サンダンス映画祭史上最多4冠に輝いた話題作! 耳の聞こえない俳優たちがもたらした“変化”と監督が見た“奇跡の光景”とは?

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コーダ あいのうた
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS.

サンダンス映画祭で史上最多の4冠に輝き、配給権争奪戦の末に映画祭史上最高額の約26億円で落札された爽快感動作『コーダ あいのうた』が現在公開中。ムビコレでは、シアン・ヘダー監督のインタビューを掲載中だ。

・『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督インタビュー

「撮影中、キャストの間に不思議な絆が芽生えて、本物の家族のようになったんです」

高校生のルビーは4人家族の中で1人だけ耳が聞こえる。だから、幼い頃から家族のための通訳となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、彼女は憧れのクラスメイトと同じ合唱クラブに入る。すると顧問の先生がその歌の才能に気づき、名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず

主人公のルビーには『ロック&キー』で注目を集め、“NEXTエマ・ワトソン”の呼び声も高いエミリア・ジョーンズ、そして、『愛は静けさの中に』(86年)のオスカー女優マーリー・マトリンの母役をはじめ、全員が実際に耳の聞こえない俳優たちをキャスティングしている。

このことについて「耳の聞こえる俳優を雇うつもりはありませんでした。正直、そういった考えに嫌気が差してたんです。映画にはスターを起用しなければならないという、古い固定概念から生まれた風潮でしょう。でも、今は時代が変わって、そういう考え自体が良くないものとされるようになりました。それに私は真実味のある物語を作りたかったので、スターを起用することは考えてなかったんです」とヘダー監督。

今回の配役は、思い通りにキャスティングさせてくれるプロデューサーに出会えたことで実現したという。「だからこそ、トロイやダニエル、マーリーのような俳優に出会えたんです。耳の聞こえる役を演じることはできませんが、彼らは本当に素晴らしい俳優です。彼らのように長く演劇に携わってきた聾者の俳優をキャスティングしない理由はありません」とヘダー監督は話す。

聾者のキャストたちとの撮影は、現場に多くの変化をもたらした。耳の聞こえる人たちもみんな手話を学び始め、ヘダー監督自身も手話を取得し、助監督とは手話で会話した。

「手話に触れた人のほぼ全員が、手話をやってみたいと言います。しばらく手話を観察したあと、『これは手話でどうやるの?』と聞いてくるんです。私の子どもは3歳と5歳ですが、彼らが一番好きな手話は『破壊』です。『この手話は最高だよね』と言うんですよ。みんなが手話を学べば、コミュニケーション能力が増すように思います」と、手話について話すヘダー監督。 

耳の聞こえる人も聞こえない人も、手話でコミュニケーションを取り合うようにした結果、奇跡のような光景も目にしたという。「撮影中、キャストの間に不思議な絆が芽生えて、本物の家族のようになったんです。予想すらしませんでした。初めて一緒に食事をしに行くと、ウェイターの言っていることをエミリアが自然にトロイとダニエルに手話で通訳し始めたんですよ。映画の設定そのものだと思いました。リアルタイムで役を生きていたんです」。

さらに、映画を見る人に伝えたいメッセージとして、「多くのシーンには音がありません。そこがこの作品の面白いところです。登場人物は、アメリカ式手話をしながら一言もしゃべらずに座って会話をします。だからこそ、観客は見方を変えざるを得ない。この視点の変化を、自分の生活に持ち帰ってもらえると嬉しいです」と話してくれたシアン・ヘダー監督のインタビュー全文はこちらから!

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