初めて女の子を見てドキドキする思春期男子の脳内の声が漏れまくり!
【この俳優に注目】トム・ホランド
トム・ホランドとデイジー・リドリーの共演で注目を集める『カオス・ウォーキング』がついに公開される。
西暦2257年、汚染した地球から脱出した人類が暮らす「ニュー・ワールド」が舞台のSF作で、女性が死に絶えた環境で生き残った男性たちの脳内が言語化され、「ノイズ」としてさらけ出されるという設定だ。
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トムが演じる主人公・トッドはこの星に生まれ、女性の姿を見ることなく成長した。ある日、地球から来た宇宙船が墜落し、トッドはただ1人の生存者に出くわす。それは初めて見る女性=ヴァイオラだった。
その瞬間から、トッドのノイズがあふれ出す。「女の子だ」「びっくりした。初めて見た」
心を読まれないように訓練していても、制御が効かず、相手に全部わかってしまう。焦りまくる胸の内がまたノイズになって筒抜けになり……。緊迫した状況なのにちょっと間抜け。だが、バカ正直な心の声は思春期のリアルそのもので微笑ましい。肉体表現とヴォイスオーバーで被せる声の演技のバランスで、トムの芝居の巧さがよくわかる。
無垢で正義感にあふれた青年役はトムホの十八番!
パンデミックの影響などを受けた本作は、撮影開始から公開まで4年近くの月日が経過している。当初の2017年の撮影時にトムは21歳、2年後に追加撮影も行われたが、長期のインターバルを挟んだことは、言われなければわからない。20代になっても、少年の未熟さを演じるのに不自然さは皆無だ。
過酷な境遇でも無垢さを失わず、正義や使命感を忘れない少年、青年役は彼の十八番。映画デビュー作『インポッシブル』(12年)で演じたルーカスもそんな少年だ。
2004年のスマトラ沖地震による津波に巻き込まれた一家の長男ルーカスは、母親(ナオミ・ワッツ)と2人で流され、負傷した母を庇いながら、はぐれてしまった弟2人と父親(ユアン・マクレガー)を探す。健気な姿は観客の心をつかみ、演技力も高く評価され、シアーシャ・ローナン主演の「わたしは生きていける」(13年)やロン・ハワード監督の『白鯨との闘い』(15年)など数々の作品に出演して頭角を表した。
スパイダーマン役でブレイク! うっかり口を滑らすミスをすることも
1996年生まれのトムのキャリアは長い。11歳の時にミュージカル「ビリー・エリオット」(原作は映画『リトル・ダンサー』)でデビューした。主人公の親友マイケル役での出演が、3ヵ月後にはビリー役に抜擢され、2010年まで演じた。
人気に本格的に火がついたのは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)でピーター・パーカー/スパイダーマンとして登場し、主演を務めた『スパイダーマン:ホームカミング』(17年)が世界中で大ヒットした時。『シビル・ウォー~』の撮影時、トムは19歳。『~ホームカミング』が公開されたのは21歳の誕生日の直後で、トムは、「MCUでタイトルロールを演じた最も若い俳優」としてギネス世界記録入りしている。
実生活では長男だが、仕事の場では弟キャラで、共演者たちから可愛がられていることも有名だ。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19年)のジェイク・ギレンホールや、『アベンジャーズ』シリーズでソーを演じるクリス・ヘムズワースとは『白鯨との戦い』でも共演、声の出演をした『2分の1の魔法』(20年)で兄役のクリス・プラットらとプロモーション活動でじゃれ合う姿は心底楽しそうだ。
また、極秘事項をうっかり喋ってしまう口の軽さも有名。インタビューやSNSで、まだ解禁前の内容をつい話してしまうことから、マーベルは情報漏洩対策で取材は単独ではなく、共演者と2ショットにしたり、トムには偽情報を教えているという噂も。
ゼンデイヤと熱愛中!? ファンにも温かく見守られている様子
『スパイダーマン』シリーズのヒロイン、MJを演じるゼンデイヤとは1作目の頃から交際が噂されていたが、当人たちは否定。それでも仲の良さは格別で、SNSでリアクションし合うなど、スクリーン上だけにとどまらない交流を見せてきたが、今年7月には交際を認めるような投稿があった。いわゆる交際宣言はしていないが、恋人同士と報じられてもSNSで否定することもなく、キュートなカップルとしてファンに愛されている。
トムをスターにしたのは威圧的オーラではなく、誰にでも好かれる親しみやすさだ。チャリティ企画で小児病院訪問することも多いが、闘病中の子どもたちに向き合う様子はヒーローとしてというより、ピーター・パーカーとして、もっと言えば、“友だちの1人、トム”が訪ねてきたような空気を醸し出す。
ゼンデイヤは「In Style」誌のインタビューでトムについて、「どこに行ってもスーパーヒーローの役を引き受けなければならないのは、大きなプレッシャーです。通りすがりの小さな子どもにとって、彼はスパイダーマンでなんです。彼はその役割をうまくこなしていたと思う」と評し、「彼は楽しい人。とてもカリスマ性があって、誰でも快適に過ごせるようにしてくれるし、大笑いして楽しくおしゃべりできる」と語っている。
運動神経の良さは、パーソナル・トレイナーが「ハリウッドにいなかったら、ちゃんとしたアスリートになっていたはず」と太鼓判を押すほど。だが、アクション一辺倒ではなく、声の仕事もこなし、『カオス・ウォーキング』をはじめMCU以外の作品へも積極的に出演。Netflix『悪魔はいつもそこに』やAppleTV「チェリー」など、配信サービスの作品ではダークな役柄にも挑戦し、スパイダーマンのイメージに留まらない幅の広い活躍は、無限の可能性を感じさせる。(文:冨永由紀/映画ライター)
『カオス・ウォーキング』は2021年11月12日より公開。
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