『ハウス・オブ・カード』で権力欲にとりつかれた男熱演
2017年、セクシャルハラスメント疑惑を受けてNetflixの大ヒットシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を降板したケヴィン・スペイシーに対して、裁判所は同作の制作スタジオ「メディア・ライツ・キャピタル(MRC)」に3100万ドル(約35億円)の損害賠償金を支払うよう命じたこと明らかになった。
・ケヴィン・スペイシーを性的暴行で訴えた男性が裁判前に死亡、年内で2人目
・【動画】この国は、無知な国民ではなく我々のもの『ハウス・オブ・カード 野望の階段』予告編
スペイシーは『ハウス・オブ・カード』で、あらゆる手段を使ってアメリカ合衆国大統領の座に登りつめる政治家フランクアンダーウッドを演じ続けてきたが、シーズン6の撮影開始を控えた2017年、過去に当時未成年だった男性に対する性的暴行疑惑が浮上し、さらに『ハウス・オブ・カード』のスタッフからもセクハラ被害の告発が複数の人物から寄せられ、MRCとNetflixはスペイシーを解雇。この事態により、MRCは脚本の内容をフランクが登場しない内容にリライトし、エピソード数も13話から8話に減らすなど対応に追われ、2019年1月に数百万ドルの損失を被ったとして、費用の回収を求める訴訟を起こしていた。
同社は撮影現場におけるスペイシーの行動が、スタジオのセクハラ対策の方針に違反しているとも主張していた。「Variety」誌によると、双方の弁護士は2020年2月に行われた仲裁公聴会で20名以上の証言を聴取したという。だが、5ヵ月後に下された判決の詳細は機密扱いとなったままだ。
MRCがロサンゼルス高等裁判所に提出した嘆願書によると、判決はスペイシーと彼の製作会社である「Mプロフィット・プロダクション」「トリガー・ストリート・プロダクション」に損害賠償、弁護士費用、裁判費用の支払いを命じていた。スペイシー側はこの判決を不服として控訴したが、今月になって却下されたという。
スペイシーのセクハラ疑惑は、2017年10月に映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが複数女性に行ったセクハラの告発報道から始まったMeToo運動の一環で、現在は成人している俳優のアンソニー・ラップ、かつて14歳だった時に性的な誘いを受けたことを主張したことから始まった。その後、複数の女性や男性からの告発が相次いだ。
スペイシーは決まっていた映画出演などを降板し、休業状態が続いていたが、今年、イタリアでフランコ・ネロ監督の作品に小さな役で出演し、俳優業を再開している。
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