キューバの中のアメリカ!? 「グアンタナモ収容所」の差し入れ事情
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10・29公開『モーリタニアン 黒塗りの記録』特別映像と場面写真公開
第78回ゴールデングローブ賞にて俳優部門2部門のノミネートを果たし、ジョディ・フォスターや ベネディクト・カンバーバッチ、タハール・ラヒムらの実力派が共演した話題作、『モーリタニアン 黒塗りの記録』が10月29日より、全国で公開される。このたび本編内の差し入れに関するシーンを収めた特別映像と場面写真が公開された。
2015年、アメリカ政府による検閲で多くが黒く塗りつぶされた手記が出版された。筆者のモハメドゥ・スラヒはその時、キューバのグアンタナモ収容所に収容されていた。異例尽くしのこの本は、またたく間にアメリカで大ベストセラーに。その後、世界20か国で刊行され、映画化された。
2005年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はアフリカ・モーリタニア出身のモハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。9.11同時多発テロの首謀者の1人として拘束されたが、裁判は一度も開かれず、収容所で地獄のような投獄生活を何年も送っていた人物だ。
一方では、政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。
真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた……。
「グアンタナモ基地」。これはカリブ海にあるキューバのグアンタナモ湾にある米軍基地である。なぜキューバにアメリカの基地が? と思うだろう。
キューバは1511年にスペインに征服されたが、1989年のアメリカとスペインとの間で起きた米西戦争でアメリカが勝利し、スペインの植民地であるキューバを占領した。1902年、アメリカ軍政下でスペインから独立したキューバが1903年にグアンタナモ基地の永久租借を認めたことからはじまる。その後、1959年のキューバ革命でキューバは社会主義国に転換した。社会主義のキューバにある民主主義アメリカ。それがグアンタナモ基地ということである。
そのグアンタナモ基地の中の収容所に長らく拘禁されていたラヒム演じるモハメドゥ氏。彼にはささやかな楽しみがあった。それはナンシー弁護士による差し入れだったという。容赦のない拷問に耐えてきたモハメドゥ氏にとって楽しみだったその差し入れとはいったい……?
日本でもおなじみのあのファストフードが差し入れとして登場!?
このたび公開された動画は、グアンタナモ湾を走る1台のバスを映し出す。
バスの中では軍人が「グアンタナモ基地へようこそ。ここは米国の司法の管轄外です」と言って、特殊な場所だけに基地内や収容所の細かなルールを告げた後「差し入れを買うならここでどうぞ」と観光バスのガイドさんが人気のお土産屋を紹介するような口調でいうと、バスも止まる。
止まったバスの窓に映るのは、あの世界的に有名なファストフードチェーンのマスコットに似ている“彼”。ピエロの格好をして涙を流していない点はまったく同じだ。
彼を見つめるナンシー弁護士とテリー弁護士(シャイリーン・ウッドリー)。やがて購入したナンシーらを乗せたバスはついにグアンタナモ基地内の収容所に入っていく……(https://youtu.be/v4njDS5DMYk)。
そのファストフードチェーンは本当にグアンタナモ基地内にある。キューバでありながら基地はアメリカ領なので、国内店という扱い。しかし現地の人が買いたくても簡単に入れるところではない。当たり前だが購入者は基地の関係者のみだ。
テリーがこのファストフードチェーンの紙袋を渡しながら、「差し入れよ。ハラールフードはこれだけ」とモハメドゥ氏に渡すシーン。そう「キューバスペシャル」とか「グアンタナモサンド」といった特別なものではない。あの有名店のあのフィッシュバーガーだ。
これを聞くと身近に感じる人も多いはず。劇中では例のファストフードチェーンの名前は出てこない。そのため、冒頭に掲げた場面写真の中のフィッシュバーガーを入れた紙袋にも、おなじみのあのロゴは入っていない。
モハメドゥ氏にこの件をたずねると「映画では初回になっていたけど実際には、ナンシーは面会のたびに、色々と差し入れをしてくれていた。フィッシュバーガーも何度かあって食べたよ! 」と答えた。
モハメドゥ氏にとってグアンタナモでの長い拘禁期間の中で、この差し入れは限られた楽しみの一つだったに違いないだろう。
『モーリタニアン 黒塗りの記録』は10月29日より、全国で公開される。
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