インセプション』
 『キッズ・オールライト』
 『127時間』
 『ソーシャル・ネットワーク』
 『トイ・ストーリー3』
 『トゥルー・グリット』
 『Winter’s Bone(原題)』

【監督賞】
トム・フーパー(『英国王のスピーチ』 )
 ダーレン・アロノフスキー(『ブラック・スワン』)
 ジョエル&イーサン・コーエン(『トゥルー・グリット』)
 デヴィッド・フィンチャー(『ソーシャル・ネットワーク』)
 デヴィッド・O・ラッセル(『ザ・ファイター』)

【主演男優賞】
コリン・ファース(『英国王のスピーチ』)
 ハビエル・バルデム(『ビューティフル BIUTIFUL』)
 ジェフ・ブリッジス(『トゥルー・グリット』)
 ジェシー・アイゼンバーグ(『ソーシャル・ネットワーク』)
 ジェームズ・フランコ(『127時間』)

【主演女優賞】
ナタリー・ポートマン(『ブラック・スワン』)
 アネット・ベニング(『キッズ・オールライト』)
 ニコール・キッドマン(『Rabbit Hole(原題)』)
 ジェニファー・ローレンス(『Winter’s Bone(原題)』)
 ミシェル・ウィリアムズ(『ブルーバレンタイン』)

【助演男優賞】
クリスチャン・ベイル(『ザ・ファイター』)
 ジョン・ホークス(『Winter’s Bone(原題)』)
 ジェレミー・レナー(『ザ・タウン』)
 マーク・ラファロ(『キッズ・オールライト』)
 ジェフリー・ラッシュ(『英国王のスピーチ』)

【助演女優賞】
メリッサ・レオ(『ザ・ファイター』)
 エイミー・アダムス(『ザ・ファイター』)
 ヘレナ・ボナム=カーター(『英国王のスピーチ』)
 ヘイリー・スタインフェルド(『トゥルー・グリット』)
 ジャッキー・ウィーヴァー(『Animal Kingdom(原題)』)

【脚色賞】
『ソーシャル・ネットワーク』

【オリジナル脚本賞】
『英国王のスピーチ』

【外国語映画賞】
『In a Better World(原題)』(デンマーク)

【長編アニメーション映画賞】
『トイ・ストーリー3』

【短編アニメーション映画賞】
『The Lost Thing(原題)』

【長編ドキュメンタリー賞】
『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』

【短編ドキュメンタリー賞】
『Strengers No More(原題)』

【実写短編賞】
『GOD of Love(原題)』

【撮影賞】
『インセプション』

【美術賞】
『アリス・イン・ワンダーランド』

【衣装デザイン賞】
『アリス・イン・ワンダーランド』

【編集賞】
『ソーシャル・ネットワーク』

【メイクアップ賞】
『ウルフマン』

【作曲賞】
『ソーシャル・ネットワーク』

【オリジナル歌曲賞】
「僕らはひとつ」(『トイ・ストーリー3』)

【音響録音賞】
『インセプション』

【音響編集賞】
『インセプション』

【視覚効果賞】
『インセプション』

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