ウィル・スミス、介護殺人の一歩手前だったと告白回想録で毒父との関係明らかに

暴力的でアル中の父、殴られた母は血を吐いた

ウィル・スミスが9日に出版予定の回想録「Will（原題）」で、幼少期の暗い思い出や亡父との複雑な関係を綴った。

スミスは、2016年に亡くなった実父のウィリアム・キャロル・スミスSr.氏について、2面性を持つ男性だと表現、「父は暴力的だったが、試合や演劇、発表会には必ずいた。アルコール依存症だったが、私の映画のプレミア試写会では毎回しらふだった」と綴った。

スミスがラッパー、俳優として成功を収めてからも、「すべてのレコードを聴いた。すべてのスタジオに足を運んだ」という。「強烈な完璧主義は、毎晩テーブルに食事を並べる時に家族を恐怖に陥れたものと同じものだ」

フィラデルフィアで父と母と3人のきょうだいと暮らしていた9歳の頃、スミスは父が母を殴り倒すのを目撃した。

「父が母の側頭部を強く殴り、彼女が倒れるのを見た。彼女が血を吐き出すのを見た。あの寝室でのあの瞬間が、私の人生のどの瞬間よりも、私という人間を決定づけたと言えるだろう」。

それ以来、スターとして注目を浴び、人気者となって賞を贈られたこともあるが、スミスの心の中にはずっと、あの瞬間に何もできなかったことに対する「母へのひそやかな謝罪が含まれている。あの時、母を失望させてしまったこと。父に立ち向かうことができなかったこと。臆病になっていたことを」。

ハリウッド大作でヒーローを演じ、明るく楽しい人柄の映画スター”ウィル・スミス “とは、世界から「臆病者」という自分自身を隠すために慎重に作り上げた虚像だとスミスは告白。そして「コメディはすべてのネガティブな感情を和らげる。笑い転げている時には怒ったり憎んだり、暴力を振るうことはできない」とも綴った

父親は2016年に亡くなった。今年9月、GQのインタビューでスミスは「父が母を殴っていたことなんて、絶対に言えなかった。父が生きている間はそんなことを話せなかった」と語った。

闘病中の父の介護もしたが、その時に少年時代の記憶がよみがえることもあった。

「子どもの時の私は、いつか母のために仕返しするといつも自分に言い聞かせていた。自分が大きく強くなり、臆病でなくなったら、彼を殺してやると」。

父親を車椅子に乗せて、寝室からトイレに連れて行く途中に暗い考えが頭をよぎったこともあった。

「階段の上で止まって考えた。父を突き落とすこともできた。そして簡単に誤魔化せるだろう」「何十年もの苦痛、怒り、そして恨みが押し寄せ、そして引いて行った。私は頭を振り、またオヤジの車椅子を押してトイレに向かった」

スミスは父親についての複雑な思いを以下のように記している。

「父は私を苦しめた。そして同時に、私が知る限り最も偉大な人物の1人でもあった」と綴り、彼に忠誠心と完璧主義を植え付けた人物であると振り返る。「彼は私の人生で最大の贈りものであると同時に、私の最大の苦痛の源の1つでもあった」。

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