監督からかけられた「共犯になろう」という言葉
映画『草の響き』が10月8日より公開中。ムビコレでは主演する東出昌大のインタビューを掲載している。
佐藤泰志小説の映画化第5弾で、3年ぶりの映画主演/『草の響き』東出昌大インタビュー
心に失調をきたし、妻とふたりで故郷・函館へ戻ってきた主人公・和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治療のためランニングを始める。雨の日も真夏日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。その繰り返しのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんななか、彼は路上で出会った若者たちとふしぎな交流を持ち始める。
原作は函館市出身で、『そこのみにて光輝く』(13年)『きみの鳥はうたえる』(18年)など、作品の映画化が絶えない佐藤泰志。函館の映画館「シネマアイリス」代表・菅原和博がプロデュースを手掛けた、佐藤の没後30年企画作品である。
「(台本を)一読したときに『絶対にやります』と、すぐにお返事しました」と語る東出。「原作では暴走族だったのが、スケートボードをする少年たちになったり、八王子が函館になったり、夫婦の関係についても、全てが映画的にいいバランスで再現されて、台本の中にあると思ったので、クランクインが非常に楽しみでした」。
そんなクランクインは昨年の11月。東出は直前まで舞台「人類史」の公演に出演していた。「とにかく去年は世の中的にも激動の年だったのかなと思います。暦を感じるようなものもほとんどなかった1年でしたし。確かに、舞台と『草の響き』は大きく違ったので、そういう意味でも、飛行機から飛行船に乗り換えるぐらいの違いがあったのかなと思います」。
『寝ても覚めても』(18年)以来、3年ぶりの主演映画となった東出。和雄が路上で出会う若者を演じた3人は本作が映画初出演とのことで、彼らのリハーサルに東出も参加し、先輩としてのアドバイスをすることも。「(斎藤久志)監督が『今回、共犯関係になろう』とおっしゃって。僕の中で絶対として、映画は監督のもの、というのがあるんです。俳優部は材料だと思っているんですけれども、監督の『共犯になろう』という言葉は、演出も兼ねてだと解釈して、僕の方から、行き過ぎたことでも提示することもありました。でも、仕上がった作品を見て、ちゃんと監督のものになっていたと思います」。
「何が悪い、何が良いと一概に言い切れない、そういう人間の難しさだったりはかなさだったりというのが原作にも、台本にも書かれている『草の響き』の主題なのかなと思うので。それを監督と話し合って、大事にしながら撮っていたと思います」。東出昌大のインタビュー全文はこちらから。
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