シュルレアリストの芸術家にして、チェコ・アートアニメションの巨匠でもあるヤン・シュヴァンクマイエル監督。御年77歳(9月4日で78歳)の彼が、8月27日に公開初日を迎えた新作『サヴァイヴィング ライフ −夢は第二の人生−』のキャンペーンのために来日。渋谷シアター・イメージフォーラムで行われた舞台挨拶に登壇した。
同作は実写と写真を巧みに組み合わせたカットアウトアニメ。寝ることくらいしか楽しみがない中年男が、夢のなかで若くて美しい女性と出会い、夢と現実の二重生活を送るようになるというストーリー。
夢について意見を求められたシュヴァンクマイエル監督は「現在の文明は夢と現実を完全に2つに分けてしまい、夢ではお金が稼げないから、現実を重要視するようになったのだと思う。しかしながら、私たちの先祖は夢を重要視していた。夢を軽視することによって、私たちは自らの人生を貧しくしてしまったのではないか」と自身の考えを語った。
また、多方面に渡って創作活動を行う上で、映画がどんな位置を占めるかとの質問には、「私は自分のことを映画監督と捉えたことは1度もない。もともと、映画学科ではなく演劇学科を卒業しているし、どういう方向でも芸術は芸術だと思っている。だからこそ、1970年代に7年間、映画撮影を禁止された時代があっても、私にとっては大した打撃ではなく、代わりに触覚と想像の関わりについて、いろいろな仕事を発表していた」と答えていた。
長きに渡って創作活動を続けてきた源については「私はある種の妄想にとりつかれている部分がある。それがなくならない限り、何らかの形で創作活動を続けていくと思う」とコメント。「私にとって、妄想や執着しているものから解き放たれる過程こそが創作活動であり、そういう意味では自己セラピーでもある」と続けた。
最後に観客へのメッセージを求められると、「そのことについてお話しするのは非常に難しい。というのも、映画の冒頭で私が作品を紹介する場面があるから。つまり、私は今ここにいるが、この後、スクリーン上に登場し、みなさんに解説をする。ですから、そちらを楽しみにしていただければ」と笑顔を浮かべた。さらに「1つだけお話しをするなら、みなさんがこの映画を見て、どんな解釈をしたとしても、その解釈はすべて正しいと言うこと」と観客に、想像の自由を呼びかけていた。
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