女優の古川琴音が10月2日、都内で実施された初主演映画『春』の舞台あいさつに大森歩監督と共に登壇。本作について語った。
監督の経験をもとにした自伝的作品『春』
本作は、3年間祖父と2人暮らしをし、美術大学を卒業し、現在CMなどのディレクターとして活躍する大森監督自身の経験をもとに、認知症が進む祖父を介護する美大生の心情を繊細に描いた現代作品。主人公・アミを演じ、初主演を飾ったのは、NHK連続テレビ小説『エール』の主人公夫婦の一人娘役、『コントが始まる』の有村架純の妹役や映画『泣く子はいねぇが』(20年)、『街の上で』(20年)などで注目を集める古川。
古川は本作で初主演が決まった時の感想を聞かれ、「仕事を始めたばかりだったので、初主演ということに関してあまりピンときていませんでした。私の役が監督御本人(の分身)なので、監督の前で監督を演じるっていうプレッシャーの方を感じていたように思います」と話した。
脚本の感想を聞かれた古川は「セリフで書かれていない部分が多かったので、最初は難しいという印象がありました。現場に行って監督とコミュニケーションをしながらわかっていくことが多かったです。一見記憶からこぼれ落ちるような些細な出来事が書かれていたので、その裏にどういうおじいちゃんとの関係があったのかということが読んだだけではわからなくて、監督がおじいちゃんのことを話している姿込みでわかっていった気がします」と裏話を披露。
監督から祖父との話を聞いた古川は「老いていくおじいちゃんを見ていて、おじいちゃんができなくなっていく姿を目の当たりにするわけだから、それに対するするショックだとか、苛立ちや恥ずかしさだとかがあるだろうなとは想像できていたんですけれど、それに対しておじいちゃんが大人を脱ぎ捨てていく、子供返りしていく過程を見て、そこに愛おしさを感じたりという感情が沸き起こるというのは、監督の実体験ならではの感覚で、聞かなくてはわからなかったことだと思いました」と語った。
古川から「自由に見ていただけたら嬉しいです」と本作をアピール。「アミとおじいちゃんの関係性に寄り添っていただいてもいいし、アミが将来に踏み出すときの気持ちに共感していただいてもいいし、自然を楽しんでいただいてもいいです。楽しんでいただけたら嬉しいです」と述べた。
大森監督は「『春』はセリフをそぎ落として、間とかアミやじいちゃんの表情で語りたいなと作ったので、1回目見たときより2回目見たとき、例えばおじいちゃんが見つめている表情が嬉しそうにも辛そうにも悲しそうにも寂しそうにも、感情が違って見えます。正解はないので、感じ取っていただければと思います。何度か見て、このときアミはこういう気持ちだったんじゃないかなど想像していただければと思います」とメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。
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