93歳女性監督、「歳をとると知人は次々いなくなる…でも、いくつになっても新たな出会いはあります」
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『金の糸』ラナ・ゴゴベリゼ監督インタビュー
93歳のジョージアの伝説的女性監督ラナ・ゴゴベリゼ監督の到達点『金の糸』が、岩波ホールほかで2月26日より公開される。このたび、ゴゴベリゼ監督がインタビューに答えた。
・91歳にしての新作! ジョージア映画界を代表する女性監督が描く過去との和解の物語
ゴゴベリゼ監督はまず、本作品を公開する岩波ホールについて語った。
「たくさんの思い出があります。80年代に私の映画『インタビュアー』を上映してくださったこと、その後『転回』が東京国際映画祭に選ばれて来日した際(その時の審査委員⻑はグレゴリー・ペックでした!)温かく歓迎してくださったこと、私はその時、監督賞をいただいたのですが、当時、岩波ホールの総支配人だった髙野悦子さんが、私以上に喜んで、2人で抱き合って喜んだことが今でも思い出されます。映画への情熱が身体中から溢れ出ているような、忘れられない女性でした」
その上で、本作品のバックボーンと共に日本へのメッセージを寄せた。
「歳をとると、かつての知人たちが次々にいなくなっていくものです。けれど、何歳になっても新しい出会いはあります。『金の糸』が日本で、若い世代の方たちとも出会えることを楽しみにしています」
加藤登紀子絶賛「幾重にも人々を引き裂いた歴史の破片を繋ぐもの」
本作品に対して、著名人がコメントを寄せた。
映画監督の西川美和は、「一組の夫婦の母親同士が高齢ゆえに同居することになるという展開はどこにでも起こりうるヒヤヒヤするような設定だが、その2人が芸術家と旧ソ連の残党、という桁違いの分断を大元にしているのがすごい。2人のすれ違いからは、美しい映画のセットの外の『失われた時』の重苦しさを想像させられる。年老いた人が『かつて』の話しかできない自分を止められないことに、自らうろたえる描写はすごい迫力だ」とその魅力を分析。
歌手の加藤登紀子は、「熟成された時間を、深々と味わうような美しい映画です。幾重にも人々を引き裂いた歴史の破片を、今繋ぐもの。それは『生きることを愛する才能』という美酒でしょうか?」と感想を語る。
女優の吉行和子は、「暗黒の時代を経験し過酷な人生を送ったにも関わらず、ゴゴベリゼ監督の大らかな優しさが滲み出て登場人物の一人一人を慈しみながら描いてゆく。映画というものの力を、その美しさを全身に感じ幸せな時間になった」とコメント。
駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバは、「気づいたら作品に引き込まれており、気づいたら終わっていた。しかし、確実な何かが後に残される。まるで人生のようだ」と感慨深げだ。
金継師の黒田雪子は、「心を澄ましてエレネの言葉を聞こう。限りある時を如何に生きるべきか。起きた出来事を憂うのか、それとも解釈を変えて好転させるのか。意識をどこにフォーカスするかで私たちは過去さえ変えられる」と語る。
画家・ジョージア映画祭主宰のはらだたけひでは、次のように本作品を紹介する。
「激動のソ連時代を生き、人間と時代を見つめてきたゴゴベリゼ監督。その彼女が到達した金字塔。人生を洞察し、過ぎ去った歳月を問い、今をよりよく生きる。美しく、優しく、深い余韻をいつまでも心に残す」
作家と旧ソ連の高官が娘夫婦と同居することに…
本作品の舞台は、ジョージアの首都・トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネは、生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らしている。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越しさせるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへ突然、60年前の恋人アルチルから電話がかかってきて……。
『金の糸』は、岩波ホールほかで2月26日より公開される。
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