遺体は見つからず!? 10本の切断された指先が自宅前へ!
20年前、双子の妹が失踪し、その事件の容疑者とされた兄のイ・ドンシク(シン・ハギョン)。証拠不十分で釈放され、現在は地方にあるマニャン派出所にて巡査部長を勤めている。ソウルから異動してきたエリート警部補のハン・ジュウォン(ヨ・ジング)と組むことになり、2人は衝突しながらも連続殺人事件を捜査していく。次々に起こる事件と明るみになっていく真実。本物の怪物は一体誰なのか!?
・イケメンロボットが彼氏になる!? ヨ・ジング主演 韓国版『絶対彼氏。』
20年前から起こっている連続失踪事件の被害者は全て女性。失踪してすぐに切断された第一関節10本が自宅前に置かれるものの、ほとんどの遺体は未だに見つかっていないというなんともおぞましい事件だ。ドンシクが姪のようにかわいがっていた女子大生も指先だけ残して失踪してしまい、いよいよ事件が本格的に展開し始める。20年前の容疑者だったドンシクだが、女子大生の血痕が一滴だけ自宅の地下室から発見されたことで、またしても逮捕される。すぐに釈放されるものの、派出所に勤務するドンシク以外の男性たちも全員変わり者で怪しく、誰が犯人でもおかしくないという疑念がこのドラマを一層盛りあげている。
ヨ・ジングが超潔癖症の変人エリート警部補に!
イケメンな上になんともいえない怪しい雰囲気が漂うことで、妙な色気を発しているヨ・ジング演じるジュウォン。「友だちは1人もいない」と公言しているだけあり、浮いた話が全くないのが残念な限りだが、警察庁次長の父と共に何かを企んでいる様子が見ていてゾクゾクさせられる。彼はなぜわざわざマニャン派出所に異動してきたのか? 最初はドンシクを怪しみ尻尾を掴むつもりでやってきたジュウォンだったが、徐々に彼の怪しい魅力(?)に取り込まれ、少しずつ同化していく過程もなんとも面白い。
百想芸術大賞3冠獲得! 2021年韓国ドラマの代表作に!
韓国のゴールデングローブ賞といわれる「百想芸術大賞」で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を獲得した本作。シン・ハギョンは20年前のトラウマを抱えながらも村人に慕われる親切な警察官という難しい役どころを演じ、受賞に至った。
サスペンスフルかつスリリングで常に緊張感が伴うのかと思いきや、1人1人のキャラクターの個性が際立つようなユニークな言動ゆえに、クスっと笑えるシーンも多い。エンディングには美輪明宏を彷彿とさせる昭和のムード歌謡風の曲が流れ、スタイリッシュな映像とともに怪しい雰囲気を一層盛り上げている。
ドンシクが赴任してきたばかりのジュウォンに言った「この村では秘密はすべて暴露される」というセリフがこのドラマの全てを物語っているようだ。地方のような狭いコミュニティにおいては人間の本性が出やすく、それは”悪魔“にもなり、”天使“にもなり、つきつめれば”怪物“にもなりえる。そんな人間の深層心理に迫る本作を見ていると、「もしかして無意識のうちに誰かを……!?」と自分の中にいる怪物をも見出してしまうような気分に陥る実に不思議なドラマだ。(文:渡邉啓子/ライター)
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