芸能人の政治的発言がタブー視されてきた日本で起きた変化|投票への呼びかけ、ハリウッドでは90年代から活発化
小栗旬、菅田将暉、二階堂ふみらが選挙投票を呼びかけ
16日に、小栗旬や菅田将暉、仲野太賀、二階堂ふみ、渡辺謙などが出演し、投票を呼びかける動画「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」というタイトルの動画がYouTubeで公開された。一切の政党や企業に関わりのない市民プロジェクトで、それぞれの思いや選挙に行く意義を語り、自分も「投票します」と宣言する内容だ。
欧米、特にアメリカではセレブ自ら政治的立場を明らかにして、選挙の応援活動をしたり、1990年代からメディアで投票を呼びかけるキャンペーンが続いている。
有名なのは、当時ヴァージン・レコード・アメリカの共同取締役だったジェフ・アイエロフが始めた「ロック・ザ・ヴォート(Rock the Vote)」だ。若者の投票率を高める活動を行うNPOで、SNSが存在しなかった当時はMTVなどでキャンペーン映像を流していた。1990年には、マドンナがアメリカ国旗を身にまとい、男性ダンサー2人と「VOGUE」の替え歌で投票を呼びかけた。
4年に1度のアメリカ大統領選挙の際は、投票に不可欠の有権者登録をすることも併せて呼びかけるキャンペーンがいくつも展開される。
2008年には、レオナルド・ディカプリオの制作会社「Appian Way」が、わざと「投票しないで」と呼びかける動画を2本作った。ディカプリオやハル・ベリー、ジェニファー・アニストン、トビー・マグワイアやダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマンをはじめ多くのセレブたちが「投票しないで。意味ないから」と言いながら、やがて経済や教育、銃規制といった社会問題を挙げていき、「もし気になるなら」、1票を投じることで気になる問題の解決の一歩になると促す内容だ。
第2弾ではスティーヴン・スピルバーグ監督が演出するという体で、ハリソン・フォードやトム・クルーズ、ウィル・スミス、ジュリア・ロバーツなどさらに豪華な顔ぶれが登場。スピルバーグの演出に戸惑いながら「投票しないで」と言うメイキング映像仕立てになっている。最後はスピルバーグが台本を破り捨て、「心のままに話して」と演出プランを変更、自分が投票する理由を1人1人が次々と語っていく。
この動画では出演者が「このビデオを友だち5人に送ってください」と呼びかけるが、その後はSNSが台頭し、それぞれが自身のアカウントでフォロワーたちに呼びかけるスタイルが主流になっていった。
投票日のSNSには、投票を済ませた多くのセレブが「投票しました(I voted)」のタグをつけて投稿する。
個々のアカウントだと政治的立場も表明しやすく、支持政党や候補を明確にしてオープンに応援する場合もあるが、何よりも大切なのは1人でも多くの投票を促すこと。大御所のスターばかりではなく、インスタやTikTokなどで若い世代に影響力大なインフルエンサーたちも行動している。
日本でもこの数年、SNSで投票を呼びかけたり、政治的な意見をツイートする芸能人も増えている。昨年は「#検察庁法改正案に抗議します」というタグで意見を表明する芸能人たちの行動が話題を呼んだ。芸能人の政治的発言はなぜかタブー視されがちだが、彼らは芸能人であると同時に一市民、有権者である。政治を語ってはならない理由はない。
今回の動画出演者の中には、それぞれのSNSのアカウントにも動画を投稿し、そこでさらに思いを綴っている人もいる。人気芸能人たちの「投票します」というシンプルな一言がどんな広がりを見せていくか、注目したい。
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