3・11公開『アンネ・フランクと旅する日記』フォルマン監督からスペシャルメッセージ
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国際ホロコーストデーに寄せて「世界中に存在する紛争地の子供たちへ……」
映画『アンネ・フランクと旅する日記』が、3月11日から、全国で公開される。
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2009年にユネスコの「世界記憶遺産」に登録され、「世界で最も読まれた10冊」のうちの1冊に挙げられた「アンネの日記」。これまで幾度となく映像、舞台化されてきたが、同作はアニメーションでしか表現し得ないアプローチで、アンネ・フランクの生涯を、彼女が生み出した“空想の友だち”キティーの視点でたどっていく。
監督・脚本を務めたのは、アニメーション映画として初めてアカデミー賞「外国語映画賞」にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を受賞した『戦場でワルツを』(08年)のイスラエル出身のアリ・フォルマン監督。同氏は、アンネたちと同じ週にアウシュビッツに到着した両親を持つ。「アンネの日記」をもとに、イマジネーションと遊び心に満ちた現代のパートを新たに創出、ふたりの少女の姿を等身大に瑞々しく描いた。
同作でキティーと旅した私たちは、閉ざされた日々にあっても人生を肯定したアンネの美しさを再発見するとともに、今、世界で何が起きているかを再認識させられるだろう。
彼女が願い続けた「すべての人が尊重されること」。この祈りにも似た物語は、未来を信じたアンネから、現代によみがえったキティーを経て、見る者すべてに手渡される希望のバトンとなることだろう。
ところで、1月27日は国連が定めた「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」だ。77年前のこの日、ナチス・ドイツのアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所が旧ソ連軍によって解放された。
戦争の記憶もホロコーストの生存者も失われつつある今、ホロコーストの記憶と経験を後世に語り継ぐことの必要性が高まっている。
同作は、「現在と過去をつなぐ」、「アンネが最期を迎えるまでの7ヵ月間を描く」という切り口で、日記には書かれていないその先の、ホロコーストについても、現代の子どもや若者たちに語り継ぐことを可能にした。
フォルマン監督は同作に込めた思いを「この物語のメッセージは、アンネ・フランクの父親オットーやアンネ・フランク基金に同じ、すなわち、ホロコーストを記憶に留めることは過去を学ぶこと。そして、今もなお、世界中に存在する紛争地の子どもたちへ思いを馳せることへとつながるのです」と語る。
同作に協力しているアンネ・フランク基金も「今なお多くの子どもたちが紛争地域から逃れ、命の危機にさらされている。私たちが変化をもたらすためには、過去から学ぶ必要があるのではないか。「アンネの日記」を通して、過去を思い起こし、歴史の教訓を学び、ともに生き、対話することで、平和へ向かうように行動する必要がある」と強調する。
アンネからキティーへ、そして見るものすべてへ。過去から現在、そして未来へ。アンネからの希望のバトンはつながれていく。
同作に込められた思いを、私たちはどう受け止め、どう行動していくのか。『アンネ・フランクと旅する日記』は、私たちひとりひとりに問いかけている。
「アンネが最期を迎えるまで」切ない場面写真
冒頭に掲げたのが、このたび公開された、アンネと母親のエーディトが列車に揺られている場面写真だ。
胸に“黄色の星”が縫い付けられたジャケットを着るふたり──。このシーンは、日記には書かれていない「アンネが最期を迎えるまでの7ヵ月間」の中の1シーンだ。
劇中でアンネは、はじめは「列車に乗って嬉しかった、隠れ家での2年に及ぶ潜伏生活のあと、初めて太陽の光を浴びたから」と語る。
だが、ゆっくりと理解し始める。これは自由への列車ではないことを……。
今日この日、終着駅が「強制収容所」の列車に乗った無数の人々に思いを馳せてほしい。
アンネもきっとそう願っているはずだ。
『アンネ・フランクと旅する日記』は、3月11日から、全国で公開される。
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