セクハラ被害者の孤独…同僚の陰口が辛い「生あたたかいノリの気持ち悪さ、不気味さ」
実話のセクハラ事件を描く『ある職場』
実在したセクシャル・ハラスメント事件に基づき、その後日談として創作された映画『ある職場』が3月5日より公開される。このたび、予告編が公開され、フリーアナウンサーの大橋未歩がコメントを寄せた。
このたび公開された予告編では、ジャーナリストらしき男にハラスメント事件の被害者である平井早紀演じる早紀がインタビューを受けているシーンから幕を開ける。
事件が大きな騒ぎになっていることを問われた早紀が、「ご迷惑をお掛けしました」とカメラに向かって深々と頭を下げる姿が印象的だ。
険悪になってしまった職場の雰囲気を変えるため、職場の同僚たちは慰安旅行を企画。旅行先の江の島の風景が、モノクロームの美しい映像で描き出される。しかし、楽しい旅行中にも関わらず、早紀はネット上のバッシングが気になり、スマホをチェックしてばかりいる。
だんだんと疑心暗鬼になる同僚たち……。早紀を慰める者、もしかしたら女性が誘ったのではないかと言う者、それぞれの立場で意見が対立する様子がみてとれる。
この作品を一足早く鑑賞したフリーアナウンサーの大橋未歩は、「あまりのリアリティに胸を抉られる思いでした。個人の痛みよりも組織の表面的な調和を最優先してしまう事なかれ主義集団の生あたたかいノリの気持ち悪さ、不気味さを、ここまでリアルに表現できるのかと感動しました」と作品への真摯なコメントを寄せた。
一流ホテルで働き、コンシェルジュを目指した早紀は、その職場で果たしてどのような生き方を選ぶのか。本編への期待が高まるところだ。
ドキュメンタリーでは身バレする…実在のセクハラ事件描く
本作品は、ドキュメンタリー映画も制作する映画作家の舩橋淳が、密室で起こったハラスメント事件の当事者を取材し、ドキュメンタリーでは個人名や職場を特定される恐れもあり制作は困難と判断した結果、フィクションとして再構成された。
ホテルチェーンでフロントに務める大庭早紀は、上司に密室でセクシャル・ハラスメントを受けた。事件は瞬く間にホテルの内外に知れ渡り、SNS上でも誹謗中傷を浴びて炎上する事態に発展する。職場の暗い雰囲気を変えようと、ホテルの同僚スタッフたちは大庭を誘い、湘南の海辺にある社員用保養所へ2泊3日の小旅行を企画した。しかし、旅行先でも大庭はスマホに張り付きネットをひたすらチェックしている。そんな大庭を励まそうとする同僚たちだったが、ある時SNS上でバッシングをしているアカウントが職場の同僚である可能性が浮かび上がる。それはこの中の1人なのか? 疑心暗鬼になる彼らは互いに腹を探り合い、相互不信に陥っていくのだが……。
セクハラそのものの辛さに加え、その後、職場組織の中でどう生きてゆくのか──。周囲との関係が本当に辛いと言う声を聞いたのが制作の始まりだった。
『ある職場』は、3月5日より公開される。
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